2012年8月20日月曜日

組織の問題解決のためのリフレーミング(その19)



スケジュール管理のノウハウみたいな書籍を読むと「優先順位をつけろ」みたいなことが出てくる。もちろん、世の中そのやり方がどのような場面でもうまく機能するなどということは無いわけだけれども、ここで最も重要なのは、どのようなコンテクストや制約条件があったら優先順位を付けなければならないのか? あるいは優先順位をつけたほうが上手く事が運ぶのか?というようなその背景に隠れている枠組や暗黙の前提に気がつくことなのだと思う。

日常生活や仕事の場面では優先順位を付けるというのは当たり前の世界かもしれないけれど、天皇陛下の外交ではないけれど、どんな小国が挨拶にきても、どんな大国が横槍を入れてうちを優先しろといってきても、あえて優先順位を付けないやり方というのも世の中にはあるわけだから・・・・その前提となる世界観に何があるのか?を考えるのはとても重要なことではないかと思う。

独り言


今日は、「組織の問題解決のためのリフレーミング(その19)」について書いておきましょう。

関係性についての関係性に気づく

「組織の問題解決のためのリフレーミング(その18)」の続きから書いておきましょう。


具体的に対立解消図の要素B-Dの暗黙の前提、仮定についてのリフレーミングを行なってみましょう。 


対立解消図の前提として B-D は認識-行動の関連性となっており、構成主義的にはこの間に因果関係は存在しません、逆に言うとこの部分の関連性は認識主体の主観的なメンタル・マップの中で何らかの関連性がある(だろう)という想定のものに書かれているところがあるわけです。

ここでは、主に言語からの情報を元にB-Dに関連があると考えている認識主体のメンタル・マップを明確にし、リフレーミングを行うことでこのメンタル・マップを構成している暗黙の仮定、前提を変え、B-Dの要素の間に新しい関係性を求めていこうというのがここでの試みでもあるわけです。

ちなみに、以下のリンクで書いていますが、メンタル・マップは論理ではなく知覚や気持、情動に着目することで明らかになることが多いと思います。


その意味ではその意味では、ここでは一般的に言う「理屈」だけではなく、知覚、あるいはなんと無くの違和感、気持、情動にも注意を払うということが必要だと思います。
ここでは、まずB-Dの暗黙の仮定、前提になっている「現場に出て判断すると安心だ」というところを Sleight of Mouth パターンでリフレーミングしてみましょう。

Sleight of Mouth パターン
リフレーミングのための質問
意図 (intention)
この信念価値観持っている肯定的意図は? ねらいは? 
例:安心感の意図は何だと思いますか?→ 事実を確かめる重要性
再定義(redefine)
この信念・価値観を表す言葉についてよりエンパワーされるような言葉に置き換えるとそれは何?
例:どんな課題もその解決のヒントは現場にある
結果(Consequence)
この信念・価値観を持つことで期待される結果は?
例:必ず現場を中心に考える
チャンク・ダウン(Chunk Down)
この信念・価値観をエンパワーするサブ・カテゴリーを見つける
例:具体的な現場として、あなたの対面に担当者のレベルは?
チャンク・アップ(Chunk Up)
この信念・価値観をエンパワーするより大きなカテゴリーを見つける。
例:現場として相手の会社のサプライチェーン全体のレベルはわかっているのか? 業界の構造はわかっているのか?
例外(Counter Example)
この信念・価値観に当てはまらない例外は?
例:現場中心でなくとも上手く言った例はないのか?
アナロジー(Analogy)
この信念・価値観が持っている関係性をメタファーやアナロジーで表現すると?
自己適用(Apply to Self)
信念・価値観自体にこの信念・価値観を適用すると?
例:現場に行って安心という行為だけに安心していないか?
別の結果(Another Outcome)
この信念・価値観を持つことで期待される別の結果は?
例:現場に行くことで得ている事実を得るという以外の利得は?
クライテリアの階層(Hierarchy of Criteria)
この信念・価値観より重要なことは何か?
例:現場に行って判断するということより重視していることがあるとするとそれは何か?
フレームサイズの変更(Change Frame Size)
時間軸を替えたら、定量的な基準を大きくしたら?小さくしたら、この信念・価値観はどのように変化する?
例:この信念・価値観は世の中が変化した100年後でも有効だと思いますか?
メタ・フレーム (Meta Frame)
信念・価値観についての信念・価値観は何?
:事実を事実として確認できるためには何が必要か? → 顧客との信頼関係など・・・
世界観(Model of the World)
この信念・価値観が成り立たない世界があるとしたらそれはどんな世界?
例:現場に行けば行くほど事態が悪化するような世界があるとしたら、それはどのような世界だと思いますか?
リアリティ・ストラテジー(Reality Strategy)
その信念・価値観を知覚や身体感覚を伴ってどのように構築したのか?
例:私も現場に行く事で安心したいのですが、同じように安心するためには何をどのようにすれば良いでしょうか?

