2012年3月8日木曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その8)全称量化子



三段論法は数学の問題とか考えるのには良いかもしれないけれど、日常生活で起こる問題にそのまま適用するには問題になることが多いのだなぁ。まぁ、その前提が白か黒かという二値的な発想になってしまっているので何らかのコミットメントを引き出すのには良いのだろうけれど・・・それで日常生活では、身体感覚を伴って「どっちがより確かなのか?」という判断になると思うのだろうけれど、その意味ではトゥールミンの三角ロジックのほうが役に立つことが多いねぇ。(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その8)全称量化子」と題して少し書いておきましょう。

 全てがそれに当てはまるように話すこと

全称量化子(Universal Quantifier)は元々の数学の概念で、全てを表すことですが、ここでは、ミルトン・エリクソンがおこなっていた心理療法のコンテクストで活用されていた言語パターンの一つで、全てがそれに当てはまるかのように話すパターンです。[1]

 もっとも、数学ならいざしらず、日常生活の場面で、全てのことがあることに当てはまるというのはむしろ稀なことが多いでしょう。 つまり、現実の現象の全てを一般的なルールで説明することは難しいわけであり、「例外のないルールはない」と考えたほうが上手くいくことのほうが多いわけです。

 もちろん、自分が考えている枠組みで物事を見た場合、その枠組に当てはまらない可能性のほうに目を向ける一般意味論の「Etc.」の使い方については以下のリンクで書いたとおりです。


 ところがエリクソンの場合は、これとは逆方法のやり方として適当な心身状態をクライアントから引き出したりする場合にall, every, never , always, nobody, each , any などのこの全称量化子を使って「いつもそれが成立つ」というような言語パターンを用いることがあります。

l       全称量化子の言語パターン

具体的に全称量化子を使ったエリクソンの言語パターンを見てみましょう。[1]もちろん、文はそれ単一で意味を持つものではなく、文脈の中で判断する必要があります。
 

Slow breathing always relaxing. All reactions are useful at some time in some way .

 (意訳) ゆっくり呼吸することでいつもリラックした状態になります。 全ての反応は、時には、何らかの役に立っています。


Slow ~」のほうは、事実としてはゆっくり呼吸をしてもリラックできない状態があるかもしれませんが、少なくとも認識として「どんなに緊張していても、深呼吸すれば気持ちが落ち着いてくる」という思考の枠組み、つまり信念を持っていると自信につながってくるように思います。

 また、「All ~」のほうは、ある人が何らかの状況に反応するようなことを表しているように思えますが、この場合、たとえ、それがどんなに馬鹿げた反応だったり、一見何の立たないように見える反応だったりしても、コンテクストを変えることで何らかの役に立つ、しかも例外はない、ということを表しているように思ってきます。

 それで、余談ですが最近亡くなったホイットニー・ヒューストンの歌の歌詞には、この全称量化子が使われていることが分かってきます。


 もちろん、相手への愛情をストレートに表現する時には、「たとえどんなことが起こってもあなたを愛していますよ」というようなある意味二値的に白黒を付けて愛への深いコミットメントを表現したような形式の歌になるということなのでしょう。

 もちろん、これとは逆に一般意味論の「Etc.」を探すような形式で「愛してますよ」でもね・・・「浮気をした時は、例外」、「家庭内暴力を振るった場合は、例外」、「酒癖が悪くなった時は、例外」・・・「愛情が冷めた時は、例外」・・・とやっていくと、何かの契約書みたいでとても「愛の歌」ではなく何か野暮ったいものが出来上がってくることが分かってくるようにも思えてきます。 

文献
 [1]http://www.amazon.co.jp/dp/1904424910/

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

0 件のコメント:

コメントを投稿