2012年8月6日月曜日

組織の問題解決のためのリフレーミング(その8)

                                     

 課題を設定して、その課題の構造やパターンを捉えてその前提や仮定しているものをリフレーミングするって、個人的には将棋を指す時の頭の使い方に非常に似ているように思うのですねぇ。

 だから、将棋のルールを理解できる程度の頭脳があれば基本、このリフレーミングのルールを理解できて、多少練習すれば出来るようになるのだと思います。


 もちろん、上手い下手はあるのでしょうが、そこは努力と練習とロジックでセンスの不足をカバーというところでしょうか?(笑)

独り言


今日は、「組織の問題解決のためのリフレーミング(その8)」について書いておきましょう。

リフレーミングの具体論

 ここまでは前置きだったわけですが、これからリフレーミングの具体論に入っていきましょう。

 元々家族療法の概念であるリフレーミングですが、ここではあまり複雑なパターンを紹介しても混乱を引き起こすおそれがあるため、リフレーミングを公式化して簡略化したバージョンであるSleight of Mouth [1][2]をご紹介することにします。そして、この公式の具体的な使い方について検討していきましょう。

もちろんこれがリフレーミング全体を表すわけではありませんが、主に会話を通したリフレーミングについて明示的に14の公式が提供されているため非常に使い勝手が良いという面から今回はこれを説明します。

また、家族療法から始まったリフレーミングの全体について以下のリンクを参照ください。


さて、ここから具体論に入って行きましょう。

ここまでリフレーミングについて説明してきましたが、この前提についてもう一度復習しておくことにしましょう。

(1)  ラポールと傾聴

以下のリンクでも書いていますが、まずはクライアントとラポールを構築して、クライアントの話を傾聴することが必要です。個人的にはコーチングやファシリテーションのおける解は、コーチやファシリテーターとクライアントとの関係性の中で創発するものと考えていますのでこのあたりは過度に意識する必要はないのでしょうが、ないがしろにも出来ないのだろうなと考えています。


(2)  クライントの世界観の理解

リフレーミングを行うにはクライアントの世界観であるその枠組を理解する必要があります。ここではグレゴリー・ベイトソンのダブル・バインドとミルトン・エリクソンのセラピューティック・ダブル・バインドを意識して二項対立を「見える化」するために TOC の対立解消図[3]のフォーマットを借りた形式でまとめています。もちろん、この理由は、現在制限を加えている枠組みのパターン、構造を捉えてその枠組の外側にジャンプすることを志向しているためです。



逆の言い方をすると傾聴したクライアントの言葉尻を捉えてあまり考えずにリフレーミングすることも可能ですが、このやり方だとクライアントに自分を制限する枠組みの構造やパターンに気づいてもらいそこからジャンプしてもらうようなことは難しいでしょう。

それで具体的なリフレーミングの対象は、この対立解消図の要素と要素の間にある暗黙の仮定や前提を対象にすることになります。これはある意味、自分の世界観を支えている普段は意識していない仮定や前提を対象とすることになります。


http://ori-japan.blogspot.jp/2012/05/blog-post_08.html

(3)  リフレーミングのスタイル

クライアントと向きあった時にリフレーミングを行うためのやり方はおそらく2つあるでしょう。例えば、メタファーやアナロジーを使ったリフレーミングについて考えてみましょう。この場合1つは、コーチが「メタファーで表現したら?」とだけ質問をしてその答えをクライアントに考えてもらうようなスタイル。もう一つは、コーチが「それはまるで◯◯のようですねぇ」とある意味カマをかけるようなマインド・リーディングのスタイルを取る場合です。


もちろん、どちらのスタイルを使うのか?併用するのか?は各自で決めていただければ良いのでしょうが、ミルトン・エリクソンにならえば、マインド・リーディングのスタイルを取る場合は、「I wonder / Im curious to know  (~てことはないですよねぇ?/興味本位で聞いているのですが)」のような、マインド・リーディングを外しても気にならないような枕詞を入れておくほうが良いでしょう。

