2011年10月12日水曜日

力士のプロレスへの転向を阻むボディ・スキーマ

今日は、「力士のプロレスへの転向を阻むボディ・スキーマ」ということについて書いておきましょう。

最近、不祥事続きの各界、ブックオフで寂しそうに立ち読みしている若手力士をみかけたり、隅田川の河原で一人寂しくジョギングしている力士を見かけたりするわけですが、個人の努力だけでは何ともならないところも多いなかなか大変な時期なのだろうなと思う今日この頃でもあるわけです。

相撲からプロレスへの転向を阻むもの

 さて、少し前の日刊サイゾーの記事に個人的に非常に面白いと思った「元力士のプロレス転向を阻む壁」というのがあります。 


 それで、要は、認知科学で言うところの空間の中で自分の身体をどのように捉えているというような、高次の枠組みや身体図式、つまりボディ・スキーマ[1]が相撲とプロレスで異なるために、これが転向を阻んでいるというようにも読めてきます。

つまり、相撲独特のボディ・スキーマがあるとすると、それは日々の練習の積み重ねから帰納的に構築されたものでしょうから、地面に吸い付くような安定感を持った相撲独特のボディ・スキーマを簡単に捨ててしまって、リングの中を七面六臂といった形式で、空高く飛び上がったり、宙返りしたりというような、プロレス独自のボディ・スキーマを学習出来るのか?というと、これが中々難しい。

 また、空高く飛び上がる、宙返りをするというような身体の使い方をすると、その身体感覚に恐怖心が結びついてしまっていることが練習することを阻害してしまっている、というようなことになってくるわけです。

 それで、サイゾーと言えば、苫米地英人氏が社主だったので、編集には干渉しないといっても、認知科学に帰着する少しマニアックな話題は趣向に合っているということなのでしょう。

臨床するオートポイエーシスがヒントになるのだろうか?

 さて、もし力士のプロレスへのコーチングを担当することになったら、どのように支援するのが良いのか? について少しシミュレーションを行なってみましょう。

個人的には、河本英夫先生の「臨床するオートポイエーシス」が凄まじいほどの良書なのですが、 これがヒントになるのではないかと考えています。


 本書は、脳の障害のために片麻痺になった人達にどうやって回復してもらうのか?という主題で認知運動療法(≠認知行動療法)について書かれた著作です。  

 認知運動療法についての本書を読んだ個人的な理解としては、片麻痺の治療法として、クライアントは認知の枠組みとしての高次のボディ・イメージ(認知系)を失っているため、このイメージを脳の可塑性を利用して回復しながら、知覚を呼び覚まして、認知系と運動系がつながるように訓練していく・・・・です。  

 本書を読むと、力士がプロレスに転向する時も、同様のプロセスで新しい、ボディー・イメージやボディ・スキーマを獲得して、遠心神経や求心神経系につなげていくような、ある意味「リハビリ」が必要になるように思ってくるわけです。

 こういった、ことが出来ると「力士のためのプロレス転向コーチング」というのが成り立つのかもしれませんが、一度身につけた空間認識というような高次の機能は上手くメニューを組み立てて効率的に練習することで新しいスキーマを獲得しないと難しいようにも思ってくる今日この頃でもあるわけですが

、認知科学をベースにしているオントロジカル・コーチング(オートポイエーシスがベース)とかジェネラティブ・コーチングとかメタ・コーチングだったらこのあたりのことを扱えるかもしれないなと、自転車に乗って私の脇をすり抜けていった力士を見るとそういう妄想が沸き上がってきた秋の1日だったわけです。

文献
(参考)http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/57405/1/eda047_285.pdf

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