2012年1月6日金曜日

恋に恋して



 “How do you feel about feeling beloved?

家族療法家 ヴァージニア・サティアの質問をもじったメタ認知を促す質問。


今日は、「恋に恋して」と題して少し書いておきましょう。

恋に恋して(Falling in love with love
 

このタイトルを持った曲は Lorenz Hart Richard Rodgers作のスタンダードで、よくJAZZとして演奏される名曲です。

それで、個人的にはこのタイトルを聞くとすぐに思いつくのが自己再帰的意識(Reflexive consciousness)[1]ということになります。 

これを少し説明しておきましょう。

まずこの歌の、Falling in love に注目しましょう、この主人公は、誰かに恋をしているという経験をしているとしましょう。この場合、意識の対象が基本的には、外的世界にある人、例えば、鈴木さんだとか、佐藤さんだとか、田中さんに向いており、ある意味直情的に四の五の言わずに考えずに好きなものは好きというように非常に具体的に純粋な五感だけの感覚を伴うような経験ということになるでしょう。 

 ところが Falling in love with love の場合は少し違います。この場合、意識の対象が、基本的には自分の内側にある思考や心身状態に向いており、誰かを好きになっている自分をもう一段高い意識から経験しているということになっているでしょう。

つまり、相手のことが好きで、好きでたまらない経験というのではなくて、恋している状態の自分をメタ認知して、「恋をしている自分も良いかもね」、という具合に、抽象度の高い意識から、ある意味達観している状態になっているという具合です。

 もっとも、この状態について気が散らなければ、意識の抽象度をどんどん上げていって上げて別の状態に遷移することが出来るようです。

例えば、(恋に恋している)ことについて怒っている、とか、(恋に恋して怒っている)ことについて悲しくなる、とか、(恋に恋して怒っていることについて悲しくなる)ことを愛おしく思う・・・・というように際限なく続けることができるというわけです。

すこし冗長ですが、これを別の視点から説明をしましょう。

対象が恐怖だったらどうでしょう。 車がこちらのほうに突っ込んできたら、向こうから津波がやってきたら・・・と考えてみましょう。多少びっくりするのかもしれませんが、すぐに逃げると思います。

しかし、その後、その時の経験を何度も思い浮かべ、物理的にはそういった兆候はまったくないのですが、車がこっちにきたらどうしよう、津波がやってきたらどうしようと、いう具合に危なかった経験をメタ認知して強化していきます。 つまり、実際物理的に危ないという「恐怖」よりも、「恐怖についての恐怖」を恐れ、実際にそれがあるように反応してしまうようになるというわけです。

もちろん、冒頭の「恋に恋して」からすると、実際に恋をすることより、「恋している」ことについて恋している感覚のほうが好きになってしまうという、大脳辺縁系で高度な情報処理を行える動物の特徴全開というような状態になっているわけです。

 ベイトソンのマインドの理論再び
 
それで、ベイトソンのマインドの理論からすれば、上位の論理階型にある意識のほうが下位の意識に大きな影響を及ぼすということになっていましたから、


現在、自分をエンパワーしない意識状態にあったとしても、上位の論理階型にある自分をエンパワーしてくれる心身状態を探す必要があるということになると思います。

それで心理療法家のミルトン・エリクソンはこういった上位の論理階型にある心身状態や思考、意味などのことをリソース(資源・資質)といっていることになるわけですが、これを探すことが西海岸系の心理療法の一つの本質となっていると考えて良いでしょう。

冒頭に戻ると「恋に恋して」の場合、恋することについて恋をするというような抽象度の一段高いリソースを見つけていることになるわけですが、この場合、恋することを恋することで、抽象度の低い恋という経験も強化していくことになるわけです。   

文献
[1] http://en.wikipedia.org/wiki/Reflexive_self-consciousness

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