もちろん、リフレーミングは言葉を使っていますが、クライアントが頭で理解しただけでは不十分で、肚に落ちたという身体感覚のレベルを目指すことになります。

14の公式

  さて、ここからは14の公式を示しておきましょう。どうしてこうなるのか?を説明すると言語学や一般意味論の話をいけなくなって本1冊くらいの分量になってしまうのでここではとりあえずこんなものだと思って使ってみてくださいということだけに留めることにしておきます。

まず、この公式を活用するためにα=β(等価)、α→β(因果関係)で記述された信念・価値観を明示する必要があります。(例:いつも遅刻するのは私を愛していない証拠。α:遅刻する=β:私を愛していない、といった日常会話をリフレーミングすることもできますし、価格が高いために売れない。といった会話をリフレーミングすることも可能です。α:価格が高い→β:売れない)

以下にそのパターンを示します。

Sleight of Mouth パターン
リフレーミングのための質問
意図 (intention)
この信念価値観持っている肯定的意図は? ねらいは? 
例:仕事が遅いのは、いい仕事をしようと精魂を込めているからではないですか? 
再定義(redefine)
この信念・価値観を表す言葉についてよりエンパワーされるような言葉に置き換えるとそれは何?
例:問題を挑むべき課題と置き換えることはできますか?
結果(Consequence)
この信念・価値観を持つことで期待される結果は?
例:高い価格を維持するということは高い営業成績を目指していることなのでしょうか?
チャンク・ダウン(Chunk Down)
この信念・価値観をエンパワーするサブ・カテゴリーを見つける
例:価格が高いとおっしゃっていますが具体的にどの価格が高いのですか? 値ごろ感があると言われている部分はないのですか?
チャンク・アップ(Chunk Up)
この信念・価値観をエンパワーするより大きなカテゴリーを見つける。
例:価格が高いと言われていますが、それは据付から廃棄までのライフ・サイクルコストを含めた一切合切が含まれているのですか?
例外(Counter Example)
この信念・価値観に当てはまらない例外は?
例:価格が高くても売れたということはないですか?
アナロジー(Analogy)
この信念・価値観が持っている関係性をメタファーやアナロジーで表現すると?

自己適用(Apply to Self)
信念・価値観自体にこの信念・価値観を適用すると?
例:自信がないということは自信を持って言えるのですね。 将来は不確定だということは確定しているのですねぇ。
別の結果(Another Outcome)
この信念・価値観を持つことで期待される別の結果は?
例:高い価格を維持することで高級ブランドのイメージが維持されているということはありませんか?
クライテリアの階層(Hierarchy of Criteria)
この信念・価値観より重要なことは何か?
例:この製品を販売する際に価格より重視していることはありますか?
フレームサイズの変更(Change Frame Size)
時間軸を替えたら、定量的な基準を大きくしたら?小さくしたら、この信念・価値観はどのように変化する?
例:この信念・価値観は世の中が変化した100年後でも有効だと思いますか?
メタ・フレーム (Meta Frame)
信念・価値観についての信念・価値観は何?
例:価格といっていますが原価計算の方式を替えたら価格は変わるのでは?
世界観(Model of the World)
この信念・価値観が成り立たない世界があるとしたらそれはどんな世界?
例:もし、価格の高低がまったく問われない世界があるとしたらそれはどんな世界?
リアリティ・ストラテジー(Reality Strategy)
その信念・価値観を知覚や身体感覚を伴ってどのように構築したのか?
例:私も同じように怖がりたいのですが、どのようにして怖がれば良いでしょうか?

明日はこの手法を使って、二項対立で捉えた問題のパターン、構造について詰将棋をするようにリフレーミングを行なっていきます。


余談ですが、このリフレーミングを行う途中で、会社の文化や業界のしきたり、コンプライアンス関連のルールが信念・価値観に影響を与えていることが見つかることもありますが、このあたりは別途取り上げる予定にしています。

 (つづく)

 文献
[3] http://en.wikipedia.org/wiki/Evaporating_Cloud


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