2012年11月20日火曜日

今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編13)スケーリング・クエスチョン:抽象度の違うものを比較する


                                  

 スケーリング・クエスチョンの大きな役割のひとつは、個別の経験を過去の全体の経験の中に位置付けることですねぇ・・・・

 何かと何かの比較を行なっている時は、それぞれの要素を俯瞰した視点からその違いを比較していることになると思います。

 それで、ソリューション・フォーカスト・アプローチのスケーリング・クエスチョンの「今の悲しみは 0-10段階で表すといくつぐらいですか?」という質問について考えてみることにします。

 この場合、比較されている一つの対象が、観察者自身が今感じている「悲しみ」です。ここでは今感じている「悲しみ」を集合論的に、一つの「悲しみ」メンバーとしておきましょう。

暗黙的に比較対象となっている、これより抽象度の高い、これまでの主観的な経験を一般化した「悲しみ」を「悲しみ」クラスとしましょう。

そして、「悲しみ」メンバーは、「悲しみ」クラスの属性を継承し、このクラスの要素として包含されています。もちろんこのメンバーやクラスのコードは、人の中の神経回路の中で動いているとしましょう・・・。

この時、「悲しみ」メンバーがより大きな「悲しみ」クラスと比較されることで、今「悲しみ」メンバーを感じている観察者との間に、何かの線が引かれて、この関係性に、変化が起こるように思ってきます。

例えば、ひとつの方向性として「悲しみ」クラスの属性の一つである否定的な感情を継承した「悲しみ」メンバーを感じる気持の度合いを下げるにはどのようにしたら良いのだろうか?とその方向性が定まってくることなのだろうと思います。

そして、その方向性に向かうように資源・資質をみつけ、適切行動を取ることで、結果、「悲しみ」メンバーと自分の間の自己同一化が薄まって行くわけでしょうし、これが「悲しみ」メンバーという気持を外在化していくということでもあるのだろうなと考えているわけです・・・・

  独り言


今日は、「今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編13)スケーリング・クエスチョン:抽象度の違うもの比較する」について書いておきましょう。

俯瞰の視点で「違い」と「変化」を意識する

さて、SFAの技法の中の1つであるスケーリング・クエスチョンについて再度書いておきましょう。

スケーリング・クエスチョンは、「問題の深刻度」「項目の優先順位」「解決の進捗度合い」「期待/目標の達成度」「感情/情動の強度」「人間関係の何らかの尺度」「自尊心の度合い」などを1-10あるいは0-10段階で表してもらうように促す非常にシンプルな質問です。しかし、シンプルながら、どのようにして機能しているのか?を考えると結構深いところに行き着くように思ってきます。[1]

 そもそも論から始めると、人の情動や感情を含むアナログの感覚は、種多彩であるためその質感を簡単に表現して伝えることは難しいと思います。たとえこれを言葉に出して記述したとしても、その質感そのものを伝えることは出来ません。この延長として、この感覚の認識主体の人から、このアナログな感覚同士を単純に比較することも難しいように思ってきます。

 この前提を踏まえつつ、敢えてこのアナログな感覚をある一つの切り口で数値の段階としてデジタル化して比較しようと試みているところがスケーリング・クエスチョンの面白い試みだと思ってきます。例えば「今抱えている問題の深刻さは1-10段階のいくつくらいですか?」といった具合です。

 それで、個人的には、これまたグレゴリー・ベイトソンの情報の定義である「A difference that makes a difference .」(違いを生む違い)から来ていると考えていて、比較の難しいアナログの感覚を敢えてデジタル化して、例えば、今感じている「悲しみ」という一つの要素(メンバー)を、いままでの経験したことの中にある一般化されたカテゴリー(クラス)である「悲しみ」と比較させ、この要素を相対化、外在化させる技法ではないかと考えています。

ちなみに、この要素を、いままでと別のカテゴリー(メンバー)に入れて分類しなおすことがリフレーミングだとMRIのポール・ウォツラウイックによって言及されていたのは以下で書いた通りです。



