2011年9月9日金曜日

ブスとネガティブ・コマンド

今日は、まず、有名な狂言「附子(ぶす)」の話題から。

狂言「附子(ぶす)」


名前は知らなくても、あらすじを聞くとこの物語のことを思い出される方も多いでしょう。

ここで、附子(ぶす)とはトリカブトのこと、そして Wikipeida を参照すると以下のようなストーリーが書かれています。[1]

主は、「附子という猛毒が入っている桶には近づくな」と言い置いて、外出する。留守番を言い付かった太郎冠者と次郎冠者だが、附子のことが気になって仕方がない。とうとう太郎冠者は、桶の中身を覗いてみることにする。するとどうであろう、毒であるはずの附子なのだが、大変おいしそうに見えるではないか。誘惑に負けて、太郎冠者が附子をなめてみると毒というのは全くの嘘で、主人が附子だと言った物の正体は砂糖であった。二人は奪い合うようにして砂糖を食べつくしてしまった。主人が嘘までついて隠しておいた砂糖を食べてしまった言い訳として、二人が選択した行動とは…。
まず、主人が大切にしている茶碗と掛け軸をめちゃめちゃに壊す。見るも無惨になったところで、二人で大泣きした。すると、帰ってきた主人が泣いている二人と、破れた掛け軸、壊れた茶碗を発見し、二人に事情を聞いた。そこで二人は、「掛け軸と茶碗を壊してしまったため、死んで詫びようと毒を飲んだが死ねず、困っている」と言い訳し、どうしてよいか困った主人が途方に暮れる…といったものである。

これを実験してみる



そして、これと同じ理屈で行われた実験が以下にあります。小学生低学年くらいの子供に「この箱は決して開けてはいけないよ」と指示をして別の部屋で観察すると、



この指示に抗しきれず、ついつい箱を開けてしまうということが起こります。

実はこの技法は催眠家のミルトン・エリクソンが用いた「ネガティブ・コマンド」と呼ばれる手法です。[2]

「~してはいけない」ということを言われると、まずはそのしていけないことに注意を向け、それをしている場面を無意識に表象してしまいます。そして、それを言語なり記号のレベルつまり意識された理性のレベルで否定を行います。

それで、無意識レベルの興味についつい抗しきれなくなると、理性が負けて、ついつい「~してはいけない」ということを行ってしまうというわけです。

従って、特に理性が発展途上にある小学校の貼り紙は、「廊下を走ってはいけません。」ではなくて「廊下はゆっくり歩きましょう」というように本来注意を向けてもらいたいことに注意を向けてもらうようにしないといけないということになります。

また、最近だと、この手法を逆手に取って、「まだ、ダイエットはするな」、「◯×保険には入ってはいけない」といった、本のタイトルや広告に使われていることも少なくありませんが、こういったタイトルを見かけたら、そのことに注意が当たるように出来ているので、ひとまずご用心というところなのでしょう。もっとも、こういったコピーも使いされた感はあるのですが。

文献
[1]http://ja.wikipedia.org/wiki/附子
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