2012年10月12日金曜日

一般意味論:外在的思考法を身につける


                                     

 暫く前に、企業研修でロジカル・シンキングとかクリティカル・シンキングっていうのが流行した時期があったけれど、ロジカル・シンキングが機能する前提として、情報を、1)事実、2)推論 3)断定に分けて取り扱う、一般意味論で言う外在的思考法が前提というのが分かっていない人が多いのだよなぁ。(笑)もちろん、普通の人は自分に都合の悪い情報とか意見が出てきた時に気持の問題になるわけだし、日本特有の山本七平氏の言う「空気」とか井沢元彦氏の言う「言霊」がロジック以上のものを支配していることが多いから一筋縄では行かないことのほうが多いのだけれどねぇ・・・・

 もちろん、心理療法家のミルトン・エリクソンならば「空気」とか「言霊」ですらユーティライズして使いこなしているようなところがあるわけです、・・・・・・・もちろん研究テーマとしてはこれくらい深くないとすぐに飽きちゃうというところがあるので・・・・

独り言


今日は、「一般意味論:外在的思考法を身につける」について書いておきましょう。

 コトバを介在したコミュニケーションに内包する矛盾

311の大震災以降、マスコミの報道が事実を伝えていないとバッシングされることも多くなってきているように思います。もちろん、ここでは単純にマスコミをバッシングしようというのではなくて、そもそも多くの情報がコトバによって伝達される人間のコミュニケーションのやり方自体に潜む構造のように思ってきます。

以下のリンクで書いたように、一般意味論が明らかにしたところではコトバが介在するコミュニケーション自体に情報を歪める仕組みがビルドインされているようにも思ってきます。



1.                人は他の動物と異なり記号を使って創造、イノベーション、コミュニケーションが行える。
2.                 一般意味論では、言語を シンタックス(統語論)、セマンティクス(意味論)、プラグマティクス(語用論)の3つの切り口から捉える。
3.                 アルフレッド・コージブスキーの創始した一般意味論は上の3つの切り口から、人の思考と行動の相互作用を考える。
4.                コミュニケーションは送り手と受けての間で行われる混乱の可能性に対する戦いである。
5.                 五感で認識できる世界と思考のような認識が難しい2つの世界を取り扱う。
6.                外的な情報が五感を通してもたらされる、内的感覚でそれに気づく。
7.                 神経システムに翻訳されることで我々は物事を見ることが出来る。
8.                 コトバの構造は他人とのコミュニケーションばかりではなく自分とのコミュニケーションにも影響を及ぼす。
9.                コトバの構造は観察対象のもの自体に質感が存在するような錯覚を抱かせる。言語の構造は観察者の存在を曖昧にする。
10.              コトバの構造は「地図」と「領土」が同じであると語ることを可能にする。
11.              コトバは類似点を語ることを容易にするが、相違点(あるいは例外)を語ることを難しくする。
12.              コトバを使って読み書きを行う場合、その話題について全て知っているとする傾向がある。
13.              コトバは静的であり、現実世界は動的である。
14.              コトバを使った、仮定、推論が事実を混乱させる。
15.               コトバの構造は思考を「ABか」のような単純な二択に追い込む。
16.              コトバによって、部分が全体だと思い込む。
17.              コトバは相互のやり取りには向いてない。
18.              コトバによって、ラベリング、カテゴリー分け、評価、関係の明示などを行う。
19.              コミュニケーションは、話し手のコトバが、受け手自身の経験を表象することで行われる。
20.              いくつかのコトバはデータ以上のものを伝えている。
21.              コトバの使い方はメンタルヘルスに関係する。
22.              科学は客観性ということが重視される。
23.              文学のコトバは、感情、主観的反応、ユニークさが重視される。
24.              人間の創造性とコミュニケーションは親密に結びついている。
25.              (抽象度の異なる)いくつかの知識について語ることは有用である。
26.               一般意味論は、科学的でこなれた、創造性を引き出すことを意図して構築されている。
27.     「良い地図」を構築する。


もちろん、このリストを読んでみて「それは、そうかもしれないけれど、だから何をすれば良いと言うのだ?」というのがほとんど方の感想でしょう。

要は、「コトバはそれが示すモノである」というように、日常生活においても、この2つを混同してしまっているケースがあまりにも多いということになるように思います。

例えば、振る舞いと人格の混同、意見と人格の混同、こういったこともここに含まれるでしょう。

では、こういった状態に陥らないためにどうすれば良いのか?

