2012年3月7日水曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その7)遂行発話の欠落



ミルトン・エリクソンの言語パターンと情報リテラシーってものすごく関係があるように思えてくるのは、なぜだろうか?(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その7)遂行発話の欠落」と題して少し書いておきましょう。

 要は 主体が誰か?の省略とその視点からの評価

今日は、遂行発話の欠落(Lost performative) について書いておきましょう。

遂行発話の欠落は元々ミルトン・エリクソンがおこなっていた心理療法のコンテクストで活用されていた言語パターンの一つで、評価を行なっている主体が誰なのかを明示しないで話すパターンです。[1]

もちろん、日本語の場合だと、高コンテクストな社会だということともあいまって、主語が省略されるということが頻繁に行われ、主語が省略された場合に聞き手のほうで文脈から勝手に主語を補って理解するということが行われます。

それで、元々、遂行発話(performative)は語用論の用語ですが、遂行発話の欠落が、単なる主語の省略と異なるのは、単に文の主語を省略して話すというだけではなく、AND条件で、その視点から何らかの評価が行われていることが一つのポイントです。

つまり、何かを評価している視点それ自体の抽象度を上げて話すというような話法になっています。

l       遂行発話の欠落の言語パターン

具体的に遂行発話の欠落を使ったエリクソンの言語パターンを見てみましょう。[1]もちろん、文はそれ単一で意味を持つものではなく、文脈の中で判断する必要があります。
 

Its good that people are honest . Its not important just how fast go into trace.

 (意訳) 正直であることは良いことです。 どれだけ早くトランスに入れるかということは重要ではありません※こちらはダブル・バインドの言語パターンのところで説明したので説明は省略
http://ori-japan.blogspot.com/2011/10/blog-post_31.html


最初の文は、形式こそ単純ですが、実は結構複雑です。

people are honest. について考えます。まず、people が非指定参照インデックスであり、具体的にどのような集合に属している人なのかは?これを聞いた人の解釈に任されることになります。これは少し前に書いたエリクソンの言語パターンとして解釈できます。


次に一般意味論の E-primeの概念の話になるわけですが、


people are honest という be 動詞を用いた形式にすることで、その人たちの人格が正直なのか?行動から推測された正直なのか? 観察者の主観なのか?客観なのか?あえて抽象度の混同を引き起こしていることになります。

さらに、people are honest の文に対して、It という主語を使って good という評価を与えている遂行発話の欠如の言語パターンということになります。 つまり、何か評価があるのだけれど、さらに曖昧な形式で、その評価を誰が行なっているの?というところが非常に曖昧になっているというわけです。

もちろん、It is good that people are honest .を上で述べたようなクリティカル・シンキングのモードではなく、このようなモードを止めて「正直であるのはいいことです。」を聞くと、強い気持ちを伴って「まったく、そのとおりだよ」と思われる方の少なくないでしょう。要は、クライアントとメタ・メッセージが同調するような強いラポールができた状態で、このような曖昧な表現を使うと、相手の持つ深い意味を引き出す可能性が高まるとも言えるでしょう。

もちろん、この弊害としてテレビと視聴者の間に強いラポールが出来た状態で、司会者やナレータが言った「納豆を食べることは、とても健康に良いことです。」「納豆を食べれば食べるほど、あなた健康になっていきます。」というような言説を信じてしまうと、何も考えない人がスーパーに人が殺到し、納豆が品切れになってしまうというような笑えないことが起こることにもなると思います。

もっとも、日常生活においては今日のテーマである遂行発話の欠落のパターンにはまらない、つまり、情報ソースを確認する、その人の立場を確認する、といったことが情報リテラシーを上げることにつながると考えても良いでしょう。

文献

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