2011年9月16日金曜日

物語による認識の変化とレバレッジ・ポイント

 今日は、「物語による変化のプロセスとレバレッジ・ポイント」について少し書いておきましょう。


元々心理療法や映画ドラマの脚本の構成として昔から利用されてきた物語(ナラティブ)ですが、一橋の楠木建氏の著作「ストーリーとしての競争戦略 - 優れた戦略の条件」をきっかけにビジネスの世界でも、ストーリ、物語(ナラティブ)の有効性が注目されて来ているように思っています。


http://www.amazon.co.jp/dp/4492532706


要は、「来年の売上目標はxxxx億円」というように単に定量的な数字で未来のことを語るよりも、自社としてどうなりたいのか? 途中どのような困難を乗り越えてそこに到達するのか?というようなより定量的である意味艶のある官能的な情報から未来のあるべき姿を説明する、あるいは共有する時にストーリーというのがとても重要になってくるというわけです。


それで、楠木氏の著作はあくまでも戦略を分り易く説明するための物語という範囲で説明されていたわけですが、本来、物語(ナラティブ)と言えば、心理療法の世界では人の認識、あるいは認識の枠組みを変えて、クライアントに変化をもたらすために昔から用いられて来たわけですが、今日は、ビジネスへの応用を考える前に今日は原点に戻ってこの物語(ナラティブ)がどういったものか少し考えてみましょうというのが趣旨となります。


メタ・レベルの認識に働きかける物語(ナラティブ)


  以下のリンクに、どちらかというと家族療法のカテゴリーに入ると思われるキャロル・スラスキーの書いたエッセーがありますが、ここで書かれている家族療法に用いるナラティブ(物語)のつくり方にある背景が非常によくまとまっているので、これについて書いておきます。


http://digilib.gmu.edu:8080/xmlui/bitstream/1920/510/
2/sluzki_1992_transformations.pdf
  

 家族療法と言えば、その一つの拠点はサティアの所属していたパロアルトのMRIということになります。もちろんアッカーマン研究所を無視しているわけではありせんが、MRIのベイトソン・グループが行なった研究は基本的に認識論(Epistemology)+システム論をベースとしています。
 例えば
、当該コンテクストで何か問題が発生している場合、コンテクストと、そこに存在する登場人物が何らかのシステムを構成しており、登場人物の「認識の歪」が相互作用して起こる何等かの関係性において問題が起きている・・・と考えることになります。 



認識の枠組みをリフレームするために物語(ナラティブ)を使う


  それで、これらの問題を解決するためには、認識論的に問題の根本原因である「認識の枠組み」「認識の歪」を見極め、さらに、それを変化のレバレッジ・ポイント考え、まずは、「認識の歪」を調整することで、何らかの関係性をシフトすることが出来ると考えることになります。

 この道具立てとして、
認識論的には、ベイトソンの言う「マインドの理論」において、高次の「認識の枠組み」に働きかけることの出来る道具がナラティブやメタファーというわけです。[1]  

 それで、この高次の認識としてどのような次元とパラメータがあるか?という疑問が起こるわけです。



それで、負のエントロピーを食べて好き勝手に振る舞う人のマインドを定式化することは難しいのですが、前述のエッセーの最後のほうを読むと、 1) Time 2) Space 3)Causality 4) Interaction 5)Values 6) The telling と 6つの次元とそれに関連するパラメータが取り出されるところが興味深いところなのでしょう。

 もちろん、これは仮説であり、モデルでしかないわけですが、これらのパラメーターを観察によって特定して、物語を使って介入してみましょう、そうすると人の認識が変化し、結果行動も変化しますよ、という認知科学やメタファーを中心においた認知言語学の話になってきます。
 
具体的な物語(ナラティブ)をどうつくるか


具体的にどのように物語(ナラティブ)をつくって、クライアントやプレゼンテーション時の聴衆に聞いてもらうかについては、催眠療法家のミルトン・H・エリクソンや ナラティブ療法のマイケル・ホワイトの手法を踏襲する形式になると思いますが、半分ライフワークがかったこのブログのテーマでもあり、とても一つ二つの記事では書き切れない分量になりますのでこのあたりはおいおい書いていくことにしたいと思います。


(参考)





文献

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