2012年3月13日火曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その10)遷移の言葉5



自分で考えるのが面倒な時には、無意識が勝手に答えを出してくれるようなやり方をしているなぁ。これって、一体誰が考えているのだろうか? 多分、自分の中の別の人。(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その10)遷移の言葉5」と題して少し書いておきましょう。

 ベティ・エリクソンの自己催眠

 昨日の俳句の話とも関連するのですが、今日は、(コトバを知覚の補助線として)、知覚→知覚を遷移させる練習法として『ベティ・エリクソンの自己催眠』について書いておきましょう。

 『ベティ・エリクソンの自己催眠』は、ミルトン・エリクソンの妻エリザベス(ベティ)・ムーア・エリクソンが教えていた手法で、集中したい時、リラックスしたい時、インスピレーションが欲しい時に活用出来ると思いますが、個人的な経験からすると、練習するとそれなりに効果があるように思います。もっとも定量的な効果測定を行ったわけではないのでその点はお断りしておきます。

 さて、『ベティ・エリクソンの自己催眠』は、別名、『ベティ・エリクソン・スペシャル』とも呼ばれている自分でトランス状態に入る練習方法でもあります。

 この手法にもいくつかのバリエーションが存在しており、


l       知覚の注意をひたすら自分の外に向けて、一次経験だけを扱うバージョン[1]
l       上に加えて、更に知覚の注意を自分の内に向けて二次経験によるイマジネーションを活用するバージョン[2]


などがあります。

前者は、アップタイム・トランス(Uptime trance)あるいは外的に焦点化されたトランス(Externally Focused Trance) 呼ばれることがあり、知覚を外に向けた状態から ASC(Altered State of Consciousness)[3] に入るような格好になっています。

これは、最近出版された「ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ」[]にも書かれている禅のトレーニングにも似たような形式になっており、安全な場所が確保できれば散歩したり、何か作業をしたりしながらもこの状態に入る練習をすることが可能です。個人的に、散歩をしている時によく練習していますが、昨日の俳句も、実はこの練習をやりながらつくったものです。

 一方、後者の場合、ダウンダイム・トランス(Uptime trance)あるいは内的に焦点化されたトランス(Internally Focused Trance)と呼ばれることがあり、知覚を内に向けた状態から ACS(Altered State of Consciousness) に入るような格好になっています。この方法は、自律訓練法[]との対比で語られることがありますが、場合によっては睡眠状態に入ることもあるため、屋内の安全な場所を確保して行うほうがよいでしょう。

 ベティ・エリクソンの自己催眠、その方法

さて、後者のバージョンは前者のバージョンを含んだ形式になっているため、ここでは後者のバージョンを説明しておきましょう。

l       前提として

 まず、前提となる構えというところについて書いておきましょう。 一見、矛盾するように思えますが、外にある視覚の対象に焦点を当てる時は中心視野で対象を捉えるものの、周辺視野にも注意を向けておきましょう。要は、宮本武蔵の『遠きを近くに、近くを遠きにみる』視覚の使い方です。この時、全身の力を抜いて、ゆっくり呼吸しリラックスしましょう。そして、外的な世界に知覚の注意を向ける場合、敵襲に備える侍のように、全身の知覚がすべて外に開かれていて、少しの気配でも察知できるというような状態です。


l       意図、目的の設定

次に、予めこの練習の意図、目的を設定した後、に練習を始めましょう。 意図、目的を設定するためには、例えば、「◯◯を解決するヒントが欲しい」と言葉に出して宣言しましょう。 

エリクソニアンの約束として意識では分からなくても無意識は知っているはず、という少し怪しい前提があるのですがここでは、意図、目的を無意識に設定するような形式になっています。意図、目的を設定した後はそれをいつまでも意識しないで忘れてしまいましょう。きっと、意図、目的は無意識が覚えていて、その意図、目的を察知すると、意識になんらかのシグナルを送ってくれるという具合です。

l       終了する時

この練習を終了する場合、「私は、この練習を終了しようとしている、そしてこれが終わった後には◯◯という心身状態、資源、資質、アイディア、etc.が得られている」と宣言して終わりましょう。もちろん、手順の任意の場所で終わっても構いません。 それで、最初は上手くいかないかもしれませんが、地道に練習することで、望む心身状態が得られるようになると思います。

l       手順



【一次経験】
1.      上図の[Start]の近くのVeから始めましょう。 初めに外の世界に知覚の注意を開いた状態でリラックスします。その状態から、少しだけ視覚に注意を向けます。 視界に入った、外にある何となく気になる対象に注意を向けます。この場合、中心視野だけをその対象に向け、(10秒~30秒程度、但し個人差があるため要調整)暫く凝視します。同時に、周辺視野にもいくらか注意を向けましょう。次にこの様子を言葉で表現します『私は、◯◯を見ていることに気がついています』。これは、外にある対象とそれを見ている自分をメタの視点から観るメタ認知を促す表現にもなっています。
2.      Veについて、既に見た1.とは別の対象に切り替えます、1の要領で同じことを行います。
3.      Veについて、既に見た1.2.とは別の対象に切り替えます、1の要領で同じことを行います。
4.      次に、Ke 外の世界から感じる無意識に選んだ体感覚に注意を向けます。(例えば、頬に当たる風、足にかかる重み・・・など、この場合、気持ちではなく知覚である体感覚に)暫くそこに注意を向けます。次にこの様子を言葉で表現します『私は、◯◯を感じていることに気がついています』。
5.      既に感じた 4.とは別の対象に切り替えます。 4.の要領で同じことを行います。
6.      既に感じた 4.5.とは別の対象に切り替えます。 4.の要領と同じことを行います。
7.      次にAte 外の世界にある無意識に選んだアナログな音に聴覚の注意を傾けます。暫くそこに注意を向けます。次にこの様子を言葉で表現します『私は、◯◯が聞こえていることに気がついています』。
8.      次に、既に聞いた 7.とは別の対象に切り替えます。 7.の要領で同じことを行います。
9.      次に、既に聞いた 7.8.とは別の対象に切り替えます。 7.の要領と同じことを行います。
10.    上図に沿って続ける。

【二次経験】上の練習から継続する形式で、

1.      目をつぶりイメージして見えてきた対象Veに焦点を当てます。(10秒~30秒程度)暫く凝視します。次にこの様子を言葉で表現します『私は、◯◯を見ていることに気がついています』
2.      次にイメージから感じる体感覚 Ke に焦点を当てます。(10秒~30秒程度)暫くそれを感じます。次にこの様子を言葉で表現します『私は、◯◯を感じていることに気がついています』
3.      次にイメージから聞こえるアナログな音 Ae に焦点を当てます。(10秒~30秒程度)暫くそれを感じます。次にこの様子を言葉で表現します『私は、◯◯を聞いていることに気がついています』
4.      上図に沿って続ける。

(つづく)

文献
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