2012年3月4日日曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その4)削除


 
コンテクストが共有されていると説明に抜け漏れがあっても話が通じるし、不明点を相手がもっと良い案で補完してくれたりするんだよなぁ。

まぁ、逆のケースもあるけれど。(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その4)削除」と題して少し書いておきましょう。

 削除

削除(Deletion )について説明しましょう。

削除は、「任意の何か」が文中からすっぽり削除されていることを指します。[1]

もちろん、私たちは普通に話している時、意図しなくても文から肝心な言葉が削除されていたりすることも多いと思います。もっとも、エリクソンの場合は、あえて曖昧な言葉を正確に活用することで、クライアントの深層構造にある意味を探し、その意味によって引き起こされるクライアントをエンパワーする心身状態を引き出すために活用していたと考えられます。

そう考えると、あることを詳細に説明するよりも、あえて意図的に削除を行われた言葉を相手に投げかけ、相手がそれをどう補完するのか?は相手に任せたほうが良い、というやり方もあることが分かってきます。

l       削除

具体的に削除使ったエリクソンの言語パターンを見てみましょう。もちろん、文はそれ単一で意味を持つものではなく、文脈の中で判断する必要があります。


And You can be happy. The way is ready. Knowledge comes in surprising way.

(意訳)「あなたは幸せになることができる」、「道は準備された」「知識はびっくりさせられるやり方でやってくる」


上の例だとある意味「ことわざ」のようにも感じるわけですが、強力なラポールが築かれ、協調的な関係が構築されていると、この言葉を聞いたクライアントが、自分の状況にこれを当てはめ、これに同意するとクライアントは「まったくそのとおりだ」と考える以上に、クライアントをエンパワーする心身状態を引き出していることになるでしょう。

l       表層構造→深層構造の補完

 ここで、削除について生成文法のものさしをあてて考えてみましょう。

表層構造→深層構造への「Transderivational search」が起こる条件については以下で書きましたが、


削除・歪曲・一般化の行われた表層構造の文章を聞いた時、その文章の聞き手の表象の中では、以下のような情報に基づいて深層構造への補完が行われていると考えられます。[2]


1.     過去に経験した何らかの出来事
2.     その出来事は諸所の要因によって引き起こされる
3.     その要因は以下のような部分の相互作用からなる
A)     エージェント 出来事の主体
B)     オブジェクト 主体が影響を与える対象
C)     道具 主体が使う道具



 これは、オートポイエーシスの提唱者である神経科学者のウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・ヴァレラの著書「知恵の木」で「言われたことの全てにはそれを言った誰かがいる」を思い出すわけですが、言葉が指している反対側の側面を記憶や想起で補完し、頭の中のイメージとして、コンテクストを含む主体とそれが影響を与える対象の相互作用を考えた上で再構築していることになります。

ここで、本題に戻って削除ということを考えると、1)主体が削除されている 2)対象が削除されている 3)道具が削除されている、4)関係性、コンテクストやプロセスが削除されているとなり、聞き手が記憶や想起でその隙間を補って解釈しているということになるでしょう。

もっとも、エリクソンは日本語でいう「含み」を持った話し方であるわけであり、この「含み」の源泉は、コレボレイティブ・アプローチ[3]とも言われるように相手との相互作用において相手により多くの解釈の余地を与えるというところから起こっているように思えてきます。

文献

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