2012年12月1日土曜日

今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編23)問題解決の方向性

                               

 ソリューション・フォーカスト・アプローチについて、いくつかの記事を書いてきました。ここで、メタ視点に立って少し大きな問題解決のカテゴリーの中で、ソリューション・フォーカスト・アプローチがどのあたり位置するのだろうか?と考えてみることにしてみました。

 理由は、自分の持っている道具がトンカチだけじゃないよねぇということはチェックしておきたかったので・・・(笑)。

 そうすると色々なことが分かってきました・・・・
 
 独り言


今日は、「今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編23)問題解決の方向性」について書いておきましょう。

問題解決の方向性

 最初に、多少、独断と偏見が入っていますが、説明のし易さを考えて、以下のようなマトリックを考えて、問題解決を4つの象限に分類して考えることにしたいと思います。

 軸としては、「強みを伸ばす⇔弱みを直す」「解決に焦点を当てる⇔原因究明に焦点を当てる」としています。


 それで、ここでは、一例として以下の方法を取り上げています。


Ⅰ象限:ソリューション・フォーカスト・アプローチ
Ⅱ象限:ワークアラウンド/修理
Ⅲ象限:原因分析アプローチ
Ⅳ象限:コンピテンシー分析


 もちろん、一般的な問題解決では、最小限の原因仮説を立てながらWhyを考え、そして、その診断や分析を受けて、実際の施策としての How を考えるような形式になると思いますので実際には上のマトリクスのⅢ→Ⅱ、あるいはⅣ→Ⅰのように象限をまたぐ形式で実行されることになると思います。余談ですがちゃんとした戦コンさんだとⅢ→Ⅰの方向性ですかねぇ。



  例えば、ドライブの途中、道路を走っているとハンドルを取られるという現象が発生、その原因を調べると1つのタイヤの空気圧が低くなってたので、スペアタイヤに変えて走行することにした、というのであれば、上のマトリックのⅢ→Ⅱを実行しているという具合ですし。

 もう一つの例として、英語は苦手だけれど、数学の得意な学生に、「きみは論理的な思考が得意だからもっと数学を勉強するとよいよ」と言えば、Ⅳ→Ⅰを実行しているという具合です。

 もちろん、仕事で使う場合は、もう少し複雑なることが多いため、ここでは、例えば、これをコンサルタントが使う道具であるイシューツリー(ロジック・ツリー)を使った場合を考えてみましょう。最初に診断ツリーとして Why を考え、次にそれをつなぐ形式の解決策ツリーとして How を考えるというのがひとつのカタとなります。[1] それで、このWhy→Howのパターンを大まかに方向付けると、上の繰り返しになりますが、強みを伸ばす、という方向と、弱みを直すという2つの方向性があると思います。


 もちろん、ここでWhy-Howをつなぐところはブラック・ボックスのような形式になっている場合が多いと思います。このブラック・ボックスの中を考えると、Why→Howのつながりが因果関係、あるいは強い相関関係で結ばれている場合は、問題の原因を取り除くような、いわゆる問題の裏返しが解決につながりますが、そうでない場合は、このブラック・ボックスの中で、ブレイン・ストーミングなどの結構アナログな作業、あるいは仮説-検証のアプローチでそのギャップを埋めていく必要があります。

 もちろん、ここで取り扱う問題は既に外在化されている、あるいは問題解決のプロセスの中で外在化される必要があります。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/10/blog-post_12.html
 
ソリューション・フォーカスト・アプローチがどのように機能するのか?

このような前提を踏まえて、「Solution-Focused Problem Solving: Finding Exceptions That Work[2]というエッセーを読んで、内容の引用と感想を書いておきたいと思います。

このエッセーではソリューション・フォーカスト・アプローチのアンチテーゼとして問題に焦点を当てたアプローチが取り上げられています。このアプローチは以下のようなプロセスで問題を解決するような手法です。

·        問題に焦点を当てたアプローチ


問題の定義:何が悪いのだろう?
原因の追求:それは、どのようにして起こったのだろう?
解決案の検討:どのようにしてそれを直そうか?
解決策の実行:直した!
問題の検証:その問題は直ったか?


