2011年9月10日土曜日

認知バイアス

今日は認知バイアスについて書いておきましょう。

認知バイアスとは何か?

人の心の高次の部分に、信念、価値観、思い込み、意図などがあると、これが良い意味でも悪い意味でも事実を観察する時の注意に影響を及ぼす現象を言います。 

簡単にいうと「~という思い込み」があって、この思い込みが邪魔をして事実が見えていないという状態が起こります。こういう状態を観察者に認知バイアスがかかった状態と言います。

http://ori-japan.blogspot.com/2011/09/blog-post_08.html

また、感情、情動が事実の認識や意思決定に影響を与えることを感情バイアスがかかった状態ということがあります。つまり、本来持っている認知バイアスに加えて、心身状態に依存する感情バイアスが加わって、情報収集や意思決定に大きな影響を及ぼすことになります。

認知バイアスは将来の予測を(過去に身に付けたフレームで無意識に判断することで)ショートカットするのに役に立つというような場合もありますが、反対に、認知バイアスが邪魔をして事実が歪曲され、とんでもない行動を取ってしまったという状態を引き起こすことになりかねません。

特に変化が激しい時代の経営などではこの認知バイアスが要因となって、重要な事実が見落とされていたりすると、致命的な打撃を及ぼすことも考えられるために認知バイアスには注意を払う必要があります。 もちろん、認知バイアスが要因となって新しい市場を発見することが困難だということも考えられるでしょう。

よくある認知バイアス

認知バイアスは自分の思考や行動についてどのような枠組みでそれを行っているかということをメタ認知することで理解することが出来ます。

認知バイアスのカテゴリーについて考えると実に様々な側面から研究が行われていますが、ここでは認知心理学者、ジャン・ピアジェの視点から人の認知バイアスでよくあるものについていくつかあげておきましょう。[1]
  • Egocentrism
自分の考えている、自分の感じていることを他の人も同じように考え、感じているいると信じていること。→例えば、同じ事実を観察していても相手は自分と違う枠組みで違う推論をしているかもしれないと前提をおかないと上手く行かないことがある。
  • Centration
大きな全体の一部にしか注意が向いていないこと。→例えば、目立っている現象、症状にはすぐ目がいくが、その原因、どうやって収束させたいのかには目が行かない。コンテンツには目が行くが、プロセスには目がいかない など。
  • All-or-Nothing
1か0 、ある、ないのように物事を二分法だけで考えること。→例えば、原発反対、原発賛成、善悪のような単純な二項対立で物事を見る傾向がある。結果、対立が解消できないままズルズルと事態が進行していく。本当は禅問答的ダブル・バインドで二項対立を超えた第三の選択肢を手に入れるチャンスにもかかわらず・・・
  • Irreversibility
ある信念、思考パターン、感じ方、行動を身に付けた後、それを身につける以前の状態を思い出す、あるいはもとの状態に戻るのが難しいこと。→ 例えば、一度喧嘩別れをしてしまうと、仲の良かったころを思い出すのは難しくなる。
  • Inductive Logic
少ない事例から過度の汎化を行うこと。→ 例えば、たった一度、たまたま起こったことを、将来それが確率以上に起こると考えてしまう。ビギナーズラックでギャンブルにのめり込んでしまう。
  • Transductive Logic
比較的短い時間内に起こった2以上の本来因果関係のない出来事に対して因果関係が存在すると思うこと。→ 例えば、下駄の鼻緒が切れたので今日は良くないことが起こると考える。
  • Animism
無生物を生物のように扱うこと。→ 例えば、過度に無生物を生き物として擬人化して考えてしまう。

もちろん、認知バイアスはコンテクストによっては個性になったり卓越性の源泉になったりもしますので、全て悪いといっているわけではありません。

要はバランスの問題で、ある状況で何かが上手くいっていない時に、それは認知バイアスが邪魔をして事実が見えていないことはないですか?と言っているに過ぎません。 

従って、この場合、盲点となっている事実が見えるよう、認知科学的な意図(Intention)と注意(Attention)のバランスを調整することがその最初のステップということになるわけです。


認識論ベースのコーチング

それで、世の中には認識論をベースにしたコーチングやーションの方法論が存在していますが、こういった方法論を使うと、クライアントがどのような認知バイアス持っているか?やそのバイアスによってどのようなプロセスで経験が形成されるか?というようなことを明らかにすることができます。[2]

これにより本来注意が当たっていなかった盲点に注意を当てることが可能になりますし、良いコーチに当たれば、認知バイアスを調整することでMRIのポール・ウォツラウィックが二次的変化(Second Order Change)と呼ぶ本質的な認識の変化、認識の変化に伴う行動の変化が可能になります。[3]

文献

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