2012年3月10日土曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その10)遷移の言葉1



本当は、2つの動作に明確な因果関係はないのだけれど、ついつい、前の動作につられて何かやってしまうということはよくありますねぇ。(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その10)遷移の言葉1」と題して少し書いておきましょう。

 振る舞いや思考の関係性を示す

ミルトン・エリクソンの言語パターンは色々な視点からとり出されています。基本以下のリンクで書いた統語論、意味論、語用論のようなフレームワークが当てはめられていますが、必ずしもこれだけに沿っているというわけではありません。


http://ori-japan.blogspot.com/2012/02/blog-post_29.html

もちろん、そもそも論として、言語パターンはミルトン・エリクソンのほんの一つの形式知化された側面、かもしれないといった程度でしょうから当然、言語パターン=ミルトン・エリクソンではありません。それでも多少は何らかの役には立つのでしょう。

それで、上のフレームワークに当てはまらない遷移の言葉(transitional words)という用語がいくつかの論文出てきますが、この概念で考えると非常に面白いことも見えてきます。

遷移の言葉は、いくつかの考え、振る舞い、その他の橋渡しをするような形式で用いられる以下のような言葉です。

while,and,as ,because,become,but,could,might,may,makes,causes,wonder,if, then,how,what,beginning,will,allow,when

この言葉は知覚や思考の補助線となり、基本的にはエリクソン催眠でいうペーシングやリーディングを行うために用いられます。[1]

それで、これをもっと正確に表現すると、前提として、振る舞いや思考、その他が存在する。遷移の言葉を使って、振る舞いや思考が同期して起こる、あるいは、振る舞いや思考が別の振る舞いや思考に先行して起こり、場合により因果関係相関関係、あるいはサイバネティックス的な相互の循環を示唆するような形式で用いられます。

上の例からすると、この遷移の言葉は接続詞や動詞を包含する概念となっていますが、ここでは、接続詞を使った典型的なパターンは、while , and , as ですが、この例を見てみましょう。


"While you pay attention to the sound of your breathingyour eyes can  begin to slowly close.


ここで個人的な見立てを少し書いておきましょう。 まず、前提として言葉は知覚・思考の補助線となると考えましょう。つまり、ある言葉を聞くと、五感の注意がその言葉により影響されるという具合です。余談ですが、一般意味論ではこのことを神経言語フィードバック(Neuro-Linguistic feedback)と呼んでいます。

はじめに「you pay attention the sound of your breathing.」について考えましょう。ここでは、あなたがどのように呼吸しているのか、その音に注意を向けることを示唆するような表現になっています。 この言葉に誘導されたクライアントは実際に呼吸する音を聞くことになり、その呼吸は五感のエビデンスを伴った事実として実際に存在するものであると、直観的に理解することになるでしょう。このあたりはゲシュタルト療法やフォーカシングにあるように特定の感覚に注意を向けるような手法と考えて良いでしょう。

 そこで、「While」です、これは呼吸の音に注意を向けて、その音を聞くという行為と同期して何かをつなぐ遷移の言葉となっています。それで、「your eyes can begin to slowly close」を聞くと、思考の補助線となり、誘導が上手く行けば「ゆっくり目を閉じ始めることができる」という行為につながっていきます。もちろん、ここで言う「can」は少し前に紹介した様相操作子(modal operator)、また「begin」がここで説明している遷移の言葉である動詞と解釈できます。


 そのようなわけで、呼吸の音を聞くと→目を閉じるというようなある意味、刺激→反が形成されているのがこの言語パターンの特徴です。もちろん、言葉は単なる補助線という意味しかありませんから、言葉によって知覚が動き、それが上手く関連付けられるようにならないと上手く機能しないことは言うまでもありません。

(つづく)

文献
[1]http://www.amazon.co.jp/dp/1904424910/

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