2012年3月21日水曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その15)形容詞と副詞



「簡単に出来るでしょう?」 といった時、それは誰の基準で言っているのでしょうねぇ?

それが相手にとって難しい場合は、「お前は、こんなことも簡単に出来ないのか!」というメタ・メッセージを含んでしまうのがコミュニケーションの難しいところなのでしょうけれどねぇ。(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その15)形容詞と副詞」について書いておきましょう。

言葉と認識の変化

ミルトン・エリクソンについて書き始めるとどうも「トランス(Trance)」とか「催眠」という用語ばかりに焦点が当てられ、ある意味、一種の怪しい雰囲気を醸しだしているようにも思われてきます。

 もっとも、エリクソンの場合は「Oxford Hypnosis Handbook[1]のようにきちんとした大学から出版されている書籍(筆者はスティーブ・ランクトン氏ですが)などで認知科学や認知心理学の視点から研究、実践されているというところはあるわけですが、エリクソン催眠の本質は、Wikipedia のミルトン・エリクソン[2]の項目にあるように、


その根本にある考え方は、催眠はコミュニケーションの1つだというものであった。そこで、彼は自分が気づいたダブルテイクや、言葉の命令的側面、呼吸や抑揚に関する理解などを催眠誘導に持ち込む事で、催眠誘導を非常に巧みに行った。又、普通の会話と催眠誘導の境界を曖昧にした。つまり、普通の会話の中で自由に催眠誘導と行き来した。


普通の会話の中の中で使われるというところが面白いところなのでしょう。

それで、トランスの定義というのは以下のリンクで書いたところではあるわけですが、高いコンテクストの中で、欧米よりもメタ・メッセージが重視され、曖昧に含みを持って話される日本語そのものが催眠言語のような気もしてくるわけですが、これについてはまた別の機会に書くことにしたいと思います。

http://ori-japan.blogspot.jp/2011/12/blog-post_05.html



追記:以下のリンクでも書いた通りですが、広義の意味で相手の意識を覚ました状態で聞いてもらいたければ、要旨を結論から先に言うピラミッド構造に当てはめて話す必要があると思われますし、逆に相手に頭の中で色々推論したりイメージしてもらうような広義の意味でトランスに入ってもらいたい時は、結論を曖昧/先延ばしにした非ピラミッド構造にして、意図的に曖昧に、あれこれ思わせぶりな感じで話す必要があるという具合です。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/02/blog-post_13.html

 もっとも、通常のコーチングなどでトランス誘導なしに普通に会話を行うことで、認識の変化を起こすことが出来るかどうかについても以下のリンクで書いたところなのですが、


禅のひとつのやり方としてダブル・バインドを引き起こす考案が必要なように、コーチングの場合も、例えば、ダブル・バインドの状態を認識させるような、いくつかの条件を整え、その枠組から出る支援を、MRIのウォツラウィックの言うトランス無しの催眠言語を普通の会話として使うことで第二次変化が起こせる可能性について書いた通りです。

 例えば、クライアントが抱えている課題をダブル・バインドの構造として捉えてもらうような条件を整え、パズルを解くように、よりメタのリソースを探しながらその解消を行うような方向で普通に話しているだけでクライアントの認識に変化が起こるということが分かってきます。逆の言い方をするとトランス誘導だけ行なっても、その後、何の変化もおきないことを示しています。

 それで、認識のダブル・バインドをパズルを解くように解消していくようにメタのリソースを見つけながら解消していくのが、エリクソンのセラピューティック・ダブル・バインドということになるわけです。


 それで、個人的には課題解決についてのコーチングやファシリテーションを行う場合には、TOC Evaporating Cloud 3cloud 法を併用しているわけですが、課題をダブル・バインドとして把握し、メタのリソース、例えば、自分を制限している枠組みや前提を見つける図式として、これが中々良く出来ているように思ってきます。

 
形容詞と副詞

さて、上とは直接は関係ないようにも思えてきますが、エリクソンの言語パターンの続きを書いておきます。

 エリクソンは、よく deeply , easily , readily , curious , simply , happily という形容詞、副詞を活用しています。[3]

 それで、ここで面白いと思われるのは、例えば「easily(簡単に)」 というのが何を根拠にしているのか?何を基準にしているのか?という根拠はなく、ある意味、事象や行動に対する印象操作として形容詞や副詞を使っているという点でしょう。

 つまり、クライアントがある事柄に取り組む場合、ラポールが形成された状態で「それは簡単です」と言われれば簡単に思えてくるというような単純な図式です。
 
l       使用例その1


""Have you wondered how easily this happened?"

(意訳) それがどんなに容易に起こるのか?考えたことがありますか?


l       使用例その2


" You can simply understand this.

(意訳) あなたは、それが簡単に分かります。


l       使用例その3


" You can deeply find the meaning for yourself."

(意訳) あなたは自身にとっての深い意味を見つけることが出来るでしょう。


(つづく)

文献
[3] http://www.amazon.co.jp/dp/1904424910/



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