2012年3月27日火曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その21)偶発的暗示



 エリクソンのスキルは、見る角度によって色々なパターンが浮かび上がってくるので、どれか特定のパターンとして分類するのは難しいというか、あまり意味が無いと思うわけ。で、偶発的暗示もそうなんだけれど、個人的にはこれはユーティライゼーションとして考えるのが一番しっくりくるように思ってきます。

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その21)偶発的暗示」について書いておきましょう。

偶発的暗示

 今日は、ミルトン・エリクソンが用いた偶発的暗示(Contingent Suggestions)について書いておきましょう。

 物事を理解する、あるいは理解したつもりになるには、西洋の学問的に、あることから対象の事象なりパターンを要素還元的に取り出して、それに名前を付けるということが一番手っ取り早い方法のように思ってきます。

 もちろん、ここには、分けるという行為→分かったという感覚というようなトランス・ロジックが働いていることになるのでしょうが、実際にそのパターンを使うには練習が欠かせないように思ってくるわけです。

 それで、今日説明する偶発的暗示は、エリクソン&ロッシの著作「Hypnotic Realities[1]でエリクソンの暗示のパターンとして明示的に取り出されているスキルの一つとなっているわけです。

 偶発的暗示は、クライアントを観察しながら、クライアントの振舞いと振舞いの間に因果関係が存在するかのように暗示を行うパターンです。

 もちろん、ここでは偶発的という言葉が付いているわけであり、クライアントが腕を動かせば、その動きに注意を向け、まるでそれが原因になって、別の動作が起こったり、ある心身状態が喚起されているかのように暗示を行うということがこれにあたります。

 これからすると、セラピストも観察眼を磨き、クライアントの動作と動作の関係性を瞬時に見つけるような、Jazzのインプロビゼーションのようなスキルが必要になってくるように思ってきます。
 使用例を読んでみましょう。[2]

l       使用例その1


"Your eyes will get tired and close all by themselves as you continue looking at that spot.

(意訳)その点を見続けていると、あなたの目は疲れて、自然に閉じられるでしょう。


 この例の状況として、クライアントを観察し、壁のシミなどのある点に意識を集中してもらっているという前提があり、エリクソンはそのことを観察して、とっさに、「点を見続ける」という行為と「目が疲れて、自然に閉じる」ということを言葉の上で結びつけ因果関係を示唆するような形式で暗示を行なっています。
 
l       使用例その2


"Don't enter trance until you sit all the way down in that chair, there.

(意訳)あそこにある椅子に深ぁ~く腰掛けるまで、トランスに入ってはいけません。


 このパターンは、否定文をつかって、埋めこまれた命令(Embedded Command)を使って「トランスに入れ」というメッセージを送っていることになります。また、偶発的暗示ということで、「そこにある椅子に腰掛ける→トランスに入る」の因果関係を含んだメッセージを送っていることになります。

文献
[2] http://www.amazon.co.jp/dp/1904424910/



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