2011年12月17日土曜日

ゴール設定のガイドライン(その3)



未来を創発させる方法論というのは非常に重要なことなのだろうなぁ。

独り言


今日は、「ゴール設定のガイドライン(その3)」と題して少し書いておきましょう。

アウトカム設定=経験の先取り

アウトカムの定義については以下で書いています。


それで、上ではアウトカムの設定=経験の先取りとしています。

つまり、将来にどのような経験をしたいのか?それについて考えるのが基本的なアウトカムの設定になるわけですが、

経験ということになるとデカルトの心身二元論、あるいは主客二元論を超えて、将来のコンテクスト(場)における心-身体-情動の関係性を考える必要が出てきます。


アウトカムとは、

想定した将来のある時点において 、無色透明の第三者の視点からの

Mind
l       (基本的に定量的な指標で表現される)目標、ゴール
l       (必要に応じて環境に出現する物理的な)成果物 

また、それを知覚・認識している認識主体の 主観的な視点からの

Body
l       知覚の感覚 - アウトカムが実現した時に存在するだろう知覚

Emotion
l       心身状態 – アウトカムが実現した時に、信念、価値観、能力を反映した定性的な·心身状態
l       その他  

を含む経験そのものと考えています。 

  
  
それで、アウトカムについて昨日書いた切り口から考えると、Mind = 形式知、Body/Emotion = 暗黙知の両方を含む経験の先取りを考えるということになってくるわけです。

アウトカムを創るための質問

それでこのアウトカムを明示する質問を以下に書いておきましょう。[1]
もちろん、以下の質問はシーケンシャルに行うだけではなく、順番を変えて繰り返し行う必要があると思います。

1.      心を落ち着ける

最初に、心を静めてアウトカム設定に最適だと思われる心身状態にはいりましょう。 コーチング/ファシリテーションの場合を行う場合、コーチ/ファシリテーターはクライアントと深いラポールを築くことから始めることになるでしょう。

2.      アウトカムを明示する

 基本的な質問は、What do you want? (何が望みですか?)です。「来年の大晦日に何が得られていれば良いでしょうか?」「このセッションが終わるまでに何が明確になっていれば良いでしょうか?」といった質問になります。

ここでのポイントは、最初に愚痴や不満、問題などについての発言が出てくるかもしれませんが、最終的には、望まない対象ではなく、望む対象に焦点を当てる質問を行いましょう。

また、義務でやらなければならないこと(Have toMust)ではなく、やりたいこと (Want to )に焦点を当てるようにしましょう。ここでも、心-身体-情動に着目して何があっても達成したいこと、コミットメントする価値のあることを探りましょう。

 良いコーチ/ファシリテーターにあたると、最初のとりかかりは、不満から始まっても上手く、望むアウトカムにリフレーミングしてくれる支援が期待できます。 また、このプロセスを丁寧に進めていくと、現在不満があればあるほど志の高いアウトカムに転換することが出来るでしょう。

3.      アウトカムが得られた場面を知覚ベースの表現にする

ここでは、How will you know when you have it? (それが得られたことは五感のどの感覚で、どのようにして分かるのですか?) というようなアウトカムを知覚情報で表現してもらうような質問を行いましょう。 知覚情報に戻すことで将来獲得したい暗黙知の情報を取り扱うことになります。

 また、情報の抽象度を下げて、知覚の情報に戻すことでそのアウトカムが実現できるかどうか?実現性を確認することにもつながります。

4.     アウトカムが得られた時のコンテクストを確認する

ここでは、When , Where and with whom do you want it ? (いつどこで、誰とそのアウトカムを得たいですか? )というようなアウトカムが得られた時のコンテクストを確認する質問を行います。

 併せて望ましくないコンテクストも確認しておくのがポイントです。何時だと良いのか? 誰だと良いのか? どこだと良いのか? に併せて、何時だとマズイのか?誰とだとマズイのか?どこだとマズイのか? も聞いておきましょう。

 ここで、アウトカムを実現するためのコンテクスを含め最良のシナリオと最悪のシナリオの幅が分かってきます。

5.      アウトカムが得られた場面のその人の価値観、クライテリア(価値基準)を確認する

ここでは、What will having this outcome do for you ? のように、それが得られた時の価値観、価値基準を尋ねる形式になります。意訳しておくと、そのアウトカムが得られた時、あなたの持っているどんな価値観を満たしますか?またそれはどの程度重要ですか?

です。

 例えば、プロジェクト・マネジメントの価値基準としてQ(品質)、C(コスト)D(期日)が存在しますが、このレンズ使ってアウトカムを考えると、今回、アウトカムが得られた時点で重視されている価値基準はどれかを確認しておくことが重要です、例えばこの場合、今回は、D(期日)を最も重視するという具合。 価値観を確認しておくことは、途中、突発事態が起きた時にどういう方針で行動するかといったことに非常に役立ちます。

個人的な価値基準はそれが達成された時の感情、情動に着目すると分かる場合があります。

 アウトカムが達成された時、「こんなはずではなかった」とならないためにもこれを確認しておくことは重要です。

6.      他人、他のグループへの影響を確認しておく、エコロジーの確認

 この質問は、How will your achieving this outcome impact other parties involved ? の形式になります。 これは、ゴールを達成した時、これを取り巻く、他人、他グループへの影響を確認するための質問です。  

