2012年8月11日土曜日

組織の問題解決のためのリフレーミング(その13)

                                  

 本当に優秀なコーチはクライアンがどのような信念・価値観、思考の枠組み、あるいは一般化されたルールで世の中の物事を捉えているのか? といった現状の認識のパターンを明らかにします。そして、将来外的世界に目標を具現化する過程で相互作用する認識パターンをどのように利用するのか? 制限を回避したり、枠組み自体を超えたりという、その利用の方向性も分っていないとけないのだと思います。

 逆に高い金額をチャージするのだから、これが出来なければコーチの価値は無いですねぇ。(笑)

独り言


今日は、「組織の問題解決のためのリフレーミング(その13)」について書いておきましょう。

現状と理想を埋めると簡単に言うけれど・・・

さて、ここでエグゼクティブをコーチングしたらということで仮想のケーススタディについて書いておきましょう。

  • 現実と理想の間で

最初にFIT-GAPの話から、コーチングにしてもコンサルティングにしても FIT-GAP分析という手法があります。


内容はありがちなフレームワークで、要は現状(AS-IS)理想(TO-BE)を定義してその間を埋める施策を考えて埋めていくというものです。このフレームワークはERP(Enterprise Resource Planning)の導入などでよく使われますが、この場合は外的世界で実現されることだけを基本的に考えておけばよいのでそれほど難しいことにはならないと思います。

逆に言うと、コーチングでこのフレームワークを使う難しさは、現状や理想といった時に、外的世界で起こっていること、あるいは実現されていることと、内的世界つまり認識の世界にある思考、思考の枠組み、あるいは感情や情動というように「自己の投影としての世界」と「世界の投影としての自己」というように外と中の循環を考える必要があるということでしょう。 もしかするとこういうコーチングのこういった基本的な原則を知らないコーチが大勢居るのかもしれませんが、基本的にはクライアントの認識にアプローチ出来ないコーチは単なるスケジュールのプランニングの支援者ということになってしまうので注意が必要なのでしょう。

  • 将来の理想はどのような枠組みで見ているのか? 

但し、このFIT-GAPのフレームワークをコーチングに活用した場合、一つの落とし穴があります。

心理療法のソリューション・フォーカスト・アプローチではないのですが、例えば、将来の理想(TO-BE)を考えたとしましょう。 具体的には、過去の原因ではなくて未来にどうなっていればよいのか?を探る質問として結果が得られる時系列を想定して以下を尋ねたとしましょう。「何がどうなっていればよいでしょうか? (What would you like to have happened ?)」。

ここでの落とし穴は、このように問われると過去の経験から一般化を行なって身につけた思考のフレーム、つまり現在持っている常識から将来の理想を考えてしまうということが起こることになります。つまり、コーチが単にこのような質問だけを行なっても、クライアントは現在の常識で月並みな目標を考え、そして常識に沿った月並みなやり方で、想定される月並みな結果しか得ることが出来ないということになってしまいます。

 もちろん、これでは何のためのコーチングなのか?ということになってきます。 しかし、クライアントに突拍子も無いアイディアを出すようにお願いしても具体的にどのように実現するのか?というプロセスが無いとこれは非常に難しいことになってくるでしょう。

まず現状のイッシューから始めよう

では具体的にどのようなプロセスでもってどのようにアプローチを行うのか?どこかで聞いたサブタイトルですが、これについて少し書いてみましょう。

上では常識と書きましたが、現状どのような信念・価値観、思考の枠組み、一般化されたルールで物事を捉えているのか? また、これらが普段どのように思考や行動に制限をかけているのか? そのパターンを探る必要があります。

もちろん、ここで注意するのは、現状、外的な世界で起こっている出来事と内的な認識が現在どのように相互作用しているのか?そのパターンを探ることですから、何か過去に起こっていることについて原因分析をすることではないことに注意しましょう。

  • ケーススタディ 

さて、ここで以下のケーススタディについて考えてみましょう。


山田太郎は、東京生まれのチャキチャキの江戸っ子である。 国産ITベンダーに10年勤務した後、米国カリフォルニア州のイースト・パロアルトに本社をおくマイクロン・ネットワークスに転職しユーザ担当の直販営業に従事して10年になる。

1年前にそれまでの担当マネージャから営業担当の執行役員に昇進した。
山田は「現場主義」をモットーにしていて、顧客先にもパートナー先にもできる限り出かけるようにしているのであるが、最近は社内調整のための打合せが担当者時代よりも激増し仕事のやり方を変える必要を感じている。

前職の同僚ともよく飲みに行くのだが「俺もピーターの法則の罠に落ちたかな」[1]とおどけて見せてはいるものの、全世界的な経済の停滞から来る欧州や米国の売上の落ち込みもあって日本に対するプレッシャーは増々厳しいものになっている。

最近、会社でエグゼクティブ・コーチとしてトライパッド社の松本耕助と契約した。

とあるセッション、松本からの提案で、山田は自分の置かれている状況を把握するために、TOCの3クラウド法を使って自分の思考の枠組み、信念・価値観、一般化されたルールを探ることになった・・・

※この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません


これが状況設定なのですが、コーチの松本はここで現状、取るに足りないこともよいので、山田が仕事上課題だと考えていることを10程度書き出すように指示されます。

以下がその表となりますが、これを使ってどのように話が展開するのかは次のトピックで説明することにします。

番号
課題(現象)
1
顧客会議と社内会議の日程が重複することが多い
2
自社の情報が顧客へタイムリーに届いていないことがある
3
顧客サポートがワークフロー通りに実施されていないことがある
4
他支社の営業支援の出張中に、自支社の緊急対応を求められることがあり、途中で出張から帰社するケースが多々ある
5
提案が顧客との間で価格の叩き合いになることがある
6
部下への権限移譲が行われていないため自分の労働負荷が高い、日程重複多い
7
投資を抑制している顧客が増えている
8
部下と目標設定の打合せが十分できているとは言い難い
9
競争力のあるソリューションの構築を行う必要がある
10
本社への出張頻度が増加、同時にレポーティング作成時間が激増した。


(つづく)

 文献
[1] http://ja.wikipedia.org/wiki/ピーターの法則


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