2012年4月30日月曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(その33)魚雷療法




今までのやり方がまったく通用しない問題や課題に直面している場合。この問題や課題は、「今まで当たり前だと思っていた枠組みからとび出せ。大きく飛躍するチャンスだから。」と教えてくれているように思ってくる。

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(その33)魚雷療法」について書いておきましょう。

言語パターンはここで一旦閉めます。

ミルトン・エリクソンの言語パターンについて、ここまで、主に、変形生成文法のフレームワークで形式知化したパターンを中心にして書いてきました。

言語は私たちの世界観の枠組みをつくっているところに関わっているわけであり、ある意味、言語によりつくられたこの枠組が私たちに概念上の矛盾を引き起こしている原因にもなっています。

もちろん、その枠組に囚われているような場合、その枠組を認識し→その枠組から飛び出し→新しい認識や行動を身につける、ことが問題や課題の解決につながることになるわけですが、以下のリンクで短期・戦略療法の原則でも書いた通りに、これが「アブダクティブに学ぶ」ということでもあるわけです。


それで、ミルトン・エリクソンの言語パターンはそれ自体が、リソースを探る心身状態へのトランス誘導になっているという側面もありますが、言語によってつくられた自分を制限する枠組み自体に気づいてもらい、その枠組から飛び出る支援をするという意味が強いということも分かってきます。

その意味では、二ヶ月近く書いてきたエリクソンの言語パターンを読み返してみると、クライアントの視点を引き上げ、認識や行動を変えるためにとても洗練された禅問答であることが分かってくるわけです。


もちろん、この禅問答の秘密を探るために、ここから認知言語学のフレームワークで形式知化された言語パターンを書こうかと思ったわけですが、これで書き始めるとメタファーまで範囲に入り膨大な量になってしまうため、認知言語学で形式知化されたエリクソン言語パターンについて一旦保留してまたネタがたまってから書こうと考えています。

魚雷療法を言語パターンの練習につかう

それで、言語パターンの閉めの記事は魚雷療法(Torpedo Therapy )について書いておきましょう。[1]

ミルトン・エリクソンの心理療法のスタイルについて考えると、Jazz でいう即興演奏(Improvisation) のようなスタイルで、相手の状況によって縦横無尽に変化するというようなスタイルを取るように思ってきます。

つまり、予め用意されたスクリプトを棒読みするというスタイルからは対極的な方向にあり、スクリプトを棒読みするスタイルはエリクソニアンではないということになります。

もっとも、ここで別の問を立ててみましょう。「優れた Jazz の演奏家がどのようにして優れた即興演奏家になったのか?」。

例えば、優れた Jazz ピアニストにしても、サックス奏者にしても、ドラマーにしてもベーシストにしてもおそらく最初から即興演奏ができるようになったというわけではないでしょう。

おそらく、最初はコード進行を覚えるなり、そのコード進行で吹けるスケールなりフレーズなりを練習して、多少格好のつくような状態になったところでセッションを重ねてそれぞれの奏者が今のようなスタイルになったと考えるのが自然なところです。

それで、魚雷療法というのはある意味、コード進行を覚えるとかスケールを覚えるような「千本ノック系」の練習に使えるような技法となります。

名前からして魚雷と謳っているのは、問題だと思われているところにねらいを定めて片っ端から魚雷を発射し、その問題を海に沈めてしまうというようなそのスタイルから来ています。

この技法は4つの柱からなります。1)ひとつは時系列を前後させるような言語パターン。(Temporal Language) [2] 、2) ふたつは、クライアントの制限となるような思考の枠組みのリフレーミング。元々リフレーミング、MRIのポール・ウォツラウィックが命名した概念ですが相手の制限となる可能性のある枠組みを見つけてリフレーミングを行います。[3] 3) 3つ目は含み(Implication)を使う。これはエリクソンの言語パターンでも説明したところですが、相手に直接的にものを言うよりも、あえて曖昧に含みをもたせた形式で話すということになります。4)4つめは、一致(Congruent)つまり以下のリンクで書いたように 1)-3)をクライアントの不一致が解消するような方向で使ってみる


ということになります。

 もちろん、エリクソンのスタイルの場合は、パラドクス介入も考えられるため、


 通り一遍のスタイルとばかりにはいかないところもあるのですが、即興演奏の下積みとして、また、相手との相互作用を考えて対応を変える対応力を磨くために、最初はこういった練習から始めてみるのも悪くないのでしょう。もちろん、この代りに Clean Language[4] でも、Privative Therapy [5]でも相手と普通に会話しながら使える方法が良いのでしょうけれど。

(つづく)

文献

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