2011年9月4日日曜日

自分に気付くヴァージニア・サティアの4つのキー・クエスチョン

今日は、家族療法家のヴァージニア・サティアがクライアントに認識の変化を促すために用いた鍵となる4つの質問を中心に書いておきましょう。

知覚・認識を動的なプロセスとして捉える

 元々ロジャーズ派の心理療法家としてそのキャリアを出発したサティアですが、クライアントが認識している家族における人間関係などより動的でシステミックな関係性に着目した形で家族療法が発展していきます。

その中でサティアはクライアントの自己再帰的な意識に着目し、クライアントの気持をプロセスとして捉えることを支援する質問を行なったことが知られています。[1]

具体的な質問は以下の4つのカテゴリーの質問ですが、基本的には非常に静的で固定化された認識について How の質問をつかい、「それをどのようなプロセスとして感じていますか?」というような、動的なプロセスに戻していることが重要な点だと思われます。


1. How do I feel about myself? (self- esteem)
2. How do I get my meaning across to others? (communication)
3. How do I treat my feelings? (rules)
 Do I own them or put them on someone else?
 Do I act as though I have feeling’s that I do not or as though I don’t have feelings that I really do?

4. How do I react to doing things that are new and different? (taking risks)

※この例はクライアント自身が自問する形式となっています。

1. 自分自身を(五感の感覚として)どのように感じているのか? (自尊心)
2. 他人からどのように(自分にとっての)意味を感じているか?(コミュニケーション)
3. 自分のフィーリングをどのように取り扱っているのか?(ルール)

 ・その気持ちは自分のせいか、他人のせいか?
 ・抱いている気持ちがまるでないように振る舞うか、抱いていない気持ちがまるであるように振る舞うか?
4. 新しいこと、いつもと違うことにどのように反応していますか?(リスク)


フィーリングは視点で変化する

自分の気持を観察する時、その視点、またそこから起こる反応は固定されたものではありません、一般意味論のマルチ・オーディナリティの概念によれば自己再帰的な意識を使い「気持についての気持」を引き出すことで、視点の抽象度が変化し、結果その視点から起こる心身状態の反応が変化することが提唱されています。(表1)[2]

表1
Level of Abstraction 抽象のレベル
Statement 
言語による表現
1
I like to sing 
歌うのが好きだ
2
I like my 'liking to sing' because it makes me happy.
「歌うのが好きだ」ということが好きだ、その理由は、私を幸せにしてくれるからだ
3
I dislike my 'liking my liking to sing because it makes me happy' because it seems rather selfish to me.
「『歌うのが好きだ』ということが好きだ、その理由は私を幸せにしてくれるからだ」、というのは好きではない、その理由は、利己的なように思えるからだ。
4
I like my 'dislike of "my liking "'my liking to sing because it makes me happy"' because it seems rather selfish to me", because it makes me laugh.'
(「『歌うのが好きだ』ということが好きだ、その理由は私を幸せにしてくれるからだ」、というのは好きではない、その理由は、利己的なように思えるからだ。)というのは好きだ、その理由は私を笑わせてくれるからだ。
5
I like extremely liking my 'dislike of "my liking "'my liking to sing because it makes me happy"' because it seems rather selfish to me", because it makes me laugh', because it shows how crazy we are as humans!
{(「『歌うのが好きだ』ということが好きだ、その理由は私を幸せにしてくれるからだ」、というのは好きではない、その理由は、利己的なように思えるからだ。)というのは好きだ、その理由は私を笑わせてくれるからだ。}というのが異常なくらい好きだ、その理由はヒトがどんなにクレージーであるかということに気づかせてくれるからだ。

サティアもヒトの認知におけるこの性質を利用して、[3]


Andreas then quotes Virginia Satir’s question for the depressed person was, “How do you feel about feeling depressed?”  In Meta-States (1995) I also quoted this as a meta-stating process.  Andreas quotes it and comments:
“Since they are already attending to their feelings, this is a good match for their experience, it asks them to categorize [meta-state] their feeling response at a more general logical level, instead of cycling back to their depressing thoughts, changing the loop.” (130)


例えば、落ち込んでいる時の気持について気持を向けることで視点の抽象度をあげて、メタ認知を促すことで、抽象度の高い視点から自分に気付いてもらい、ある出来事に対する反応を変化させる支援を行っています。


余談として、このようなメタ認知を促す質問(メタ・クエスチョン)をRUP(Rational Unified Process)のプロセスを使ってソフトウェア開発を行うときの振り返りのファシリテーションとして紹介されている文章が以下に存在しますが、これはまた後日見ていくことにします。


http://www.ibm.com/developerworks/rational/library/content/RationalEdge/apr03/TeamRetrospectivesAppendix_TheRationalEdge_Apr2003.pdf

文献

[3] http://www.neurosemantics.com/meta-states/when-blind-elephants-meta-state

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