2012年3月16日金曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その11)意味を含む言葉



誰でも好きな言葉、自分なりの意味がこもった言葉、というのはありますが、おいらの場合は何かなぁ?(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その11)意味を含む言葉」と題して少し書いておきましょう。

 意味を含む言葉

個人的にこの「意味を含む言葉」について、はじめに思い出すのは、「心脳マーケティング」の著者である、ジェラルド・ザルトマンがその著書「Marketing Metaphoria」で提唱している7つの深層メタファーです。

l       Balance (バランスに関するメタファー)
l       Transformation(変容、変化に関するメタファー)
l       Journey (旅に関するメタファー)
l       Container (コンテナ、入れ物に関するメタファー)
l       Connection (関係、結びつきに関するメタファー)
l       Resource (リソース、資源・資質に関するメタファー)
l       Control (コントロール、制御に関するメタファー)


 簡単に説明すると、この7つの深層メタファー[1]は、消費者が自分でも気がついていない深層心理に近接するための鍵となる表層に現れた言葉である、という仮説です。つまり顧客がこのようなメタファーを使って話始めた場合、その裏に自分でもわかっていないニーズを語っている可能性が高いのでこれを市場調査に活用するという考え方です。[2]

もちろん、上のザルツマンとは直接関係ないのですが、コンテナメタファーと聞くと、個人的にはその上位概念である存在論的メタファーを連想し、そして認知言語学者である ジョージ・レイコフとマーク・ジョンソンの「Metaphors We live by[3]を思い出すわけです。この本も個人的には定期的に再読している良書ですが、これはまた別の機会に書くことにしたいと思います。

 それで、上の場合とは少し異なりますが、やはりミルトン・エリソンが好んで用いた意図的に曖昧な「意味を含む言葉」があると考えている研究者がいます。[4]

  もちろん、この言葉の意味についてエリクソンから具体的に説明されることはありませんが、以下のリンクで書いたように、

 
 曖昧さを利用して、クライアンが意識しないままTransderviational search に入り、有用な何かを見つけるために活用していると言ってよいでしょう。

 それで、慣用句的に取り出された言葉ですが、エリクソンが好んで用いた「意味のある言葉」には以下のようなものがあります。

 希望(Hope)、夢(Dreams)、リソース(Resources)、才能(Talent)、感覚(Sensations)、思考(Thoughts)、記憶(Memories)、信念(Beliefs)、無意識(Unconscious)、学習(Leanings)、愛(love)、純粋な(genuinely)、頑固な(Stubborn)、個性的な(Individualistic) 本当に(Really) トライする(Try) 変化する(Change)。

 以下に具体的な使用例を書いておきましょう。

l       使用例その1


Memories are so useful because we can learn from them without even trying.

(意訳) 記憶は非常に役にたちます、その理由は、試行錯誤しなくてもそれから学ぶことが出来るからです。


記憶は今回の「意味のある言葉」です。また、「Memories are so useful」は、一般意味論のE-Prime ではないBe動詞が使われていると解釈できます。


さらに、なぜ役に立つのか?という文がそれに続きますがここで can 「様相演算子(Modal Operator)」が使われ、確信を持って「~出来る」というような信念めいた感じが表現されている形式になっています。


l       使用例その2


Try that now , but dont change , yet ,

(意訳) 今すぐやってみて、でも、まだ変化してはいけません。


この例の場合「Try」というのが「意味を含む言葉」です、基本的この「Try」を使う前提には失敗することが含まれています。 逆に言うと、失敗しても気にしないで、あるいは、試行錯誤しましょう、というメタ・メッセージが含まれていることになります。 

また、否定形を使って「まだ、変化してはいけません」というように、これも、「意味を含む言葉」ですが、ここでは、「いつかは変化することになりますよ」というようなメタ・メッセージを伝えていることになります。また、この変化という動詞は以下で書いた「非指定動詞」になっています。



"Dreams can be so helpful.

(意訳) 夢はとても有益なものになり得ます。


 この場合、「Dreams」が「意味を含む言葉」となります。そしてここでは、「can」が 様相演算子、「be」が E-Primeでない BE動詞、そして「helpful」が具体的にどう役に立つか指定されていない非常に曖昧な「遂行発話の欠落(Lost Performative)」の表現になっています。


大統領たちのレトリック

それで、個人的にはたしかに親米ではあるのですが、追米ではないというスタンスで、オバマ大統領、クリントン元大統領の「意味を含む言葉」について書いておきましょう。

 催眠言語を使って演説を行なっているとの分析もあるオバマ大統領ですが、ネット上のいくつかのドキュメントを読むと[5][6] オバマ大統領が良く使う「意味を含む言葉」として、「Hope/Change / Action」であるというのが見つかります。もちろん、この原稿を書いているのはスピーチ・ライターのジョナサン・ファブロー氏です。


http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_17.html 

以下のリンクに2009年に国連で行われたオバマの演説の全文が収めされていますが、


 細かい分析は後回しにして、「Hope / Change / Action」という用語に特に聞いてみるのも良いでしょう。 長く聞いていると独特のリズムが原因なのか心地よくなって眠たくなるわけですが、ここは自分の頭の中で抽象度を下げるようなクリティカル・シンキングを行なってオバマ催眠にかからないようにしなければいけないのでしょう。(笑)

 次はクリントン元大統領、 

クリントン元大統領が選挙運動を行なっていた時、Time News Weekでその生い立ちの特集記事を読んだ記憶があるのですが、クリントンが生まれた街がアーカンソーの 「ホープ (Hope)」という町で、この町の名前とかけて、やたらこの 「希望(Hope)」という用語を演説に混ぜて使っていた記憶があります。それで Youtubeを検索すると恐怖(Fear)と希望(Hope)を対比させた演説が出てくるのですが、レトリックとしては非常に上手く組み立てられているように思ってきます。



文献

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