2012年2月23日木曜日

すれ違いの構造(その7)


 
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

夏目漱石「草枕」


今日は、「すれ違いの構造 その7」と題して少し書いておきましょう。

何を手がかりに判断を行うのか?

集めた情報から何を手がかりに判断を行なっているのか?、その時の関心がどこに向いているのか?のある程度の傾向として以下が示される場合があります。[1]


1.     Vision (ビジョン、構想)
2.     Action (行動、状況とのやり取り)
3.     Logic (論理、理屈)
4.     Emotion(情動、気持ち)


これは、情報に対して何かの価値判断を行う場合にどういったことを重視するのか?ということになります。

もちろん、これも何か一つを重視せよといっているわけではなく、その人、その組織にとって何らかの偏りがあり、それが他の人、他の組織と違うとコミュニケーションの齟齬が生まれてしまうという示唆と思ってきます。

例えば、その案は、ビジョンは立派なのだけれども、そのビジョンを実現する道筋がロジカルに定義されていないというような場合。 この場合はビジョンを重視する人はその案に乗るということになるでしょうが、ロジックを重視する人はそれを実現する筋道を十分確認してからでなければその案に乗ることは無いでしょう。

また、後先考えずに思わず情に任せて何かを判断してしまう場合、もちろん人心把握にはこういった演出も必要でしょうが、裏にはきちんとロジックなり、アクションの実現性なりを確認していないと後で上手くいかなくなるのかもしれません。

それで、余談ですが日本の場合、山本七平の著作「空気の研究」[2]で書かれていた、その場の雰囲気とも言って良い「空気」というものが入ってくるようにも思ってきます。

 「空気」というものは非常に怖く、いったんこれが発生するといくらロジカルに説得をおこなっても、この論理を無力化してしまう恐ろしい力があるというわけです。

 第二次大戦中、日本軍が暴走した原因の一つに、この「空気」があげられることがあります。つまり独裁者がいて独裁をふるっていたわけではないのに、いつのまにか「空気」というものが発生し論理を打ち消して、あっと驚くようなトンデモ案が採決される、というような具合です。

 それで、個人的な理解としては、山本七平は空気の発生メカニズムを 1)臨在的把握 ―実際には存在しないものを臨場感を伴ってあると思い込む。 2)絶対視 それを反対側や別の角度から相対的に見ることができずに、絶対的なものであると思い込む。この条件を満たすことでこれが発生するということになると思います。

 それで、話を元に戻すと、この「空気」というのは、一番最初にお話した「ビジョン」の変質したものとも取ることが出来るわけですが、やはり事実に基づいた情報を完全に無視するとやはり都合の悪いことが起こるわけであり、やはりこの「空気」に飲まれようにするバランスの良い判断を行えるような何らかのプロセスは必要なのだろうなと思っている今日この頃でもあるわけです。

文献

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

0 件のコメント:

コメントを投稿