2012年5月10日木曜日

退行催眠と虚偽記憶



エリクソン催眠にも退行がないわけではないけれど、ジェイ・ヘイリーが言っているように「Here and Now」に焦点を当てて、今持っている思考の枠組み、信念・価値観の外側に出るのがあくまでも基本。

独り言


今日は、「退行催眠と虚偽記憶」について書いておきましょう。

退行催眠は、虚偽記憶の問題がなぁ・・・

  Wikipedia の虚偽記憶[1]の項目の元ネタだと思われますが、1997年に米国の科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」に掲載された論文「Creating False Memory」があります。


 この論文では具体的に何をやるとどうなるのかが分かり難いのですが、要はクライアントの記憶を退行させて記憶回復を行うと実際に経験していない偽の記憶が構築されしまう恐れが指摘されています。

 理屈的には子供に頃まで記憶を遡らせ、実際には経験しなかったことを再体験させれば、エピソード記憶や情動記憶によって実際には経験しなかった記憶がつくられるというわけです。

もちろん、ミルトン・エリクソンについても、その著書「The February man」の中で退行を使っているところはあるわけですが、


ベイトソンのマインドの理論から考えると、個々の経験の内容(コンテンツ)よりも、いくつかの経験を帰納する形式で構築されている現在持っているメタ・レベルのルール、つまり、何をどう認識しているのか、に影響を与えている信念・価値観のほうが重要な役割を行うというわけです。


このあたりは、論理行動療法でもイラショナル・ビリーフといっている信念もしくは物事を見るスキーマと同等と考えて良いでしょう。

それで、MRI(Mental Research Institute)に在籍し、後にワシントン派として短期・戦略療法を始めたジェイ・ヘイリーの Wikipediaの項目を読むと、[2] Here-and-Now(今ココ)に焦点を当て、今持っている思考の枠組みの外に飛びだして、今持っている信念・価値観、ルールに気づいてそれを変えることでのみ変化が起こることが分かってきます。もちろん、家族療法だと関係性ということになるのでしょうけれど・・・


このあたりの背景を考えると、MRIのベイトソン・グループがなぜダブル・バインドにこだわったのかが分かってくるわけですが、逆の言い方をすると、単に退行催眠を行えば良いという考えがいかに意味がないかということがよく分かってくることでもあるわけです。


(つづく)

文献
[2] http://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley


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