2012年6月24日日曜日

戦略的罰ゲーム - 難行苦行が変化をもたらす



元々ミルトン・エリクソンの心理療法から形式知化されたいくつかの流派の心理療法というのがあるわけですが、こういった手法の中には催眠を使わなくても人の認識や行動を変えることができる技法があるというのは非常に興味深いところなのですよねぇ。


特にヘイリー氏の技法になると催眠の上手い下手といった問題ではなくて、システム思考に基づく問題の設定と打ち手のセンスの良し悪しという次元の違う話になってくるわけだからどちらかと言うと戦略コンサルタントのような発想が求められるように思いますねぇ。

独り言


今日は、「難行苦行が変化をもたらす」について書いておきましょう。

催眠を使わないで認識、行動の第二次変化を起こす4つの手法

 個人的には心理療法の手法を組織のチェンジ・マネジメントの手法として使うという企てがあるのですが、それは以下のリンクで書いた通りです。


それでこの話題ともおおいに関連するのですが、以下のリンクで書いた「質問とリフレーミングだけで人は変化するのか?」の続きについて書いておきましょう。


このリンクで催眠を使わないで人の認識や行動を変化させることの出来る心理療法の技法が4つ、1) Paradoxical Intention (逆説的意図) 2) Ordeal Therapy (苦行療法) 3) Ambiguous Function Assignment (アンビギュアス ファンクション アサインメント) 4 ) Provocative Therapy (挑発療法 プロヴォカティブ・セラピー)あげられており。このうち 3)については以下のリンクで少し書いています。


ジェイ・ヘイリーの体系化した Ordeal Therapy

 それで、今日はワシントン派の家族療法家であるジェイ・ヘイリー氏の体系化した 2) Ordeal Therapyについて少し書いておきましょう。


http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/httpori-japan.html

 この療法はクライアントの同意を得た上でクライアントにとっての苦行を続けてもらうというような療法でもあるのですが、ジェイ・ヘイリーはこのプロセスを以下の6段階で定義しています 1)問題の明確な定義、2)クライアントのコミットメントを得る 3)適切な苦行を選択する 4)論理的に根拠付けしてそれを命令する 5)問題が解決されるまでそれを続ける 6) 他人との関わりにおいて言動が変わる。[1]

 もちろん、この場合、セラピスト側は催眠を使っていないわけですが、問題を上手く定義し、そしてクライアントにとって、問題を引き起こす原因をやればやるほど厳しくなる罰ゲームとしての適切な苦行設定し、それを継続しなければならない状況をつくりだすことでクライアントの第二次変化を起こしていこうというのがこの技法の特徴となっています。

 確かミルトン・エリクソンが不眠症の人に「眠れない時は、ベッドの横に立って本を読みなさい」という指示があったように思います。このクライアントは次回の面接の時にエリクソンに尋ねられると「いつの間にか眠ってしまっていました」と答えています。[2]

 これをヘイリーの示したフォーマットで考えると 1)課題は不眠症、 2)エリクソンの指示に従うというコミットメント、 3) 苦行は眠れない時にベッドの横で立って本を読むこと、4)エリクソンがそれを指示する、5)クライアントは夜眠れない時に、指示にしたがってそれを続ける、 6)いつの間にか疲れてベッドで眠っている、となります。


 こういった技法は、催眠の上手い下手という話から、いかに上手に問題を定義するのか?それを克服するためにいかに巧みな打ち手を考えるか?それをどのように上手く実行してもらうのか?という話になって、実際にやっていることは戦略コンサルタントとほとんど変わらなくなるので、こういう方法に慣れている人にとっては何の練習も無しに普通に使える技法ということになってきます。その意味個人的には当たり前過ぎるのと、怪しいところがゼロなので刺激がなくてそれほど面白いとは思わないのですよねぇ(笑)。

(つづく)

 文献

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