2011年12月15日木曜日

ゴール設定のガイドライン(その2)



オットー・シャーマの「U理論」の中に Pre-sencing という言葉がある、これは現在持っている様々な思考フレームを一旦落として、未来に起こることを直接、五感だけの純粋経験で感じてみるということに他ならない。

独り言


今日は、「ゴール設定のガイドライン(その2)」と題して少し書いておきましょう。

形式知と暗黙知

最初に「知識」ということについて書いておきましょう。例えば、始めて自転車に乗れたことのことを思い出してみてください。身体感覚に注意を向け、転んでは起き、転んでは起きといった練習を繰り返すことである日突然自転車に乗れるようになったのではないかと思います。

このように、身体感覚を使って練習することで自転車に乗れるようになったという能力を得たことは何らかの「知識」を獲得したことと同等と考えられるでしょう。

それで、一般的には「知識」には暗黙知[1]形式知[2]、場合によりこの間に境界知[3]といったものが存在すると言われています。 

暗黙知と形式知は元々オーストリアの哲学者、マイケル・ポランニー[4]が用いた言葉ですが、ここでは野中郁次郎先生の定義を用いて、

暗黙知を「経験や勘に基づく知識のことで、言葉などで表現が難しい知識
形式知を「主に文章化・図表化・数式化などによって説明・表現できる知識」

として考えることにしましょう。 

それで、自転車に話を戻すと、練習によって自転車に乗れるようになったということは、誰かが自転車に乗っているといった「暗黙知」から見よう見まねでその「暗黙知」を身につけ、自転車に乗ることを学んだということになると思います。つまり、言葉のような意識を介在させずに、身体感覚だけを使っていつの間にか自転車に乗れるようになっているというわけです。

また、自転車の乗り方を言葉で表現することは難しいのですが、あえてこれを文章化すると「暗黙知」を「形式知」にしたということになります。 「形式知」は別の「形式知」と連結することが容易で、これを行った後また、身体を使って何かを行うという「暗黙知」に戻すことができます。 このように知識を変換しながら、身体感覚(無意識)と言葉(意識)を活用して知識を獲得していくサイクルがSECIモデル[4]です。



ウェル・フォームド・アウトカム

自転車の練習をして自転車に乗れるようになるためには、時系列的に「今ココ」で実際の自転車を使って練習を行なっていたと考えられます。

それで、この応用として、時系列を「未来」に動かして将来実現させたいことに対して、「暗黙知」と「形式知」を使ってシミュレーションするも可能だと個人的には考えており、これがコーチングなどで言う「ウェル・フォームド・アウトカム(Well-Formed Outcome)」に該当すると考えています。[6]

それで、「ウェル・フォームド・アウトカム(Well-Formed Outcome)」のガイドラインはおおよそ以下のようになります。


1.     アウトカムは肯定的に表現する。(何々がしたいと表現し、何々を止めるとか、何々をしないと表現しない) 
2.     アウトカムは知覚ベース(五感で見たり、聞いたり、感じたり・・できるエビデンスを伴う形式)で設定し、かつ評価できる表現にする。
3.     アウトカムのスコープ。そのゴールを望む、個人もしくはグループ自身によって開始、マネジメント出来る範囲で設定する。
4.    アウトカムを達成時と現在の利得とのトレードオフ。現在得ている利得は出来るだけ保持しておくようにする。
5.     アウトカムはエコロジカルに。ゴールを取り巻くシステム(人間関係、社会、環境など)と調和するようにベイトソンの言うエコロジーを十分考慮する。 


このガイドラインでは、身体感覚を使って、自分が「未来」に居ると想像し、言葉にする前の純粋経験を十分味わい、いくつかのシナリオを十分シミュレーションした後にそれを言語化して形式知としてアウトカムを構築するような形式になっていることに注目していただけると良いでしょう。 


 つまり意識的に理屈で考えるというよりも、その場所の自分の身体をおいたと仮定し、どんな感じがするのか?といった無意識で学ぶ暗黙知的な部分を重視していることになります。


それで、基本は、以下で書いたリンクの応用になります。


http://ori-japan.blogspot.com/2011/08/blog-post_28.html

また、知覚で分かる事実のレベルとしてそれが可能かどうか?とシミュレーションする時に、心が十分静まっていないと、「知覚で分かる事実として、それが将来出来るかどうか冷静に判断する」前に、気持ち(感情、情動)、あるいは心の中の声がそれを止めているということが分かってきますから


http://ori-japan.blogspot.com/2011/12/blog-post_13.html


その気持ちを乗り越えて、本当にそれを行う価値があるかどうか?の判断と、決断、そして目標に向けて行動を維持していくことのコミットメントを行う場面にもなってきます。


これについては以下のリンクで書いた通りです。


http://ori-japan.blogspot.com/2011/09/theory-u-3.html


もっとも、コーチングの場合こういったプロセスを具体的な質問に還元した形式でクライアントさんとやり取りする必要があるわけですが、それがまた後日、書くことにしましょう。

つづく

文献
[6] http://nlpuniversitypress.com/html3/W04.html


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