2012年10月18日木曜日

ミルトン・エリクソンの言語パターン(まとめ)


                                     

 IT業界だと相手と同じ話題(内容)について話しているはずなのに、話が咬み合っていない時に、話の抽象度(粒度:Granularity)が合っていないといった表現を使うことがあります。IT業界の場合、この概念は、オブジェクト指向分析・開発のように、世の中の実体をどの程度の抽象度で捉えてモデル化し、クラスとしてプログラムに実装するようなところから来ているのでしょうけれども・・・

もちろん、クラスーメンバーとか、クラスーサブ・クラスといった考え方はラッセル-ホワイトヘッドの集合論あたりから来ているわけであり、MRIのベイトソン・グループがミルトン・エリクソンの技法を観察する時に導入した考え方のひとつでもあるわけです。

それで、ベイトソンが提供してくれているメガネをかけて心理療法家のミルトン・エリクソンが活用している言語パターンを観察してみると、相手と意図的に抽象度を合わせないで、そこに「ずらし」や「ヒネリ」を加えてコミュニケーションしていることがわかってくるのですよねぇ。それで、この「ずらし」や「ヒネリ」の部分にうまい具合にメタ・メッセージ、つまり日本語で言うと(コトバで明示されない「含み」)を挿入してコミュニケーションすることに成功しているように思えるわけです。

そう考えるとある意味、相手の考えていることをきちんと理解したり、思考パターンに影響を与えたり、問題解決の支援をするために、逆説的にあえて話の抽象度を合わせないで話すというのはありなのかなぁ・・・と思ってくるわけですねぇ。

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの言語パターン(まとめ)」について書いておきましょう。

 ミルトン・エリクソンの言語パターンの本質ってなんだろうねぇ?

 個人的な意見です。心理療法家のミルトン・エリクソンの技法は、ある意味、密教的で暗黙知を暗黙知として学ばないと理解できないところが多いのですが、エリクソンを研究する時には、MRIのベイトソン・グループではないですが、科学的思考なり、一般意味論でいう「一つ一つ外在的事実を確認しながら命題の正しさを吟味していく習慣」である外在的思考を命綱としてこの世界に入っていかないと少々危険な感じがしています。


 その理由は、ミルトン・エリクソンの手法や言語パターン自体に意図的に抽象度を合わせないで話したり、へんな因果関係を示唆したりと認識を混乱させる要素がてんこ盛りになっているところがあり、科学的思考や外在的思考が出来ない人がここに入っていくと、自分自身の好ましくない認知バイアスがより強化され、自分自信が混乱してしまったり、あるいは不思議なことを信じてしまったままになってちょっとした教祖様やスピリチュアル馬鹿のように振る舞って傾向が強まるといったことになってしまうように思っています。

このあたりは実験室でいつも再現できない社会科学のような分野に分類される分野であるため自然科学のような思考では理解できないというようなところもこの問題を難しくしているようにも思ってきます。

 もちろん、日常、コミュニケーションする場合にエリクソンの技法を活用することは可能なのですが、今日はこのあたりのことを簡単にまとめておきましょう。

 まず、こういった言語パターンを活用する目的は何か? 

簡単に言うと、相手から反発されずにラポールを築いて、相手のことを深いところまで理解出来る可能性が広がること、また、相手の考えている制限や思考の枠組みを気づかせてあげることが出来る点。また、治療的ダブル・バインドを上手く活用することが出来れば、その制限や枠組みから出てもらって新しい思考パターンや行動のパターンを身につけてもらうことが可能になること。


 それで、相手にメタ・メッセージを送る、あるいはベイトソンの「マインドの理論」においてより上位にあるリソースに気づくための言語パターンを最小限の項目におとしてざっくり説明すると以下の6つということになると思います。もちろん、これだけ覚えてもエリクソンになれるわけはありませんが、昨日の最小限の言語パターンでコーチングを行ったらの「プリシジョン・モデル」の反対方向、つまり「事実や現実」に対する視点を変える、解釈を変える、粒度を変えずに別の関係性を見つける・・・そのために認識を一旦混乱させる、そして新しい次元で収束させる、といった要領で、最小限の言語パターンでミルトン・エリクソンの概要の理解は出来ると思います。
 
項目
説明
.因果関係を混乱させる
.曖昧さ
.前提と暗示
.埋め込みの命令
否定文に巧みに組み込まれた「命令文」
.メタファー
メタファーの本質は、ある状況に別のパターン(特にアイソモルフィックなパターンを持ち込むこと。)
.アナログ・マーキング
声の調子や特徴のある声を出して、ある心身状態と(古典的)条件付けを行う。

もちろんこれはまとめなので、フル・バージョンは以下のリンクを参照ください。


余談ですが、山本七平氏の言う「空気」や井沢元彦氏の言う「言霊」を相手に反発されずにどう克服するのか? ベイトソンのマインドの理論に即して少し書いておこうと思ったのですが、時間の都合で、それは今後の課題としておくことにしたいと思います。

(つづく)

 文献
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