2012年1月25日水曜日

ラポールの本質


                                                                                                                            
 エリクソンの技法で言う「ペーシング」。

 要は、相手の動作を軽く真似たり、呼吸を合わせたり、する。

 ただし、相手の意識に上がらないように行わなければならない。

 
 <ひとりごと>




ラポールはメタ・メッセージを送ることから

「ラポールの本質」について書いておく。
 
 以下で少し書いた。

http://ori-japan.blogspot.com/2012/01/blog-post_07.html

元々「ラポール」はドイツの催眠療法家フランツ・アントン・メスメル(1734-1815)が用いた言葉と言われている。メスメルは動物磁気理論と催眠で病気が治ると当時主張した。もちろん、時代が時代であるし現在ではトンデモの分類になっている。

個人的に「ラポール」と聞いたのは、小学生か中学生の頃だ、当時、第二次大戦時の隼(一式戦闘機)などの設計者でロケット工学でも有名な糸川英夫博士の「逆転の発想」かその続編に書いてあった記憶がある。


 要は、人間関係において、「こいつはなんとなく信用できそうだ」との心象が生まれた状態が「ラポール」が構築された状態だ。最近は、心理療法やコーチングの文脈で聞くことが多くなったが、「ラポール」が構築されると、少なくとも相手があなたの話を聴いてくれるという関係は構築されることになる。

 最近、コミュニケーションの研修などで行う、

  • 相手と物理的に同じ姿勢を真似る
  • 相手と呼吸を合わせる
  • 相手と同じスピード同じ声の調子で喋る
  • 相手の言葉を繰り返す(あるいは、適当に要点をサマリーして復唱する)
  • その他
があるが、これは元々心理療法家のミルトン・エリクソンの研究に負うところが多い。ベイトソン的には、相手の無意識を良い意味で勘違いさせるメタ・メッセージを送ることと言ってよいだろう。犬は、相手に本気で吠える、そして相手を甘噛する。そうすると相手はこいつは仲良くなりたいのだな、とメタ・メッセージを受け取る。犬同士仲良くなる。こんな感じだ。理屈は、悪意はない、なんとなく良い人そうだ、仲良くなりたい、こういったメタ・メッセージを送るというのが「ラポール」の本質だ。


一般にメタ・メッセージは言葉の行間、あるいはジェスチャーに含まれる「メッセージについてのメッセージ」だ。相手に気付かれないように相手に同調して相手の動作を真似たり、相手と同じ調子、同じスピードで話すと、相手の無意識が勝手に「こいつは悪いやつではなさそうだ」という風に勘違いしてくれるテクニックの一つというわけだ。

このあたりは、パロアルトのMRI(Mental Research Institute)の研究でもある、コミュニケーションにおけるメタ・メッセージの研究やベイトソンのマインドの理論でも明らかだ。

それで、「Ericksonian Approaches: A Comprehensive Manual[1]を参照すると以下がある。


  It is important to not mimic or match too exactly, since this will be detectable by the client and taken as a manipulation or an insult. Pacing must be subtle. Pacing should be done in such a way that it is perceived outside of conscious aware ness and not directory in consciousness by the client . 

相手がバカにされているとか操作されていると思わないように、あまりにも正確に真似たり、同じ動作をしない、ということは重要なことである。 ペーシングはさりげなく行う必要がある。つまり、ペーシングは直接クライアントの意識に上がることなく、クライアントの意識の外で認識されるように行わなければならない。


相手とのコミュニケーションを行う場合、2つのモードがある。一つは〈メッセージ〉、もうひとつは〈メタ・メッセージ〉だ。前者はコミュニケーションの内容、後者は内容について伝え方を指す。その意味では前者が〈What〉で後者が〈How〉になる。つまり、メタ・メッセージはどのように伝えるのか?と言い換えることができる。また、メタ・メッセージには相手との関係性も入る。これが結構厄介だ。

逆にいうとどんなに〈What〉として良いことを言ってようが、〈How〉が駄目だと伝わらない。関係構築ができていないとそもそも聞いてくれようともしない。こういったことになる。

もちろん、単なる「ラポール」をつくるためのペーシングもそれが有効な状況というのは限定されるだろう。心理療法やコーチングの場面では機能するかもしれない。しかし、道で出会った人当たりの良さそうな人というだけで100万円を貸す人はいないだろう。その意味「信頼関係」と「ラポール」は異なるものだ。修羅場を一緒にくぐった仲でなければ本当の信頼関係は構築されない。世の中、そういうものだ。

 しかし、コーチングや心理療法、あるいは会社の会議などでは、薄っぺらい「ラポール」構築の技法が有効なこともある。ここで言っている、ペーシングから始めるという具合だ。

 余談だが、コミュニケーションの研修などで、今からペーシングの練習をします、と伝えて、敢えて意識に上げるやり方をしているのはどうなのか?と思うのだが、メタ・コミュニケーションの原則を理解しないと滑稽なことが起きてしまうのは、ある程度仕方がないことなのだろう。

 ペーシングが十分に行われた後で、リーディングである誘導が登場する。

ラポールに関する Youtubeの映像



文献
(参考)http://btci.stanford.clockss.org/cgi/reprint/4/4/389.pdf

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