2012年5月11日金曜日

認知科学的展開



認知科学にも色々な流派があるようだけれど、個人的にはやはりエナクティブな認知科学が一番好み。もちろん、これを世の中で起こっている色々な現象を見るための、一つのメガネとして活用しているところ。

独り言


今日は、「認知科学的展開」について書いておきましょう。

行為は認知であり、認識は行為である

 神経科学者であるフランシスコ・ヴァレラの著作「身体化された心」[1]の中に、ヴァレラから見た視点でまとめられた認知科学の発展形態についてまとめられた図があります。

要は、認知科学についても、行動主義へのアンチテーゼとして起こった 1) 認知主義、そして、情報を扱うことで起こる創発的特性に注目した 2)創発主義、そして、メルロ=ポンティを引き継ぐ形式で認知の主体は身体を持った人間だとする 3)エナクティブな認知科学、の展開という形式でまとめられています。[2]


ここで、このチャートに着目するとさらにサブカテゴリーとして、哲学、認知心理学、神経科学、言語学、人工知能といった分野があり、それぞれの分野で、1)認知主義、2)創発主義 3)エナクティブ といった展開があるというわけです。

それで、ヴァレラが分類しているエナクティブなカテゴリーの言語学で活躍しているのが認知言語学者のマーク・ジョンソンとジョージ・レイコフというわけですが、このあたりについてBerkeleyギャング団の親分であるレイコフ本人が長々と解説している映像が Youtubeにアップロードされていたので今日はこれを掲載しておきましょう。


もちろん、個人的には世の中に存在する課題というのは認識自体を取り扱わないと解決しないことも多いため、こういったところでは非常に役に立っているというわけです。

さて、レイコフは自分自身の認知科学と従来の認知科学との違いを、


・思考は物理的に、神経回路で実行される。
98%の思考は無意識に行われる。
・合理的判断には情動を必要とする。→ダマシオのソマティック・マーカー仮説
・理由は身体化されている。概念と理由は関連する回路にリンクされた身体回路から立ち上がってくる。
・脳の同じ回路を使って、想像と行為(行動、知覚、思考)を行なっている。
    共感に基づくミラー・ニューロンは、物理的で合理的な思考の基となる。


という点から解説しているわけですが、このあたりはレイコフの著作「Philosophy in the Flesh [3]の中で解説してあったことと同じです。 余談ですが、同書の日本語訳「肉中の哲学」[4]については、Amazonのレビューで翻訳が悪いということが指摘されており、さらに原著の値段は 640ページにもかかわらず$20足らずと翻訳版の 1/3の値段なので個人的にはこちらを推したいところです。

また、Youtubeの映像でレイコフが説明しているように認知言語学は認識の枠組みを説明するフレームについて理論[5]が提供されており、人がどのような枠組みでも物事を認識しているのか?を考える一つの理論としてはとても役に立つように思ってきます。

それで、オバマの演説がどのように聴衆の認識に働きかけているのか?についてのレイコフの分析については以下で書いたところですし、


認知言語学を用いた心理療法家のミルトン・エリクソンの言語パターンを分析した「Six Blind Elephants」について以下で書いたところです。


そのようなわけで、身体を持つ人が行為としてどのように認識しているのかを考えるフレームワークとしてエナクティブな認知科学の知見を持っておくというのはありだと思います。

(つづく)

文献

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