2012年2月10日金曜日

問題・課題は状況と併せて観察する


 
マグロの生態は、マグロがどんなところに住んで、何を食べて、どんな生活をしているのかを観察する必要があるのだけれど、多くの人は、鮨屋にあるメニューを読んで、それでマグロのお鮨をほんの何個か食べてマグロの全てが分かった気になってしまうのだよなぁ。

独り言


今日は、「問題・課題は状況と併せて観察する」と題して少し書いておきましょう。

ロジカル・シンキングの落とし穴

 ビジネスの場面では基本的にロジカル・シンキングを活用することが多いわけです。

それで、人並みの能力をもったコンサルタントが、状況を観察して記号で表現された報告書のような形式知化された情報をインプットとして、お作法通りに考えると大体同じようなアウトプットが出てくる・・・のでこれだけでは他と違った考え方が出てくることが難しく差別化にならないということがよく指摘されます。

余談ですが、差別化すると何となく企業の競争力が向上し、売上が上がってなんと書く儲かりそうだというような「風が吹けば桶屋が儲かる」式のロジックは、マイケル・ポーターの著作などに書いてあったと思いますが、今日はそこには突っ込まないことにします。

 それで、話をもとに戻すと、このような思考習慣は小学生とか中学生あたりからやっている学校のテストのやり方と関係しているように思ってきます。

 つまり、実社会では、何が課題なのか仮説を立ててそれを検証するようなデータを自分の目で見て、耳で聴いて、体で体験して・・・という課題設定と情報の収集からはじめる必要があるわけです。 

しかし、学校で行われているテストは、既に課題・問題が設定され、しかも言葉、つまり形式知化されているわけであり、実際に試されるのは課題を設定し、情報を収集する力というよりも、形式知化された記号をいかに上手く操作することができるのか?という部分が重点的に試される形式になっているというわけです。

それで、個人的にもコンサルティングをやっている時の経験がありますが、要件をまとめる時に既に文章でまとめられている形式知化されたドキュメントを読んでこれからアウトプットを作成するだけと、だいたい誰がやっても似たような思考プロセスを使った同じようなアウトプットが出てきます。 

 つまり、これから分かるのは、お作法通りにロジカル・シンキングを使える必要はありますが、これだけ出来ても、誰がやっても同じような結果が導けることが担保されているだけで、あっと驚くような新しいアイディアを伴った解決策を導くには十分ではないということを意味しています。

 これは、情報処理をコンピュータにやらせても同じことになるでしょう。

エスノグラフィー的フィールドワークの重要性

それでは、具体的にどうすれば良いのか?

答えは非常にシンプルで、その問題や課題が起こっている状況や文脈、つまりコンテクストを含むより深い情報を五感の感覚をフル活用して取得し、その情報を元にインプットに使うということになります。

もちろん、最初に仮説をもって情報収集にあたる場合もあるでしょうし、情報収集を行いながら仮説を組み立てていく場合もあるでしょうが、人類学者が異文化や風習を観察するようなエスノグラフィー的な態度で観察する、つまり先入観をもたずに質的な一次情報に触れることが何より重要だということになってきます。

 そうすると個人的には、あたまの中で何かがつながって、すぐさま春秋社から出版されている「エスノグラフィー入門 <現場>を質的研究する」[1]を購入して本書を読んでみるという半分無意識に動く自分でやっていない衝動買いのロジックが作動してしまうことになります。(笑) 

そして、やっぱりベイトソンに限らずフィールドワークから多くのことを学ぶ人類学者がは偉大だったと・・・妙に関心することになります。

 
それで、個人的に考えるところでは、こういったエスノグラフィーの手法を仕事や日常生活にどのように役立てるのか?を考えることになるわけですが、例えば、工場なり、顧客が製品を使っている現場に趣き、文章やデータにのってこない質的な暗黙知を含む情報も含め、ひたすらその場面を観察するということだろうなと思ってきます。 

 もちろん、「U理論」ではないですが、観察者自身の持っている既存のメンタル・モデルからやってきて、物事を素直に観る邪魔をする怖れのある自分自身との内部対話の声を止め、視座を変えつつ、観察者の思い込みや偏見で重要な情報をブロックしないように観察を行うということになるでしょう。

 そういえば、昔、仕事でお話ししたことのある多くの人が優秀と認める外国人のコンサルタントは、現場を1週間ほどうろうろさせてもらってからその仕事を正式に受けるか受けないかを決めると言っていったのが印象に残っています。

 なんでも現場をうろうろしてそこに居る人と少し話したり、色々な工程を見終わったりした後には直感的な解決の方向性は決まっているのだとか・・・恐らくこの人も現場にある多くの質的情報を上手く処理する方法を身につけているということになるのでしょう。

文献

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