2012年8月6日月曜日

組織の問題解決のためのリフレーミング(その9)

                                     

心理療法家のミルトン・エリクソンの弟子にスティーブン・ギリガンという人がいますが、この人の編集した論文集に「Walking in two Worlds[1]というのがあります。

タイトルどおりに、問題を考えたり、解決したりという時に、我々のまわりに存在する外的な世界と、内的な認識の世界の循環を考えましょうという文字通り、ミルトン・エリクソン派=(ラディカル)構成主義を証明したような論文集なのですが、これがとても素晴らしいのですよねぇ。

もっとも、このあたりは日本の国宝にもなっている東寺の金剛界曼荼羅(外的世界)、胎蔵界曼荼羅(内的世界)の循環ということになってくるのである意味仏教的な世界観なのかもしれませんけれども・・・・このあたりの話を始めるとオートポイエシス論を中心にエリクソン派と中観派の仏教とエナクティブな認知科学って同じ実体を異なる側面から説明し実践している人たちなのではないのだろうか?ということに気がついてきます・・・・(笑)

独り言


今日は、「組織の問題解決のためのリフレーミング(その9)」について書いておきましょう。

世界の投影としての自己、自己の投影としての世界を考える

 今日は、次の話の枕に問題解決の手法について少し考えてみましょう。

以下のリンクでも書いたのですが、問題解決も大きく分類すると原因思考と解決思考という方向性になってくるでしょう。


それで団塊のおじさん、特に製造業に勤務していた人たちがやっているのが原因思考ということになるわけですが、個人的な印象としては、唯物史観で何か壊れた機械を現状復帰するというようなところでは威力を発揮するのでしょうが、構成主義的に認識と行動が相互作用するような場面、あるいは現状の枠組みを超えたイノベーションを志向しているような場面ではからっきし役に立たない手法のようにも思ってきます。

これに対して、横山禎徳著「循環思考」[2]の発想が非常に面白いと思うのですが、この著作では問題が起こっているシステム、あるいは解決のシステムもオートポイエシス論を援用して、外的世界と内的世界の循環を考え、生きているシステム同士がどのように結びついているのか?こういったことを生きているシステムとして観察し、生きているシステムとして解決していかなければならないという発想には非常に個人的には惹かれるものがあります。

 もちろん、この本の帯には非常に挑戦的なことが書かれていることも印象的でしょう、つまり「《問題の裏返し》の答えを出すことを、【恥】と考えることから始めよう!
」です。

 例えば、会社の課題を整理して「競合他社に比べて価格が高いから売れ行きが悪いようだ」というようなことが抽出された時、売れ行きが悪いという現象原因仮説を価格が高いから、というような因果関係で考え、その打ち手について、単純に問題をひっくり返して「では価格を安くしよう」という考え方はとても恥ずかしいことなのですよ・・・という考え方だというわけです。

 もちろん、この解の一つは、「価格が高い(原因仮説)→売れ行きが悪い(結果)」を一旦は単純な因果関係として捉えるものの、家族療法や短期療法で活用されるリフレーミングを活用して、その背景にある思考フレームやメンタル・モデルの一部を明示するという方法になってくるわけです。


 要は、今起こっている現象を直線的な因果関係で捉えてそれをひっくり返すのではなく、今起こっている現象を、外的世界と内的世界の循環、つまり行動-認識のような循環で捉え、その行動-認識のパターンを変化させるよりメタ・レベルにあるパターンをそこに持ち込みなさいと言っているように思ってくるわけです。

 もちろん、このあたりのことはグレゴリー・ベイトソンの生誕100周年記念に発売された論文集の中に寄稿された「Patterns That Connect Patterns That Connect[3]
つまり、ベイトソンの言った「結ばれあうパターン」についてのパターンという具合に論理階型を踏み上がったメタ・レベルのパターンについて考えましょうというエッセーを読むとその意図が分かってくるように思ってきます。

 つまり、アインシュタインの名言である「我々の直面する重要な問題はその問題を作ったときと同じ考えのレベルで解決することはできない」に対しての解答として、その問題を起こしているシステムに何らかの変化をもたらし問題を解決に導くためには、そのシステムの持っているメタ・パターンを探しそして活用しなければならないということを・・・・

 (つづく)

 文献
[3] http://www.imprint.co.uk/books/Bateson_Intro.pdf


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