2012年4月23日月曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その30)曖昧さ :統語上の曖昧さ




曖昧な状態というのは、言い換えれば、可能性に満ちた状態だとも、創発が起こる前のカオスな状態だとも思ってくる。
  
独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その30)曖昧さ:統語上の曖昧さ」について書いておきましょう。


統語上の曖昧さ

 今日は、2番目の曖昧さ(Ambiguity)である統語上の曖昧さ(Syntactic Ambiguity)について書いておきましょう。[1][2]

 統語上の曖昧さは、言ってみれば英語の文法上の盲点をついた曖昧さということになるわけですが、ある文章が二重の意味を持っているような状態を指します。もちろん、チョムスキーの生成文法上の用語で説明すると、1つの表層構造に対して2つ以上の深層構造を持っているということになるでしょう。[3]

l       パターン:その1

 例えば、このパターンとして「動詞+ing + 名詞」があります。


“…. flying plane is dangerous .

(意味1)飛んでいる状態の飛行機は危険である。
(意味2)飛行機を飛ばす(操縦する)ことは危険である。


(意味1)の場合は、flying plane を修飾する形式になっていて plane の状態を表すような形式になっています。
(意味2)の場合は、flying が主語になっており plane がその説明になっている形式です。

もっともこの英文のような場合には、flying planes are dangerous として、飛んでいる状態の飛行機は危険である、flying planes is dangerous として飛行機を操縦することは危険である、を区别する方法がありますが、planeが単数形になっている場合はこの区别が出来ずに二重の意味を持つことになります。

もう一つ別の例を見てみましょう。


They are walking dogs.

(意味1) 彼らは歩いている犬たちだ。
(意味2) 彼らは犬たちを散歩させている。

上の分も統語上の曖昧さを持っており、生成文法上の一つ表層構造に対して2つの深層構造を持つ形式になっています。

また、日本語での例を考えると以下のような例があります。[4]


「彼は読んだよ。」

(意味1) 彼が(誰かが書いた本を)読んだ。
(意味2) 彼の本(例えば夏目漱石)は読んだ。


l       パターン:その2

このパターンは名詞を修飾する動名詞ということになりますが、以下のような例があります。


The running leader .

(意味1) 自走するリーダー
(意味2) 他人に権力をふるうリーダー


サイバネティスク的には自分で努力しているリーダーなのか、あるいは人に権力をふるうリーダーなのかある意味まったく反対の意味を持つような格好になっていますが、統語上は、1つの表層構造に対して2つの深層構造を持つような形式になっています。

さて、ミルトン・エリクソンの言語パターンということについて考えると、エリクソンは一つの表層構造から少なくとも2つの深層構造があることを示唆することで、今持っている表層構造-深層構造のマッピングが絶対ではなく、このマッピングを変えることで新しい意味が構築されることを教えてくれているようにも思ってきます。

 (つづく)
 
文献
[4]https://docs.google.com/viewer?a=v&q=cache:1pXblRFbSUoJ:repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/87681/1/dyn00006_178.pdf+&hl=ja&gl=jp&pid=bl&srcid=ADGEESjsv_7OvwTmvsmUu9Um3MYMC124V9aybqwCO_nBRa9B_1RDIFKWpLw1bcUIrITYb5V75M_mzGeDbsX44gOEOD6mzH--eUi5bIJxzHW0a21rl3lCM9R7bOXNrV_VG7tq19ACOfoQ&sig=AHIEtbT5dhCEZgFufbSmmVvcZhgqq0DErw


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

0 件のコメント:

コメントを投稿