 余談ですが、例えば顧客に対するマーケティング戦略を考えたりする時のことを考えてみましょう。顧客への影響を確認するのがこの質問にあたります。 

ここでの前提を冷静に考えると、顧客や市場は自分のコントロールの外にあります。つまり、自分や自社が出来ることを行なうことで多少顧客の認識などには影響を与えることはできるが、どう思考しどう行動するかどうかは顧客次第という考え方になります。 顧客は顧客の思考で行動しているわけであり、無理に、顧客を操作してやろう、顧客をこうしてやろう、ということは健全な考え方ではなく、そのチェックを行うのがここでの質問の意図となります。 また、これに関連する話ですが、部下や子供のように命令して何かをさせることは出来るかもしれませんが、果たしてそれが自律的な意欲に基づいてやってもらっているのかのチェックと考えても良いかもしれません。
 
7.      アウトカムを達成するために現在どのような(内的・外的)リソースが利用可能かを特定する

質問は、What resources (skills , talents , knowledge) do you have available to you now to help you create this outcome ? です。

リソースとは、個人が内的に持っている資源資質(スキル、能力、知識、心身状態、など)と外的に持っている資源資質(人脈、道具、金、時間、など)を含みます。

それで、この質問からするとリソースをどう使うか?というよりどのリソースを使うか?現在利用可能な対象となるリソースを特定する必要があります。

ここで、リソースを発見するために、自分自身の経験、想起を探る、あるいは、卓越性を持った人のベストプラクティスのモデリングを行うことも考慮に入れましょう。

例えば、プロジェクトの立案からすると、この段階で大まかなWBS(Work Breakdown Structure)とリソースを時系列的に配置したザックリしたガントチャートを考えておくと良いでしょう。限られたリソースをどのように使うのか?ここで十分に考えておく必要があるでしょう。

8.      既に持っているリソースをどのように使って最初の1歩を踏み出すか考える

 ここでの質問は、How can you utilize the resources you already have ? です。

基本的に何かを行う場合、最もエネルギーが必要だと思われる最初の1歩を踏み出すためにどのようにリソースを使うのかを考えましょう。 最初の1歩には持っているリソースを集約して活用する必要があると思われます。

 これは、物理学の法則で物体が動き始める時に最も力が必要ですし、飛行機は離陸する時(+着陸する時に)エンジンを全開にします。 そして、生きているシステムが変化する時には恒常性が働くため恒常性を超えて変化を始めるには多くのエネルギーが必要となります。

このエネルギーをリソースとしてどう集めれば良いでしょう? もっとも、途中困難が予想されるところがあればここまでリソースを温存しておく作戦を考えておいてください。 その際、TOC の前提条件ツリー(PRT)を書いておくと役に立つでしょう。


9.      他に活用できるリソースを考える。

 ここでの質問は、What other resources do you need to have to accomplish this ? アウトカム達成へのプロセスを積み上げていくことで(わらしべ長者的に)活用できるようになるリソースの活用について考えましょう。

 例えば、ビジネスが立ち上がってキャッシュ・フローが増加すると今まで活用していなかった、外的リソースが活用できるようになる、とか、ある程度経験を積むことで内的リソースとしての自信が深まる などが考えられます。 RPGで言うと勇者がどんどんステージをクリアしていくとどんどん凄い武器が使えるようになるようなイメージです。

あなたが、アウトカムを達成するためのプロセスの途中でも、どんどん成長して使えるリソースは増えていくはずです。 「取らぬ狸の皮算用」になってはいけませんが、催眠家のミルトン・H・エリクソンのユーティリゼーション・アプローチにならい、一見障害と見えることも、その障害の意味や意図を深堀りすることでリソースとして活用できないかどうかを考えてみましょう。

10.   アウトカムを得るために障害・制限になっている物事を特定する。

 ここでの質問は、アウトカムを達成するために障害となる対象を特定するために、 What stops you ? です。また、どのように止めているのかのプロセスを確認するためには、 How do you stop yourself ? と尋ねましょう。 この障害・制限になっていることを確認したら、リフレーミングなどを行い、エコロジーや調和、バランスといったことにも気を配り慎重に障害・制限を外していきましょう。


11.   1に戻って何回かイテレーション(反復)を行いながらアウトカムの精度を高めていく。

 質問は1回で終わるのではなく、上のプロセスをランダムにでも良いので何回か繰り返してみましょう。

 何回か繰り返すことで、最良シナリオ、普通シナリオ、最悪シナリオとその要因についてシミュレーションすることができるようになるでしょう。 最良を目指しつつも最悪のリスクは上手に回避するような道筋を考えるようにしましょう。

個人的な感想として、アウトカム設定を非常に緻密にやっていくと、結局TOC(Theory of Constraints)の思考プロセスの各ツリーを書いているという感じになっていくのは面白いところだなと思っています。


何れにしても、心-身体-情動に注目いながら、理屈も直観も統合した形式で未来を創発させるシナリオを描き、それを行動に落として着々と実行していくのは非常に重要なことではないかと思っているところでもあるわけです。

文献

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