一般意味論の答えは、外在的思考法を身につける、少なくとも自分自身の中で外在的思考のプロセスを回してみるということが答えになるでしょう。

もちろん、日本ではこの外在的思考を阻害する要因として山本七平氏の著書「空気の研究」[1]で「現代の日本では“空気”は絶対権威のような力をふるっている。論理や主張を超えて人々を拘束するこの怪物」と表現されている集団や個人を拘束する「空気」と、井沢元彦氏の著作「『言霊(コトダマ)の国』解体新書」[2]の明らかにされている「雨が降ると言葉に出して言ったから、雨が降った」つまりコトバに出したことは実現してしまうという「言霊」という考え方があり、文化や風習を完全に無視して強引に外在的思考を行なっても上手くいかないように思ってきます。

それで、これらの考え方は一般意味論の外在的思考で言う論理レベルの混同そのものなので、「空気」や「言霊」といった考え方と対立するのは必然ということになるでしょう。もちろん、一般意味論の考え方を「空気」や「言霊」に支配されていないか?を判断するモノサシやメガネとして使うのはありだと思います。

 ここで、話をもとに戻して外在的思考法について少し考えてみましょう。

 例えば、「朝食が食べると、学力があがる」を例にとり、一般意味論の外在的思考法とは以下に定義されています。[3]


 一つ一つ外在的事実を確認しながら命題の正しさを吟味していく習慣を「外在的考え方」(extensional orientation)という。


それで、同書「言語力 認知と意味の心理学」に外在的思考の諸ルールとして10項目が取り出されています。


     コトバは物ではない 
     コトバの「意味」はコトバの中ではなく我々の中にある
     「~は・・・である」に注意、断定は評価錯誤を固定化(E-Prime を使う)
     文脈が意味を決定する
     コトバは情報的内包と感化的内包を同時に伝える
     情緒的叙述の姿を借りた司令叙述があることに注意
     定義で考えるより具体例を考えよ
     見出し番号と日付けを使え (誤った一般化を防ぐためにアメリカ人1、2などと番号を振る)
     抽象のレベルの混同に注意する
     二値的な考え方ではものの本質は分からない


ここの詳細については著作を読んでいただくとして、やはりこの考え方を日常生活や仕事で活用するためには少し工夫が必要なように思ってきます。

 外在的思考を阻む、日本的な事情

 もちろん、普通に一般意味論の外在的思考をすることが出来れば物事は複雑になることはないのですが、よくありがちなのは、例えば日常生活でも意見と人格を混同してしまっている場面などがあります。つまり、あなたの意見には同意できません=あなたの人柄には同意できません、のように、意見と人格を混同しているような場合です。このあたりは相手への伝え方はあるのでしょうが、一般意味論を上手く活用すればなんとかなるように思ってきます。

 それで、上でも書いたのですが、一般意味論的な外在的思考法だけでは日本的な「空気」と「言霊」に阻害されて上手く機能しないように思えてきます。

 もちろん、「空気」や「言霊」と上手くやっていくには、ベイトソンのマインドの理論で言う、内在的思考法としての上位の論理レベルにメタ表現をつくるしかないなと個人的には思っているわけですが、

http://ori-japan.blogspot.jp/2011/08/blog-post_21.html
http://ori-japan.blogspot.jp/2011/08/blog-post_22.html

このあたりを探求していくとやはり心理療法家のミルトン・エリクソンの技法のまずは言語パターンに行き着いてしまうのですよねぇ。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/02/blog-post_29.html

(つづく)

 文献

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com


0 件のコメント:

コメントを投稿