2012年3月9日金曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その9)様相演算子



コンサルタントとかやっていると、ある意味当たり前なんだけれど、「必要条件」と「十分条件(それを起こすための十分条件となる原因)」を区别することはとても大事なことのように思えてきますねぇ。

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その9)様相演算子」と題して少し書いておきましょう。

 いくつかの行動が必要で、おそらく選択が為されない状態

様相演算子(modal operator)は、元々 Modal Logicから来ていると思われますが、[1]。 ここでは、ミルトン・エリクソンがおこなっていた心理療法のコンテクストで活用されていた言語パターンの一つとして説明します。

 この言語パターンは、いくつかの行動が必要なのだけれども、そのための選択がかけている状態があるかのようにcan/ can'twill/won'thave toshouldmustno onenecessaryなどを使ってほのめかすようにして話すパターンです。[2]

一般的に何かを実現しようとした場合、ロジカル・シンキングを使うと必要条件と十分条件(TOCの場合は、それを起こすための十分条件となる原因)を考えると思います。


http://ori-japan.blogspot.com/2011/11/toc.html

もちろん、普通にロジカル・シンキングで必要条件を聞くのであれば、「それを行うための必要条件は何ですか?」「それを行うためにどんな行動が必要ですか?」「それを行うためにどんな決断が必要ですか?」を聞けば良いという話なのですが、これが使われる状況が心理療法のコンテクストだということも考慮し、エリクソンの場合はこういった質問を直接行うことをしないであくまでも暗に示唆するような形式でこれを相手に伝えているというようなことを行なっていることになります。

もちろん、日常生活の場面でも、can/ can'twill/won'thave toshouldmustno onenecessary のような用語、日本語だとしても「~することができる/できない」「~しなければならない」「~するべきである」・・・といった言葉には話し手の「◯◯が△△を実現するための必要条件だ」のような、気持ちがこもった信念・価値観が反映されていることが多いため注意して耳を傾ける必要があると思われます。
 
l       様相演算子の言語パターン

具体的に様相演算子を使ったエリクソンの言語パターンを見てみましょう。[2]もちろん、文はそれ単一で意味を持つものではなく、文脈の中で判断する必要があります。
 

 And you can't even lower that hand, can you ?  As you breathe slowly you will/can/haveto/must/need to/should relax even more.
 (意訳) 腕をもっと下に下ろすことはできませんか、ねぇ? ゆっくり呼吸をすると、あなたは、もっと リラックすることになるでしょう/できるでしょう/しなければならなくなるでしょう/リッラクスせざるを得なくなるでしょう。

上の「And ~」はエリクソンの言語パターンとしてタグ・クエスチョンを使ったパターン。最初に手をこれ以上下に下ろすことはできません、と言われた時にクライアントが、まだ下ろすことができるのであれば、「いやいや、もっと下ろせますよ」と言葉に対する反発が起きます。

そこで、タグ・クエスチョンの「can you?(できるよね)」を聞きます。そこでクライアントは、「はいできます」というような形式で、反発を解消するような形式で「自信をもった」心身状態で行動を引き起こしているパターンとなります。もちろん、これ以上下がらない場合は、別の方法を考えるということになるでしょう。

As ~」のほうは、ゆっくり呼吸をすることが、リラックスすることの必要条件になりますよ、というような思考のフレームをセットしてもらうような形式になっているわけですが、ここではあくまでも必要条件の一つとして相手に示唆し、その後、具体的に、何らかの方法でゆっくり呼吸をしてもらうような指示をすることになるでしょう。

 リッラクスすることの必要条件の一つは、ゆっくり呼吸することであるという示唆が上手くいくと、十分条件を満たしていないにも関わらず、ゆっくり呼吸するだけで、リラックスするという反応を得ることが出来るようになっているところが催眠言語の不思議なところなのでしょう。

文献

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