2011年10月3日月曜日

最小多様度の法則(The Law of Requisite Variety)





外的世界の多様性に適応するためには、自分の中にそれ以上の多様性を持たなければならない。それを持たずに適応しようとすれば確実に自分を見失う。

ひとり言



今日は、最小多様度の法則について書いておきましょう。

企業のダイバーシティ・プログラムの根底にある考え方

 最近は、日本でも随分知られるようになってきましたが、企業で行われているダイバーシティ・プログラムというのがあります。 これは有体に言うと企業内で女性の力を活用しよう、といったことや、障碍者の方の活用を考えようといったようなプログラムとして実施されます。

 元々こういったプログラムの元をたどると、米国系の企業で実施されていたプログラムの本質を考えずに導入されていることが多いのですが、実は、日本の人事担当者に聞いても、なぜ、こうったプログラムを導入するのか?その根幹の理論を理解されていない方も少なくありません。

それで、今日ご紹介するのが、こういったプログラムの理論的な背景にある、サイバネティクスの研究者、ウィリアム・ロス・アシュビーによって提唱された「最小多様度の法則(The Law of Requisite Variety) 」という概念です。[1]

この概念の要点は、「システムが変化し続ける環境に適応するためには、環境が持つ多様度以上にシステムは多様度を持つ必要がある。」という法則です。

 ここでは数学的に証明された結果は示しませんが、企業組織を一つのシステムとして考えると、このシステムが生きている環境の変化にグローバル化、デフレによる競走激化、日本に限って言えば、急激な円高、場合によっては災害に起因する変化などがあげられます。

それで、組織が急激な変化する環境に適用して勝ち残っていくためには、企業組織の中に環境以上の多様性を持つ必要があるというわけです。この法則の提唱者であるアシュビーによれば、「多様性は多様性によってのみ打ち砕くことが出来る」と提唱されていますが、やはりこの言葉は思いと考えざるを得ません。

 もっとも、企業組織のようなある種の有機体をシステムとして考える場合は、社会学者のニクラス・ルーマンが行なったように通常のシステム論ではない生命を扱えるオートポイエシスのようなシステム論を援用し、情報を構成素とするようなシステムとして考える必要があるのでしょうが、何れにしても組織の中に自ら変化する源泉としての多様性を実装する必要があるのは明らかだというわけです。

 また、余談ですが、日本企業は国内で活動している限りでは人種というパラメータが問題になることは少ないのですが、元々、ダイバーシティ・プログラムは様々な価値観、物事の見方、文化の多様性を生かして、今まで盲点になっていた事業機会に気づいたり、新しい製品やサービス開発に活かそうという考え方であるわけですから、本格的にこれを行うには根本的な機構改革が必要であり、短期的には業績に対してマイナス、また導入に失敗して閾値を乗り越えられないと中長期的にもマイナスになることには注意が必要だと思います。

文献
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