2011年10月18日火曜日

フィードバックとメッセージ

今日は、フィードバックとメッセージについて少し書いておきましょう。

フィードバックは元々機械制御などの概念

フィードバックという概念は元々サイバネティクスに端を発する概念です。[1]

それで、これにも基本2種類あって、一つがネガティブ・フィードバック、もう一つがポジティブ・フィードバックです。

一般的に、機械の制御系は基本的にネガティブ・フィードバックで行われます。 簡単に言うと「~の基準より~外れているので元に戻しなさい」というようなシステムの安定を目的にした情報のやり取りで行われるのが基本です。

 余談ですが、ここで「情報」という概念についても少しおさらいしておきましょう。グレゴリー・ベイトソンの「A difference that makes a difference .」つまり「差異を生み出す差異」という言葉を引くのが一番わかり易いのですが、

 まず、前提としては観察者が存在しており、観察者が2つの要素にある1つの差異を認識した際の情報が「1bit」と定義されています。 つまり情報とは観察者と観察対象のフィードバック・ループの中で形成される概念ということになります。

ネガティブ・フィードバックのお話に戻しましょう。 飛行機の制御を考えた時に「高度が3,000ft. から 100ft 下がったからこのままいくと何分後に地面にぶつかるので高度を上げて 3,000ft まで戻しなさい」という制御になっているわけです。

 それで、問題が起こるのは、ネガティブ・フィードバックの考え方を人間関係に持ち込んだ時なのですが、基本、悪い意味で「~ すると~ なるのでやってはいけません」、例えば、「規則を破ると処罰されるよ」というような小学校や中学校の校則のような表現になってしまうので、ある程度大人になると「うっせーな」となってしまう特徴があるわけです。

 そこで使われるのが、ポジティブ・フィードバックという考え方、複雑系などではお馴染みですが、要は「~ すると もっと良くなるよ」というメッセージを返すこと。

 但し、ポジティブ・フィードバックは現在のシステムを不安定にして別の状態を引き起こす要因になるということが注意点です。 例えば、比喩的ですが、飛行機の制御では「いやぁ、その高度の下がりっぷりには見惚れるねぇ。もっときゅぃっと降下しなきゃぁ」などという制御はシステムに無理がかかるので、こういった制御が用いられることは絶対にあり得ません。

 それで、モデルさんを褒めまくって大胆なポーズを取らせるのがうまいカメラマンではないのですが、


 ポジティブ・フィードバックを組織やチームなどの人間系に適用した場合、これが良い方に出て、創発が起こる、画期的なアイディアが生まれる、イノベーションが起こるということになれば良いのですが、裏目に出た時は、気持ち悪い自己啓発セミナーの一場面や、何かわけがわからないけれど、何を言っても、下手糞なカラオケだったとしても、とにかく褒めてくれる場末のスナックみたいな状態が出現してしまうという具合になってしまうというわけです。


 まぁ、このあたりが課題なのでしょう。

メッセージとメタ・メッセージ

それで、機械の制御系であれば、単にデジタルな定量情報がやり取りされるわけですが、人はデジタル情報、例えば言葉そのもの、を読み取る以外に、アナログ情報を読取る能力があります。

 もっとも、この能力が素晴らしい方向に働くケースもありますが、逆の方向に働くケースもあってこれが人間の面白いところでもあるのでしょう。

 以前、ご紹介した例でご主人が奥さんに「このコーヒー、まずいよね。」と事実を伝えるという場面について書いた回があったわけですが、


 奥さんのほうが、コーヒーがまずいというメッセージについてのメッセージ、つまり普段は意識に上がっておらず気持や感覚として感じるメタ・メッセージについて、

その時の状況と相まって、

「お前の入れたコーヒーはいつもまずいなぁ、入れ方に問題があるんじゃないのか?」とか
「お前の入れたコーヒーがいつもまずいな、性格が曲がっているからじゃないのか?」

という具合に受け止めると喧嘩が起きたり、落ち込んだりということになってしまうということになってしまうということについて書いたわけです。

 それで、今日は何が言いたかったのかというと、人は、事実としてフィードバックを返したつもりでも、相手はネガティブ・フィードバックとして捉える、あるいは、相手を褒めるつもりでポジディブ、ポジティブ・フィードバックを返したつもりでも、メタ・メッセージとしてネガティブ・フィードバックを送ってしまう可能性がありうる。


 また、かなり高度な「褒め殺し」のように、一見ポジティブ・フィードバックで褒めているように見えて、メタ・メッセージとしては、嫌味を言われていることがあるというようなことを言いたかったわけです。

 例えば、あなたが新人を連れて得意先を訪問した時、当然状況にもよりますが、「御社は自由闊達な会社で羨ましいねぇ。」 と言われたとしても、もしかしたら「ちょっとやんちゃがすぎるので、もう少し真面目にやって欲しいねぇ」というメタ・メタメッセージが含まれている可能性が多分にあるという具合です。 

 もっとも、メッセージとメタ・メッセージのギャップが、「ユーモア」になったり「ボケ」の源泉でもあるわけで、逆に言うとこのあたりが人のコミュニュケーションの面白さなのでしょうけれども。

文献
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