2011年10月11日火曜日

短期・戦略療法における6つの戦略

 今日は、短期・戦略療法における6つの戦略というテーマで少し書いておきましょう。

 この前、神戸大学経営学大学院の金井先生の tweet を読んでいたところ、MITのスローン校で教えていた組織開発の専門家であるエドガー・シャイン先生[1]が、現在、エリクソニアンな方とチームを組んで組織開発講座、特にチェンジ・マネジメントのような講座を実施されているというようなものがありました。

 それで、個人的にはこの tweet に非常に興味があったのですが、やはり個人や組織がその認識を変え、そして変化する環境に適応して生き残っていくためのチェンジ・マネジメントの具体的な手法として、エリクソニアン、つまり心理療法家のミルトン・H・エリクソン[1]に端を発する短期・戦略療法のアプローチは非常に面白いなと思ったわけです。

短期・戦略療法的アプローチの要点

それで、個人的には、実は俄エリクソニアンでもあるわけなのですが、仕事や日常生活の場面でも活用できる「短期・戦略的なアプローチ」の要点について書いておきたいと思います。

 エリクソン財団の主催している、「10th International Congress on Ericksonian Approaches to Brief Hypnosis & Psychotherapy」のカンファレンスで発表された「Hope and Resiliency(希望と立ち直る力)」と題されたエリクソンが治療の用いた戦略を凝縮した非常に素晴らしい著作が見つかります。 


 もっとも、少し前まで財団のサイトのリンクから参照できるドキュメントが公開されていたのですが、現在はそのリンクが削除され、英国のクラウンハウス・パブリッシングから書籍の形式で販売されることになったようです。

6つの戦略

それで、本書で取り扱われている、その戦略は以下になります。



l       Partitioning → 否定的な連合(事象→情動/感情の結びつき)を細かくブレイク・ダウンしてもらう。悩みをひとつの大きな塊として認識するのではなく、幾つかに分割する。
l       Progression → 細かい成功体験を積み上げてもらう。小さな成功→情動/感情を逆に大きな塊として綜合するようにする。
l       Distraction → 固執していることから注意をそらしてもらう。
l       Reorientation → 否定的な信念から予想される否定的結果の方向を肯定的な方向に変えてもらう。
l       Suggestion →  現在予期している結果から、別の可能性に目を向ける示唆を行う。
l       Utilization → 現在起こった偶発的な現象から将来の可能性に目を向けてもらう。基本的にはJazzのインプロビゼーションのようにクライアントとの相互作用の中で利用おこる作用を積極的に活用しようという考え方。(例えば、偶発的出来事から良い意味のセラピューティック・ダブル・バインドこしらえる。)


 著作の中では、それぞれの戦略をよりブレイク・ダウンした具体的な戦略→言語などの具体的なスキルという流れで言及されています。(但し、一部上位のカテゴリ-と異なるところがあります。)  

 プロジェクト・マネジメントなどでもそうですが、物理的な世界の出来事と人の認識が相互作用して、何か問題となっているような場合に、エリクソンのやり方は、人の認識に着目して問題・課題を解決するようなやり方になっているわけですが、人のこころの中の原因を探る精神分析とはパラダイムが異なり、とにかく、結果や解決策に焦点を当てた手法は非常に使い勝手が良いと感じているのが個人的な実感です。

文献
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