2011年10月5日水曜日

節電のための5Focusing Steps

昨日は、秋葉原某所で行われた、ゴールドラット・コンサルティング主催の映画「ザ・ゴール」日本語字幕版試写会に参加してきました。

 この映画は1984年に出版されたエリアフ・ゴールドラット著「ザ・ゴール」[1]をドラマ仕立てにした作品で、この中で

·           スループット、業務費用、在庫といったスループット会計の概念(ある意味どんぶり勘定)
·           不確実性 x 変動に対する対処するために制約に着目する重要性
·           将来ドラム・バッファー・ロープとして概念化される概念
·           5Focusing Steps

が短時間で理解できるように工夫されており、個人的にはTOCの本質を再確認させられることになりました。

311震災時の節電についての考え方

それで、今日は、311の関東東日本大震災が起こった時に、節電についてこのTOCを適応した考え方について書いたメモがあるので、これを載せておきます。

一般システム論を提唱したベルタランフィによれば、システムは「相互連関する諸要素が複合関係的にくみたてている動向の総体」と定義されています。 

それで、世の中のすべての事象は相互連関する要素が複雑にからみ合って起きているわけですから、こういった現象の裏にある原因を特定し問題を解決するためにはシステム思考を行う必要がありますよね・・・というのがここでの主題です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/システムズシンキング
http://en.wikipedia.org/wiki/Systems_thinking

もっとも、こういったシステム思考にも、そもそも論としてどの理論を採用するのか? また、実際にどのようにこれらの理論を実装したシステム思考を使うのか?といったことが考えられます。

ここでは、組み合わせが無限になる要素の関係性に着目するよりも、不確実性x変動性も考慮に入れ、今最も制約になっているほんの少しの点に着目することで問題を解決の取り扱いを容易にしたTOC(Theory of Constraints)を用いて、具体的に節電を行うプロセスとしての 5 Focusing Stepsについて書いておきましょう。

節電のゴールは何か?

始めに、「そもそも自分にとって節電を何のために行うのか?」というような少し前向きなゴールを決定する必要があると思います。

これが製造業などだと、「供給される電力量に対して最低○○個以上の製品を製造する」というような定量的で非常に分かり易いゴールになるわけですが、東電側からみたら、ピーク時に電力不足が起こって停電を起こさない、あるいは、もう少し前向きにゴールを設定すると、ピーク時にも十分な電力を供給する、となるでしょう。また、一般家庭の場合は、もう少し定性的で曖昧な「供給される電力量に対して最も快適に過ごす」といったようなゴールを設定になるのではないかと思います。

システムの制約は何か?

それで、次に、自分が取り扱おうと思っているシステムの制約が何か?を特定する必要があるわけですが、 Wikipedia を参照するとTOCの5 Focusing Steps について以下のように書かれています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/制約条件の理論#TOC.E3.81.AE.E5.AE.9F.E6.96.BD
 

  1. 制約を特定する (ボトルネックはそのプロセスの前の製品在庫により識別される)
  2. その制約を徹底活用する方針を決める (その有用性と効率性を増やす)
  3. ほかの全プロセスをその制約プロセスに従わせる (ほかのプロセスはボトルネックに従属させる)
  4. 制約を底上げする (もし必要なら、恒久的にボトルネックの許容量を増やす)
  5. すすぎと繰り返し (行動をとると、ボトルネックは移りゆき、さらなる注意が求められる)

  
問題、課題を解決するためには、まず問題、課題を正しく設定する必要があるわけですが、まず、話の前提として

・電気は基本的に貯めておくことができないということ。(貯水して位置エネルギーに変えておくことは可能)
・発電プラントは一日の電力需要に応じて発電力を調整することが難しいこと。

があげられます。 

そして、最も大きな制約は電力が最も消費される7-8月の任意の日におけるピーク時の消費電力にあることが分かります。

http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html

従って、前出の5 Focusing Stepを使ってこの制約を最大限活用することを考えると。


  1. 制約を特定する (7-8月のピーク時の消費電力)
  2. その制約を徹底活用する方針を決める (例:計画停電、時間変動料金の導入、サマータイム、対象地域外への引越し、etc.)
  3. ほかの全プロセスをその制約プロセスに従わせる (ほかのプロセスはボトルネックに従属させる)
  4. 制約を底上げする (休止中の火力発電所を動かす、自家発電、etc)
  5. すすぎと繰り返し (行動をとると、ボトルネックは移りゆき、さらなる注意が求められる)

  
  のようになります。

もっとも、これは国や電力会社に提案する視点で書いていますし、実際の施策を行う場合にステークホルダー間のコンフリクトの調整が只ならないことになるのは容易に予想することができます。 

 それで、結局は自分でコントロール出来る範囲のことを考える必要があると思われるわけですが、例えば、個人で取れる行動ということを考えると、地域外に引っ越すとか、夏だけ涼しい場所で過ごすなど、色々アイディアは出てくるわけです。 

 また、逆の言い方をすると、何が最も制約になっているのかを考えない単なる節電というのは、単なる局所最適なので、全体最適の点からはまったく無意味であることも理解できます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/節電


何れにしても法人にしても個人にしてもしばらくは電気、もっと正確に言うとピークの消費電力というのが仕事や生活において大きな制約になりそうだ・・・ということにはなるのではないかと思います。 

それで、これを機会に「今までの小さな枠から出て」ライフスタイルや仕事のスタイルを大きく見直してみるというのはありなのかもしれませんが・・・この見直しを行うにしても、最終的には、最初に話した何を大切にするのか?何を達成するのか?というところに沿っているわけです。

それで、そもそも論としては、行動は自分のゴールに従属するわけであり、改めてゴール設定の重要性が改めて認識できるのではないかと思います。 もっとも、個人の生活に節電が最もシビアなボトルネックになるのか?と言われると多くの人はそうではないのかもしれませんが・・・



追記:
リサ・シェインコフ著でTOC 思考プロセスに関するバイブル「Thinking for a change」を参照すると 5Focusing Steps は基本物理的な制約に使えと書いてある。論理的な制約、つまり方針制約やパラダイム制約について取り扱う場合もあくまでも、物理的なプロセスにこれを投影して活用することが重要だと読める。


http://www.amazon.co.jp/dp/1574441019

文献
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