2012年4月24日火曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その30)曖昧さ:範囲



 欧米にありがちな単なるロジカル・シンキングではなくて、行間に言いたいことを詰め込んで間接的に相手に言いたいことを伝える技法だから、ミルトン・エリクソンのコミュニケーションのスタイルは、とても日本人に向いているとおもいますよ。
 
独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その30)曖昧さ:範囲」について書いておきましょう。

その言葉がどこにかかるか作用域の曖昧さ

 曖昧さ(Ambiguity)の3つめは範囲、作用域(Scope)の曖昧さです。これは、日本語などでも起こりますが修飾語がどの範囲までかかるのか、これが曖昧にされているケースです。[1]

 例えば、「全裸で」をつけて何かフレーズをつくることの好きな2チャンネラーが大喜びしそうな表現があります。


"I want you to draw me a picture of  yourself in the nude "

(意味1)私はあなたに、あなたの裸の絵を書いて欲しいのです。
(意味2) 私はあなたに、裸になって絵を書いて欲しいのです。


英語の笑い話で、日本人が足を怪我して英語圏の病院に行った時に「Take off your pants.」(ズボンを脱いでください)と言われた時に、顔を赤らめながら、文字通りパンツまで脱いでしまったというのがあります。

もちろん、この例は日本人にありがちな勘違いということになるわけですが、その上で取り上げた例は、英語のネイティブ・スピーカーが聞いても、「自分の裸の絵を書くのか」あるいは「裸になって絵を書くのか」、チョムスキーが言う、はなし言葉としての表層構造に対する深層構造が2つ存在するということになり、聞き手はどちらの意味なのだろうか?推論をはじめ、多少の混乱が起こるというわけです。[2]


Speaking to you as a child...

(意味1) エリクソンが子供のように無邪気にあなたに話しかける。
(意味2) エリクソンが子供としてのあなたに話しかける。


ここは、退行催眠に関わってくる部分でちょっと取り扱いが微妙なところだと個人的には考えています。

退行催眠は、簡単に言うと記憶を過去に退行させる形式の催眠で、変性意識下で用いるとクライアントが虚偽記憶をつくってしまう可能性も否定できないため博士号を持った指導者などについて十分経験を積み、正しく活用する必要があり、少なくとも初心者に教えられるような技法ではないと個人的には考えています。[3]

 もちろん、日常会話でも「小学生の時、キャンプに行く前日は気持ちがワクワクしてなかなか眠ることができませんでしたよねぇ?」「その時の気持ちはどうでしたか? それを思い出すことは出来ますか?」とか「今までの経験の中で、人生最高の気分だと思ったことはありますか?」「それはどのような気持ちでしたか?」というように現在、あるいは将来の変化に向けての資源・資質として活用することは問題ないようにも思ってきます。

それで、上の例はエリクソンが明示的に過去に退行しないさいと明示的に言っているわけではないのですが、クライアントが「子供としてのあなたに話かけます」という意味に取ると、クライアントは、例えば、自分の幼稚園や小学生だった頃の記憶にアクセスして、変化や問題解決のための資源・資質を探し始めるということになるわけです。

(つづく)

文献

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