2012年3月11日日曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その10)遷移の言葉2



コーチングで「タイプ分け」とか言っている連中はほとんど例外なく、へっぽこコーチと考えて間違いない。なぜなら、実社会ではパターンを観ることのほうがより重要なのだから。(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その10)遷移の言葉2」と題して少し書いておきましょう。

 違いからパターンを見つける

昨日は、遷移の言葉(transitional words)について書きましたが引き続きこれについて説明しておきましょう。

言語パターンを分析する場合、当然状況に併せて具体的な言語を使うということは非常に重要だと思われますが、そのためには、「パターン」といっているようにある程度抽象的なパターンを見ぬくことも非常に重要だと思います。

もちろんグレゴリー・ベイトソンの著書「精神と自然」[1]にあるようにパターンは状況や相手がいて創発的に生み出される動的な相互作用の過程で生み出される、音楽のようなものとして捉える必要があります。


われわれは、音楽という例外を除いて、パターンというものを固定して捉えるように訓練されている。その方がやさしいし楽なことは間違いないが、それでは意味がない。 結び合わせるパターンというものを考え始めるときの正しい道筋は、それがまず第一に(ということの厳密な意味はさておき)、相互に作用し合う部分の演じる舞踏なのだということ、さまざまな物理的な限界と生物体が固有に持ち合わせている伽によって固定されるのは二次的なことなのだということである。


さて、このようなわけで昨日の遷移の言葉についてパターンの見立てを書いておきましょう。 もちろん、パターンを見ぬくには、ベイトソンの言う「A difference that makes a difference.」のように、いくつかのパターンから差異を見つける必要があるでしょうし、何らかのフレームワークをあてて、どこが定数でどこが変数になっているのか、の違いを観察する必要があるように思ってきます。

それで、ここでは以下のリンクで書いた 4-tuple のフレームワークを当てて、何が変数になっているのか、を考えてみることにしましょう。


l 変奏曲#1

はじめに、昨日書いたパターンについて見てみましょう。[3]


"While you pay attention to the sound of your breathingyour eyes can  begin to slowly close.

(意訳)あなたの呼吸の音に注意を当てている間、あなたは目をゆっくり閉じ始めることができるでしょう。


このパターンに4-tuple を当てはめると以下のようになります。

< 0, 0, Ate ,0> <0,Ke,0,0>

外的なアナログ音外的な体感覚

ここではエリクソンは言葉をクライアントの知覚を動かす補助線として使っています。また、このパターンの場合は、クライアント自身が「今ココ」で実際に経験している一次経験を使っています。

また人の意識は五感の注意を選択的につかってある特定の対象に注意を向けることが可能でした。もっとも、この数には制限があって認知科学者のジョージ・ミラーによれば同時に注意を当てることの出来る情報のチャンク・サイズは7±2という制限がありました。[2]

それで、ここでは言葉を補助線として活用し、クライアントの注意を「自分の呼吸音=外的なアナログ音」と「まぶたが閉じる感覚=外的な体感覚」とが同期しているような経験をつくりだそうとしているのが分かってきます。

l 変奏曲#2

次に以下のパターンについて見てみましょう。

"And, when your hand begins to rise, you will relax even more.

(意訳)あなたが腕を上げ始めると、あなたはもっとリラックスすることになるでしょう。


このパターンに 4-tuple を当てはめると以下のようになります。

<0,Ke,0,0> <0,Ki,0,0>

外的な体感覚内的な体感覚

それで、ここでは言葉を補助線として活用し、クライアントの注意を「腕を上げる感覚=外的な体感覚」と「リラックスした状態=内的な体感覚」とが同期しているような経験をつくりだそうとしているのが分かってきます。もっとも、腕を上げるとリラックスするというような条件付けをつくりだそうとしているとも考えられますが・・・。

l 変奏曲#3


"As your conscious mind listens and analyzesyour unconscious mind may wonder which hand will lift first.

(意訳)あなたの意識が何かを聴き、分析をするとき、あなたの無意識はどちらの腕御あげたら良いものかと思っているかもしれません。


まず、この言語パターンは以下のリンクで書いた Conscious/Unconscious スプリットのパターンです。


それで、一見怪しい感じもしないではないのですが、4-tuple のフレームワークにのせて考えると以下のようになって、実は上の、変奏曲#1で書いたパターンと同じということになってきます。

< 0, 0, Ate ,0> <0,Ke,0,0>
外的なアナログ音外的な体感覚

もっとも、これ以外にも色々なパターンが考えられると思いますが、少なくとも、物事を観る場合、「何が変数なのか?」「何が定数なのか?」というように抽象度を上げて考えるということは非常に重要なことのように思えてきます。

文献
[3]http://www.amazon.co.jp/dp/1904424910/

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