2011年10月30日日曜日

ザ・ゴール(再読)



人はもともと善良である、ものごとはそもそもシンプルである。

エリアフ・ゴールドラット


今日は、「ザ・ゴール(再読)」というタイトルで少し書いておきましょう。

本の再読はよいものですねぇ

 少しだけ時間が出来た時に、昔読んだ著作を再読してみるのも、良いものです。

人間は誰でも日々進化しているのかもしれませんが、少し時間をおいて再読してみると、昔は気が付かなった深い意図に気づいたり、新しい視点から眺めることができたりと、同じ著作でもまったく印象が違ったものになってきます。

もっとも、ここで「成長」という言葉を使わずに「進化」としたのは、成長はどうしても規模の拡大、量の拡大を意味しているため、体重とウエストサイズばかりが大きくなってもねぇ、あるいは物欲ばっかり増えてもねぇ、ということに対するカウンター・プロポーザルにもなっているというわけです。

さて、最近、エリアフ・ゴールドラットの「ザ・ゴール」の日本語字幕版の試写会が開催されたのを良い機会にして、この本を再読してみたわけですが、やはり良い意味でも悪い意味でも新しい発見があるのは非常に面白いことだと思ったわけです。


「ザ・ゴール」もキャンベルのヒーローズ・ジャーニーの形式を取る

もともと、「ザ・ゴール」の著者、故エリアフ・ゴールドラット博士は、製造業のスケジューリングのソフトウェアを販売していたそうですが、このソフトウェアに組み込まれているロジックを使ってコンサルティングを行おうと考えた際に、イメージがつかみにくいので小説形式にして本書を出版したところベストセラーになったという経緯があると聞いています。

  さて、「ザ・ゴール」はご存知の方も多いと思いますが、主人公であるアレックス・ロゴが本社の副社長から閉鎖寸前の機械部品工場の立直しの大任を押し付けられ、もし立て直しに失敗した場合は、工場を閉鎖して従業員を全員解雇するという提案を突きつけられ絶体絶命のピンチに陥るころからこの物語が始まります。
 
まさに、ジョセフ・キャンベルの「ヒーローズ・ジャーニー」のパターンからすると、平穏な日常生活の中から、境界を超えて旅に出る決断を迫られるというような場面に遭遇することになります。

    なんの変哲もない日常生活から一転して天命を聞くことになる。
    葛藤の末にその天命に従うことを決める
    いままでの境界を超えて冒険に出発する

そして、

④メンター、師匠と出会う 

という出来事から次のステージへ、

アレックスの出張中、たまたま空港で出くわした大学時代の自分の恩師であり物理学を教えているジョナに助言を求めるというメンターとの出逢いに発展します。
 
 ジョナはアレックスに現実に起こっている現象を別の視点から見ることのできるフレームワークを渡し・・・そもそも企業のゴールとは何かということから考えてもらうことになります。

 それで、アレックスが勤務する工場のほうも相変わらず、ピンチなのですが、泣きっ面に蜂ともいうように、ここでアレックスの奥さんが夫に三行半を叩きつけるというような別の困難も起こってきます。

⑤困難に直面する

 それでも、アレックスはジョナの助言を真摯受け止め、自社の工場に実際の施策として落とし込んでいきます。

⑥新しい自己、新しい能力を開発する、支援者が現れる

 それで実際には現在の工場の業績を制約している物理的制約、方針制約、パラダイム制約に気がつき、これを変えていくということになるわけです。この小説の場合、制約が市場ではなく工場の中にあるという設定になっていますからとにかく、市場からの需要に答える形式で工場の中のルールや仕事のやり方を変えれば業績が向上していくことになります。

⑦最大の困難を迎えるがこの困難を克服して新しい自己、能力、報酬を手に入れる

事態は一転、工場閉鎖は免れ、その企業の工場の中でも最も業績の高い工場として再生されます。

    旅から帰還する

 そして、主人公であるアレックス・ロゴは、工場の立直しに成功、従業員の雇用と地域経済へのダメージも回避、妻や家族との関係も修復してヒーローズ・ジャーニーから帰還という展開になります。

「ザ・ゴール」をコーチングの視点から読む

それで、「ザ・ゴール」をどう読み解くのかということには様々な視点があるのでしょうが、次に、主人公のアレックス・ロゴに焦点を当てるのではなく、非常に卓越した才能をもったコーチのロールモデルとしてのエリアフ・ゴールドラット博士自身を投影させたと思われるジョナについて焦点を当ててみましょう。
 
実際にジョナの言動をモデリングしてみると実際にコーチングとして行っていることは以下のたった3つのことだけという非常に面白い事実に氣がつきます。


l       ゴールの設定

    最終的なゴールは何か?について考えてもらい、それを設定してもらったこと。

l       リフレーミング

 最初に行ったことは、家族療法で用いられているようなリフレーミングを使って、アレックスの思考フレームを転換させたこと。→外的世界で起こっている現象を見るメガネとそのモノサシを変えるように助言したこと。

つまり、物事を局所的なコストの視点からだけで見る思考フレームから全体の流れを考えたスループットの視点で見る思考フレームに架け替えるように助言し、スループットとは何かを説明したこと。実際のビジネス上の決断は、このスループットを基本にして、TP(スループット)OE(業務費用)I(インベントリー)の3つの指標で行うことができることを示したこと。
.      
l       相手に氣づかせる質問
  ゴールを達成するために、

 何を変えるのか?
 何に変えるのか?
 どうやって変えるのか?(未来の変化を起こすために今どういう種をまくか?)
 
を本人に氣が自主的に氣づくように質問したこと。そして、気づいたことをアレックスがまとめ自主的に施策として実行したこと。


もっとも、実際のコンサルティングの現場ということになると実はクライアントの思考フレームを変えてもらうというところが企業文化や企業のコンピテンシーと複雑に関連しているため一番難しかったりもするのですが、「ザ・ゴール」では主人公のアレックスが何事のなかったかのようにコスト・ワールドからスループット・ワールドへ思考フレームの変化を受け入れているというとろこが一番のポイントのように思えてきます。
 
 そして、自分自身で気づいたことを次々実行してアレックスは、工場を閉鎖の危機から救うということになるのですが・・・・・ここでゴールドラット博士が一番言いたかったのは、普段に当たり前だと考え、ある種自分自身やグループが囚われている思考フレーム、思い込み、常識、パラダイム、それ自体を疑い、必要に応じてそれ自体を変えることの重要性だったようにも思えてきます。

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