2011年8月18日木曜日

課題解決のためにダブル・バインドを見つける


重たい問題、課題はいつも板挟みの構造を取る

ビジネス上、生活上など状況を問わず、発生している問題や課題の多く、特に重たい問題は、当事者にとってジレンマ、パラドクスなどの形式を取って現れていることがほとんどです。

この問題や課題は、外側のパンや野菜によって押し付けられているハンバーガーの肉のように、当事者の認識と相まって板挟みの状態になっており、原発に賛成、反対ではないのですが、「あちらを立てれば、こちらが立たず」というような二項対立が継続している状態だというわけです。




当然、当事者は、どうやってこれを解決するのか?どこから手をつけたら良いのか?を考え始めることになるのですが、 解決策を思い描くことも、解決策を実行することはおろか、その解決の糸口を発見することもできない「にっちもさっちも行かない状態」で、自分自身もこのことに悩み、そして、途方にくれている状態というわけです。

ダブル・バインドとは何か?

そして、このような状況に陥ったクライアントをコンサルティング、ファシリテーション、コーチングを通して解決する際に活用して成果を上げているのが、私が尊敬して止まない、グレゴリー・ベイトソンの提唱した「ダブル・バインド」の仮説であり、この仮説に基づいたファシリテーションやコーチングの方法論だというわけです。



ベイトソンは、元々、統合失調症の起こる原因を認識主体の認識するメッセージとメタ・メッセージの関係性に着目し、「ダブル・バインド」と呼ばれる状態が起こる必要条件について考察しているところから始まります。 したがって、元々はどのようにして統合失調症が発生するのか?というどちらかというと病理の部分に焦点が当てられがちです。

しかし、個人的には心身ともに健康な方が課題や悩みとして認識している「ダブル・バインド」を認知科学的知見と併せて活用することで、クライアントが課題を解決するためにより高い視点に導くという方法で使えるということが実践を通して確信できてきたというわけです。

これは、アインシュタインが「問題が創造されたレベルと同じレベルからは問題を解決することはできない」と言っているように、問題を解決するために、このダブル・バインドを使って、自分の持っている「既存の認識の枠組み」から飛び出して、問題の起こっているシステム全体をより高い視点から俯瞰する高い視点に立つための足場として活用することができるでしょう。

ダブル・バインドが起こる必要条件とは?

以下は、メモ書きで一字一句正確ではありませんが、ここでダブル・バインドが発生する基本的な6つの必要条件について書いておきましょう。 

 ここで言うメタ・メッセージは基本的には、認識主体が認識している「メッセージについてのメッセージ( Massage about massage)」となります。 

一例をあげると、コミュニケーションの相手が、「僕は全然怒っていませんよ」という言語的なメッセージに対して「起こった表情」があり、あなたが、この人は、本当は怒っているなと解釈した場合、メッセージは「僕は全然怒っていませんよ」で、メタ・メッセージが「起こった表情」になるという具合です。 

また、京都の「ぶぶ漬け食べて行きませんか?」の場合は、「ぶぶ漬け食べていきませんか?」がメッセージで、「早く返ってちょうだいね」がメタ・メッセージになるという具合です。

さて、それではダブル・バインドが発生する条件について見ていきましょう。


1.ふたりあるいはそれ以上の人間がコミュニケーションのコンテクストに存在。

2.犠牲者は、繰返される経験の中で、ダブル・バインド構造に対する構えが形 成される

3.
 犠牲者に対して、第一次禁止の命令が行われる。

   
 a.「これをすると、お前を罰する」 もしくは、
    b. 「これをしないと、お前を罰する」 という形式を取る。

4.次に犠牲者に対して、より抽象的なレベルで第一次禁止の命令と衝突する第二次の禁止命令が行われる。これが第一次禁止の命令に対するメタ・メッセージとなる。

5.
犠牲者が関係の場から逃れるのを禁止する第三次の禁止命令が行われる。

6.
犠牲者は、ダブル・バインドの一部を知覚するとその任意の状況でパニックや憤激が引き起こされる

Gregory Bateson 「Towards a Theory of Schizophrenia」より 

それで、コーチやコンサルタントとしてクライアントの課題を発見する場合には、問題の起こっている状況全体をシステムとして捉え、まずこのような構造がないかどうか観察するところから始まることになります。

それで、いったん、こういった「ダブル・バインド」の構造が特定できれば、これを鍵にして、問題解決の方向性も随分明らかになってくることになるわけですが、実際の対処についてはまた別の機会に譲ることにしたいと思います。

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