2011年9月6日火曜日

経営の共感覚

今日は、企業の経営と共感覚について書いておきましょう。 概念的には昨日書いた、俳句と共感覚と関連のある話となっています。
  
「利益速度」でモノをつくれというけれど

最近、本の自炊をしていて発掘された著作に、TOC (Theory of Constraints)と JIT (Toyota の Just In Time 生産方式)について書かれた[図説 「利益速度」でモノをつくれ!―TOCとJITの融合で実現する超高速経営」があります。

http://www.amazon.co.jp/dp/488956232X

(「利益速度」の概念についての参考リンク) ttp://homepage3.nifty.com/rmcstracc/stracc_0208a.pdf  

 
「利益速度」でモノをつくれという概念を簡単に要約しておくと、まず、この前提として、原則として市場からのプルで駆動するサプライチェーンを想定しています。


 そして、例えば、1ヶ月という時間単位で見た場合に、[製品が売れて入ってくる単位時間あたりのお金] (TOCで言うところのスループット)とバランスする速度で、部品を仕入れ、不必要な在庫を持つことなく、製品を製造しましょう、つまりお金を使いましょう、というような少々マクロな視点からのモノづくりの経営概念について書かれたのが本書というわけです。 


 繰り返しますがここで根底に流れている思想は市場から「その製品が欲しい」というシグナルが発せられた分だけを、市場からお金が入ってくるスピードと同じ速度でお金がお金が出ていくようにつくるということになるわけです。もちろん、このバランスを保ちながら流れの規模を大きくしていくと会社は規模的には成長していくことになります。


また、以下の「アジャイルソフトウェアマネジメント」は、TOCとJITを使ってアジャイルなソフトウェア開発を行ったらどのような手法で開発すれば良いのか?というように、上の著作とまったく同じ概念を用いたモノづくりの経営概念について書かれていますが、上が主に物理的なハードウェアを対象にしているのに対して、こちらは製造仮定を直接目で見ることの難しいソフトウェアの製造について書かれています。

http://www.amazon.co.jp/dp/4526056162  

  これも基本的には、例えば、1ヶ月というような時間単位で見た場合に[製品が売れて入ってくる単位時間あたりのお金] と釣り合う経費の速度でコードを書きましょうというのが本書のコンセプトになっています。



逆の言い方をすると、基本的にはお客が見えていてそこからお金が入るのと同じ速度でお金が出ていくようなやり方でコードを書きなさい、ということになっています。

人の五感で「利益速度」を捉えるのは難しい

  しかしながら、
実際のラインを流れる製品様子などといったミクロのレベルの変化は、五感で把握することが可能ですが、マクロのお金の流れである実際の利益速度、つまり複数の工場の製品の流れや、全体のソフトウェアがどれだけコーディングされているのかを五感で直感的に五感で把握することは不可能だということになります。


それで、システム全体の状態に対して今自分の担当している局所で何が起きているのか? を把握するために、前者ではカンバンと呼ばれるタグを製品に紐付けて流したり、




後者では TOC-CCPMの仕組みを入れて、システム全体の進捗状況に対して局所的な行動として何をする必要があるのかを、赤、青、黄色の交通信号で(急げ、そのまま進め、遅れつつあるので注意というように)現場の人に知らせるような仕組みが導入されています。




 これは、物理的な世界と認識論的な論理的な世界をデカルトの二元論を超えて表現できるシステム論であるオートポイエーシスの本などで、一匹、一匹の蜜蜂がハニカム構造の巣の部品を一心不乱につくっていくと、自然と大きな蜂の巣が出来るというメタファーで説明されていることと似ているようにも思ってきます。




 つまり、製造プロセス自体に知恵が組み込まれているために、現場の人は自分の持分に集中して局所最適な仕事をしていると裏の仕組みがうまく作用して同時に全体最適も達成されるようになっているというわけです。

 言い換えると、表層として、見える化された局所的なシグナルは、本来五感では検知できないより深層にある大きなシステムのループにつながっている、ということになります。
 
「利益速度」と製造速度の概念同士の共感覚として捉える必要がある

 
それで、経営者やプロマネは現場にまかせてふんぞり返っていれば良いのか?というと 個人的にはそれではいけないと考えていて、
 やはり 「利益速度(おかねが入ってくる速度)」と製造速度(あるいはお金を使う速度)が釣り合いながら、事業基盤を堅固にしたり、あるいは成長したりするような 抽象度の高い概念レベルでの 共感覚 として持っておかなければならないのだろうなと考えているわけです。 つまりこれが経営者として持つ必要のある感覚の一つというわけです。

 逆の言い方をすると、「利益速度」と「製造速度」を共感覚として結びつけるのは、共感覚の分離の反対を行うことで学習できると考えており、例えば、エリクソン催眠の Split and Linking を使って経営者が TOYOTA の JIT、もしくはTOC-CCPM を共感覚を伴った経験として学ぶことが出来ると考えているわけです。[1]

  ちなみに、TOCを管理会計に使った場合、財務会計と比較して、費用区分を分ける方向から統合する方向になっているため、実際に計算に使う項目は数項目と少なく、ある意味、「科学的どんぶり勘定」のような形式になるわけですが、実はシンプルなだけに共感覚を伴った肌感覚は持ちやすいのかな?と思っています。

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