2011年9月25日日曜日

ゆるい思考とアブダクション

今日は自分の頭の整理も兼ねて、まずは思考の種類について書いておきましょう。


大まかに分けると演繹と帰納の2種類

思考、といってもこれを認知科学や脳神経科学の視点からどのようなプロセスで行われているかという視点で定義するのは少し難しいところがあります。

それでも、経験的に、(意識の世界で)言葉や記号を使って、


  • 抽象的なフレームワーク(あるいは一般法則)を現実に適応して思考する演繹法
  • 逆にいくつかの現実から一般法則を導き出す帰納法
という具合に考えるのが一番しっくりくるように思ってきます。



それで普通にロジカル・シンキングと言うと上の表の演繹と普通の演繹の活用ということになります。

しかし、人は負のエントロピーを食べて好き勝手に考え、そして振る舞う、という特徴があるわけであり、もっと言えば、いくらロジカルといっても神経系を使ってこれを行っているわけでしょうから、単に思考だけの問題ではなく、知覚-情動・感情‐思考が相互作用しながら、物事を知覚、認識し、そのことについてアレコレ推論を巡らせるというような、以下のリンクで書いた構造微分のような考え方が必要ではないかと思ってきます。

http://ori-japan.blogspot.com/2011/08/blog-post_25.html

また、人は自分でも気づかない、高次の心に、思考のフレームや暗黙の前提をおいて考えているため、自分が居心地の良い思考空間をつくって、そのハコ中でだけで物事を考えてしまいがちです。 

つまり、そのハコから出るのは感情・情動的な抵抗を伴うために、

  • 演繹を行う場合には、今持っているフレームワークと無意識に整合性を取って使っている、あるいは逆に、今持っているフレームワークと矛盾するようなものは無意識に排除する
  • 帰納を行う場合には、今持っているフレームワークから飛び出さない範囲で行っているようなことになりがちです。

それで、頭では分かっていても、気持が良すぎてこのハコから出られなくなると、いわゆるガラパゴス化ということになるのでしょうし、逆に気持の悪いハコに閉じ込められて頭では何とかしたいのだけれども、気持が落ち込んでしまっているし、方法もよく分からないという状態がダブル・バインドということになるように思ってきます。

 もっとも最近は、普通の演繹と帰納を使って思考法はインプットが同じなら結論は誰が行っても似たような結論が導かされるために、より創造的な結果を導くために、


  • インプットにあたる情報収集について、人類学のフィールドワークの手法を使って、五感をフル活用した観察で得た暗黙知、つまり質感の情報を入力として使いましょうという方向か
  • インプットされた情報に対してチャールズ・サンダー・パースの言うアブダクションを活用しましょうという方向になってきているように思ってきます[1]
それで、ベイトソン的には前者が「ゆるい思考(Loose thinking)」と言われる、いわゆる自分の信念・価値観のフィルターを一端保留して思考や身体感覚にタメをつくって観察を行う現象学的還元にあたりますし、後者はメタファーを活用して現在持っている信念・価値観のフィルターを変化させる思考法になり実際にはこれらの区別を付けるのは難しいとパースの本に書いてあった覚えがありますが、このあたりの具体的なやり方については、はおいおい書いていこうと思っています。


文献


[1] http://ja.wikipedia.org/wiki/アブダクション
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