2012年11月19日月曜日

今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編12)例外とポジティブ・フィードバック


                                  

 心理療法のリフレーミングって実はその人の持っている身体感覚や思考を含む無意識のパターンがサイバネティックスで言う「ネガティブ・フィードバック」から「ポジティブ・フィードバック」へ変わることだ・・・とソリューション・フォーカスト・アプローチが教えてくれていますねぇ・・・・

 ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)のエクセプション・クエスチョンで、現在の事実の中からいつもと違う良い例外を探すやり方のねらいを考えると、

 一般化を解く:ひとつは、自分がつくったルールや世間のルールをなにも考えずに適用してしまう一般化を解くこと。例えば、マスコミが言う「不況だから物が売れない」ということを何も考えずに自社に適用することを疑って、「うちはこうやってうまくやっているよ」といった一般化されない別の見方や行動ができるようになること。

 ポジティブ・フィードバックへ:もうひとつは、少し専門的だけれど、ネガティブ・フィードバックからポジティブ・フィードバックを使った認識や行動のやり方にパターンを変えてみること。例えば、うまくいっていることをもっとやることで、現在の思考や行動をしばっている枠組の外側に出て新しい思考や行動パターンを身につけること。

 の2つのねらいがあるように思ってきます。何れにしても短期療法の特徴でもある、枠組から出るプロセスを通してアブダクティブに学ぶという条件を満たしていることになると思います。

 独り言


今日は、「今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編12)例外とポジティブ・フィードバック」について書いておきましょう。

ポジティブ・フィードバックで好循環をつくりだす

 まず、最初にサイバネティックスの制御系の話から始めましょう。これも人類学者のグレゴリー・ベイトソンの「精神と自然(Mind and Nature)」や「精神の生態学(Steps to an Ecology of Mind)」の中に書かれていたお話です。

一般的に、機械やシステムの制御にはネガティブ・フィードバックポジティブ・フィードバックを活用した制御方法があります。この概念をはじめに唱えたのはMITで教鞭をとっていたサイバネティックスを始めたノーバート・ウィーナーです。[1] 

それで、この考え方がベイトソン経由で短期療法にももたらされています。MRIやソリューション・フォーカスト・アプローチなど、心理療法のミルトン・エリクソンの暗黙知を形式知化した短期療法の体系がつくられた時にサイバネティックスやシステム論の知見が使われています。

 それで、ネガティブ・フィードバックとポジティブ・フィードバックのお話を少々。



以下のポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックに関する情報は少し違っているので以下のリンクを参照ください

http://ori-japan.blogspot.jp/2013/01/blog-post_23.html


 ネガティブ・フィードバックは航空機の自動操縦のように、高度、目的地の情報などを目標として設定し、その目標からのギャップをモニターしてその差を常に埋めるように情報のフィードバックが行われる制御方法です。つまり、「高度が目標より500feet 下がっているから、500feet 高度をあげなさい」のように航空機というシステムを安定的に制御するために用いられます。もちろん、機械の場合は人間でいう五感の役割を果たしているセンサーで捕捉された定量的な情報が活用されることになります。

一方、ポジティブ・フィードバックは、なんらかの目的を設定し、その目的が増幅するように制御が行われます。もちろん、上で述べたように航空機などの物理的な機械の場合は、「速度が xxx knot になっているから、もっと速度をあげろ」というような制御になり、やがて限界を超えて機体が破壊されることになるのは必至となります。つまり、ポジティブ・フィードバックによる制御は、システムに不安定や破壊をもたらすため、一般的な機械制御ではほとんど用いられることはありません。

しかし、情報や認識に関係するところで、システムに良い意味での変化をもたらしたい時、例えば、営業の「もっと売上をあげたい」の要求に答えるべく、売上プロセスの好循環をつくりだすといったような場合に、はこのポジティブ・フィードバックが功を奏す場合があります。

例えば、「世間では不況と言われているけれど、この中でも売れている商品はどんな商品か?」「上手く売れている時のパターンはどんなパターンか?」「同僚や競合他社で例外的に上手く売っている人はいないか?」「他の顧客と違って、この商品に興味を持ってくれている顧客は誰か?」「こちらが想定していないようなやり方で、この商品を上手く使ってくれている顧客は誰か?」・・・と絶えず思考し、売上目標に対して、現状の事実の観察から、なんらかの例外パターンを見抜き、実際にそのパターンを行動に移すような場合です。

余談ですが、このあたりは短期療法の DO MORE となりますし、複雑系で言う収穫逓増(Increasing Returns)をねらっているような格好になっています。

好循環を起こすきっかけになるパターンを探すエクセプション・クエスチョン

 それで、SFAにはエクセプション・クエスチョン、つまり例外を尋ねる質問が用意されています。

 特に、SFAのミルウォーキー・スタイルは心理療法で活用され、クライアントが問題や悩みを抱えている場合が想定されていますので、基本は心身状態を伴った、この悩みを軽く感じた、という意味での例外はいつだったのか?あるいは良くない振舞いをしなかった例外はいつだったか?を尋ねるスタイルになっています。[2] 


 もちろん、心理療法以外でも、自分自身の心身状態、あるいは状況、あるいは振舞いといった五感で知覚できる事実に基づいた情報について、いつものような良くないパターンにはまらなかった例外ということでエクセプション・クエスチョンを行い、これに該当する例外を探すことができるでしょう。

 ちなみ、ミラクル・クエスチョンを行なって奇跡が起こっている理想的な状態をイメージした後は、今この瞬間においても、その奇跡を実現するために関係のある、少しでも良いと思われる例外としての心身状態はないか?あるいは振舞いはないか?あるいは状況はないか?のように、今ココで観察される例外を探すような態度、習慣が求められることになります。個人的には Here and Now で今ココで起こっている事実の中からリソースを探して役立ててもらうSFAのスタイルは禅的でかなり格好が良いところかなと考えています。

もちろん、もっと詳細なことを言えば宿題のタスクとしての「例外探し」求められるのはSFAの分類によるコンプレイナーとカスタマーということになります。

それでSFAのセションを通じて、「もしも悪い状態になったらどうしようと」とか「最悪の状態になったらどうしよう」から、「奇跡の状態のうち一部は既に実現している」「比較的良い状態もあるので今のところ最悪ではなく良い方向に向かっている」という態度を例外探しを通じて身につけてもらうということになります。

もっとも、これをサイバネティックス的に説明すると最初に戻って、ネガティブ・フィードバックの思考、行動パターンからポジティブ・フィードバックへの思考、行動パターンを身につけてもらう営みということになると思います。

それで、人はやはり生き物ということになるので、機械と違って認識のところはポジティブ・フィードバックをつかっても単純に壊れるどころか、その不安定さを乗り越えて、新しい思考、行動パターンを身につけるために役に立つということになってきます。

(つづく)

 文献

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