 リフレーミングを使って「現場に出て判断すると安心だ」の深堀を少しやってみたわけですが、山田執行役員からすれば、結局顧客から情報をもらうにしても顧客との信頼関係が必要である、とかそもそも信頼関係が構築出来ているからこそ顧客から有益な情報を教えてもらえて顧客の利益を優先することができる・・・といった世界観が垣間見えてきたということになります。

 もちろん、これから考えられる施策は、物理的な制約と時間的な制約で仕事が殺人的に忙しくなり始めている山田執行役員に、顧客との関係構築の部分だけに焦点を当てたアカウント・マネージメントの部分に仕事の焦点を移してもらうとか、あるいは優秀な部下を育ててアカウント・マネージメントをやってもらうという方向性が考えられるようにも思ってきます。

では、反対側の C-E の部分にも目を向けてみましょう。「部下の報告だけに頼るのは心配だ」についてリフレーミングを行い少し深掘りしてみましょう。

Sleight of Mouth パターン
リフレーミングのための質問
意図 (intention)
この信念価値観持っている肯定的意図は? ねらいは? 
例:心配の意図は何だと思いますか?→ 事実を確かめる重要性、顧客に対する責任感の裏返し
再定義(redefine)
この信念・価値観を表す言葉についてよりエンパワーされるような言葉に置き換えるとそれは何?
例:事実を確認するには複数の情報源が必要だ
結果(Consequence)
この信念・価値観を持つことで期待される結果は?
例:かならず現場の状況を自分で見聞きして判断する
チャンク・ダウン(Chunk Down)
この信念・価値観をエンパワーするサブ・カテゴリーを見つける
例:部下の報告の中にある事実は何か?具るだんょうグるof Mouth
チャンク・アップ(Chunk Up)
この信念・価値観をエンパワーするより大きなカテゴリーを見つける。
例:現場を見ただけでは理解の難しいより抽象的なパターンは何か?
例外(Counter Example)
この信念・価値観に当てはまらない例外は?
例:心配にならない部下は誰か? 報告を受けるだけで上手くいったことはあるか?
アナロジー(Analogy)
この信念・価値観が持っている関係性をメタファーやアナロジーで表現すると?
自己適用(Apply to Self)
信念・価値観自体にこの信念・価値観を適用すると?
例:部下の報告に対して心配する(部下が育っていない)ということについて心配しないのか?
別の結果(Another Outcome)
この信念・価値観を持つことで期待される別の結果は?
例:必ず2重3重の裏取りを行う
クライテリアの階層(Hierarchy of Criteria)
この信念・価値観より重要なことは何か?
例:部下の報告より重視しているのは何か?
フレームサイズの変更(Change Frame Size)
時間軸を替えたら、定量的な基準を大きくしたら?小さくしたら、この信念・価値観はどのように変化する?
例:この信念・価値観は世の中が変化した100年後でも有効だと思いますか? 10年後も有効か?
メタ・フレーム (Meta Frame)
信念・価値観についての信念・価値観は何?
例:事実は複数の情報で裏取りをする
世界観(Model of the World)
この信念・価値観が成り立たない世界があるとしたらそれはどんな世界?
例:部下の報告だけをきいて安心出来るとしたらそれはどのような場合か?
リアリティ・ストラテジー(Reality Strategy)
その信念・価値観を知覚や身体感覚を伴ってどのように構築したのか?
例:私も部下の報告をきいて心配になりたいのですが、同じように心配するためには何をどのようにすれば良いでしょうか?

さて、「部下の報告だけに頼るのは心配だ」の背景にある世界観をリフレーミングを使って明らかにしてみたわけですが、ここでは単に部下を育成して彼らに任せれば良い良いということだけではなく、事実を認識するのは複数の情報源が無ければならないというようなより根本的な信念・価値観が出てきたことになったわけです。

もちろん、B-DC-E以外にも A-BA-C 場合によっては、B-EC-D間の関係性の背景にある暗黙の仮定、前提をリフレーミングを使って深堀する必要があります。

それで、当初は他愛もない10個の課題リストから出発したわけですが、この課題を局所最適を志向して解決するのではなく、もう少し背景にある大きなループを見て全体最適を志向した解決策を志向するのにリフレーミングは随分役に立つように思ってくるわけです。 

(つづく)

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