 それで、スケーリング・クエスチョンのねらいを少し書いておきましょう。

変化することが前提:これは、ゴールまでの進捗度でも、自分の気持の強度でも構わないのですが、これを0-10もしくは1-10段階の数値で表すことで、そもそも、これが変化するものであることを暗黙の前提として、クライアントに伝えていることになるでしょう。

現状とゴールの差異を意識:一般的に短期療法の枠組はコンサルタントが使う FIT-GAPと非常によく似ています。もちろんコンサルタントが使う FIT-GAPとの違いは短期療法の場合、外的な成果に加えて、内的な心身状態や気持の改善についても扱うということだと思います。

それで、スケーリング・クエスチョンを使えば、心身状態や気持といったアナログ要素もデジタルな数値に変換して、ゴールと現状の差異として取り扱うことが可能になります。つまり、心身状態や気持の改善に対しても現状とゴールの差異を意識してもらって、この差異をどのように埋めてもらおうか?考えるFIT-GAPの構図を知らない間に使っているということになります。

例えば、何かに対してストレスを感じていてイライラしている気持が、現在、 1-10段階の8 だとしたらこの数値を2つ下げようということが変化の方向になります。そして、そのためには具体的にどうするか?を考え始めていることになるという具合です。もちろん、最終的なゴールは、難しい対応が求められる場面でも 4以下のストレスで対応するということ、のようになってくると思います。

変化の方向性これも、ゴールまでの進捗度でも、自分の気持の強度でも構わないのですが、数値化することで、どちらの方向を目指したら良いのかという方向性を示唆することが出来ます。上の例だとストレスを感じている状態を10段階の8と表したことで、このストレスを下げるということが変化の方向性であると暗黙に分かってくることになります。

変化の度合い:アナログの感覚をデジタルの数値で表した数値は、喩えるなら自動車のスピード・メーターや回転系のようなものです。つまり、感覚的な速度をスピード・メーターで確認しているような格好になっています。ドライバーはスピードが出すぎれば、ブレーキを踏み、速度が落ちてきたらアクセルを踏みといった行動を知らないうちにイメージしていることになると思います。

これと同じように、例えば、一つの切り口としてゴールの達成スピードというところを1-10段階で表してもらった場合を考えてみましょう。現状の達成速度が5 だとすると、これを維持するのか、あるいはもっと速めるのか?あるいは少しスピードを落とすのか?を考えることになるでしょう。

また、この目標達成スピードを上げたいと考えた場合、車のアクセルにあたるのは何か?また、逆にスピードを下げるためのブレーキにあたるのは何か?具体的にどんな行動がそれに当たるのかがわかれば実際に行動するのも容易になるでしょう。

このように、切り口次第では認識から行動へ落とすまでの細かい関係性の調整に活用できると思います。

知覚・認識の変化と、小さな変化を起こすためのステップを確認可能:物理的な世界での変化は直線的です、例えば、10万個のブロックを積み上げないと完成しない建物を造らなければならない場合、1日1000個を積めば100日かかることになります。つまり変化が積み上がる世界です。しかし、知覚・認識の論理的変化はある意味曲線的で創発的です。変わらない場合はどんなに時間をかけても変化はおきませんし、変わる時はその変化は一瞬でおきます。

 しかし、物理的な変化に対する知覚・認識の変化、あるいは外的世界と内的世界の関係性は捕まえることが難しいという特徴があります。そこでスケーリング・クエスチョンを使うと、この変化を主観的ですが数値化することで捉えることが出来るようになり、小さな変化や変化を起こすためのステップや進捗確認しやすくなると思います。もちろん、変化を意識することで変化へのモチベーションも上がってくるでしょう。

但し、ここでは、アナログの質感を数値でデジタル化すれば質的な情報は落ちてしまうため、この部分は十分考慮することが必要だと思います。

意識が問題に向いているか?解決に向いているか?の区別:これはある意味気持の問題でもあるわけですが、よく考えられたスケーリング・クエスチョンを使って意識が問題に向いているのか?あるいは意識が解決に向いているのか?を区別し意識を解決に向かわせるような質問として使うことが出来ます。

さて、スケーリング・クエスチョンについてはまだ途中となっているこの続きはあらためて書くことにしたいと思います。


(つづく)

 文献

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com


0 件のコメント:

コメントを投稿