2011年9月22日木曜日

システム思考におけるパラダイムシフト

今日はシステム思考におけるパラダイムシフトについて書いておきましょう。

Wikipeida のシステムズ・シンキングの項目を紐解くと以下のように定義されています。[1]


システムズシンキング(Systems thinking)とは、 物事をシステムとして捉え、その要素間の因果関係をグラフとして表し、その構造を利用して振舞の特徴把握や定性的な分析を行う考え方。 システムの各要素は、環境やシステムの他の要素から分離した場合、異なる振る舞いを見せるという前提に基づく。 全体論的なシステム観を持ち、デカルトの還元主義と相対する考え。


個人的には会社員時代、米国で開発されたIT関係の分析手法、設計手法を日本に導入、訴求する立場にあったことからシステム思考関連についてはもう20年来の付き合いです。

 それで、こういった手法の適用範囲も以下のように2種類あると個人的には考えています。
1.        人がほとんど関与しない単なる計算処理のような機械的なプロセスへの適用
2.        人の認識が循環的にシステムに関与してくるような有機的なプロセスへの適用

1.の場合は単純に方法論を適用すると何とかなる場合が大きいのですが、2.のような場合になると人の認識を考えずに単純に方法論を適応すると結構、ひっちゃかめっちゃかになって終わるという場合も少なく無いように思ってくるわけです。これは以下のリンクでベイトソンが言っていたように「世の中の主たる問題は、自然の摂理と人の思考の差異によって生じる結果である。」と関係しているように思います。

つまり、コンピュータのような機械だけを対象にした分析であれば、機械論をベースにした初期のサイバネティクスのようなシステム思考を使えば良いのですが、人の認識や行動がシステムに作用してくると、サイバネティクス、はたまたベルタランフィの一般システム論では少々心許なく、外的な世界と内的な世界を統一的に扱える複雑系やオートポイエシスをベースとしたシステム論が必要だと思っているわけです。

それで今日ご紹介するのは、人の認識が循環的にシステムに関与してくる時に活用できるシステム思考です。 このシステム思考は「タオ自然学」の著者であるフルッチョフ・カプラの提唱しているシステム思考で、少し前に読んだ氏の著書「Web of Life 」ではこのシステム論を生命に適用していたオートポイエシス・ベースのシステム論が展開されていた読書メモが手元に残っています。

(参考)



システム思考におけるパラダイムシフト

それで、1994年にカプラが行なった講演録を元に書かれた「Fro m   t h e   Pa r  t s   t o   t h e   W h o l e S y s t e m s   T h i n k i n g i n   E c o l o g y   a n d   E d u c a t i o n」が存在します。 [2]

西洋の思想は基本的にそれまでの思想の前提からラディカルにひっくり返すような特徴を持っていますが、上の講演録に従来の思考法とカプラの提唱するシステム思考はどの点においてパラダイムが異なっているのかが明確になっています。

具体的な話をする前にこの抄訳が以下のリンクに存在するのでご紹介しておきましょう。


·           <部分>から<全体>への転換
·           <分析>から<コンテクスト(との関連付け)>への転換
·           <実態>から<関係>への転換
·           <ヒエラルキー>から<ネットワーク>への転換
·           <構造>から<プロセス(過程)>への転換

が主なパラダイムシフトです。

それで、個人的にシステム思考と言えば、現在、TOC 思考プロセスを簡単にして[3]、身体知や直観も使いながらダブル・バインドを発見し、そのダブル・バインドを超えることで問題解決を行い、実行計画にまで落とせるSTP (Simplified Thinking Process ) が大体完成したところなのでそのうちどこかでお披露目しようと考えています。

この方法論は、人がワーキング・メモリの中で(意識的に)同時に認識できるチャンク・サイズは7±2という仮説がありましたから、(無意識で感じる)なんとなくの違和感といったことも使い、さらに、普段は意識に上がっていない、要素同士の関係性にも焦点を当てることで、システム全体を意識しながら課題を解決し、ありたい未来を描きましょう、というような仕様で設計しています。

余談ですが、日本の原発の問題、あるいはエネルギーの問題をシステム思考で考えたらどういう結果になるのでしょうか? もちろん、どこまで深い関係性を考えるかにもよるのでしょうが、現在の議論よりかなり深い議論はできるのではないかと思います。 
文献
[3] http://en.wikipedia.org/wiki/Thinking_processes_(Theory_of_Constraints)

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

2 件のコメント:

  1. 松尾さんもご存じのMOSという某勉強会で、現在は「システム思考」をやっております。
    ダニエル・キムの「成功循環モデル」は知っていましたが、「システム思考」の本をまじめに読むのは恥ずかしながら初めてです。

    返信削除
  2. 実はその勉強会に参加しなかった理由が2つあります。

    (1) その手のシステム思考は知識としては良いのですが、もっと洗練されたシステム思考でないと現場ではあまり役に立たない。

    (2)第一世代のサイバネティクスを引きずっているシステム思考は結構、二元論的で、行動主義的で、人の認識と外的世界が相互作用する部分が忘れられがち、です。

    95年くらいに大前研一さんが監修してセンゲのシステム思考の本が翻訳されましたが期待されたほど売れなかったと聞いています。(最近、リバイバル版が出ましたけれど。)で、個人的には東海岸系の人のシステム思考はあまり好みではないです。

    返信削除