 このような解決手法は問題が外在化された無生物を対象にするような場合はうまく機能します。例えば、工場のベルトコンベアが止まった、その原因は何か?→ベアリングの一つが故障した。ドライブに行った、ハンドルが右へ流れるけれどその原因は何か?→タイヤの空気圧が低下している。などです。もちろん、この場合は暫定的に問題の現象を止めるワークアラウンドと、根本原因を調べてそれを解決する方法の2つがあるでしょう。

 しかし、これが機能しない場合もあります。

問題と解決策の間に因果関係が希薄な場合:要は、Whyのイシューツリー → How イシューツリーの間の因果関係、あるいは強い相関関係が存在しない場合です。例えば、ある製品が売れていないために収益が悪化しているという現象があったとします。その原因が、どうも価格が高いということにあると考えられる場合、単純に価格を下げることで収益が回復するとは言えない場合があります。他の例として、製品が売れていないのは営業力が弱いからだという原因仮説を立てたとします、これを裏返して、では人を多く採用して営業力を強化しようというのがその解にならない場合があります。

問題が強化される傾向:この場合、なぜそれが起こってしまったのだ?一体誰の責任だという方向にばかり焦点が当てられると、問題の解決に焦点が向かず、その問題が起こっている、状況、枠組、関係者の振る舞いのパターンが強化されることになる場合があります。余談ですが、「ダイエット」に焦点を当てると余計に食べたくなるのでしょうし、「禁煙」に焦点を当てると、余計に吸いたくなるのでしょうし、「モテる」に焦点を当てると、余計に「今モテていない」に焦点が当たるのと同じ構造だとも言えるでしょう。(笑)

複雑な問題には枠組のシフトが伴う:複雑な問題には、行動や指向を制限しているルールや思考の枠組のシフトを伴う場合があります、つまり問題が起こっている枠組を超えて解決策を考える必要がある場合です。原因分析のアプローチは、ゴールが既存の枠組の中での現状復帰となっていることも多く、このアプローチでは枠組のシフトを取り扱うことが難しい場合があります。つまり、ブリーフ・セラピーの世界の概念で説明すると、MRIのポール・ウォツラウィックが言うシステムの一部しか変化しない第一次変化(First-Order Change)の範囲でとどまる変化を最初から志向した問題解決となります。

変化に対する抵抗:このアプローチを、適用対象として、外在化された無生物、つまり機械の故障のような場合は、それほど問題は起こらないと思います。その理由は、壊れたモジュールを取り替えるというアプローチが取れるからです。しかし、これが人の行動や認識に関係することで、業務のやり方を根本的に変えなさい、や儲かっていない部署を売却するぞ、という方向で活用されると激しい抵抗に会うことは必至です。特に、他の人にやり方を変えろと言うことは「今のやり方ではダメだ」というメタ・メッセージを伝えている可能が大です。比喩ですが、スポーツで「おまえのフォームはダメだから直せ」と言われても中々上手くいかないようなものです。余談ですがソリューション・フォーカスト・アプローチの「壊れていなければ直すな」の原則は結構重たい原則でもあります。

問題の現象を消すことに終始:基本的にこのアプローチは、理想的な状態を目指すより、現象が起こらなかった状態への現状復帰の対応になる傾向にあります。

基本的に現状復帰:問題に焦点を当てたアプローチは現状復帰がゴールに設定されることが多いため、この場合、問題が解決されても、何かの理想的な状態に近づくのではなく単純に現状復帰されるということになります。


·        解決に焦点を当てたアプローチ

 ここではソリューション・フォーカスト・アプローチについて書いておきますが、「認識として解決に焦点を当てるアプローチ」というのは心理療法家のミルトン・エリクソンの技法を継承するアプローチの特徴ではないかと考えています。それで、ソリューション・フォーカスト・アプローチのほんの概要のプロセスは以下になります。


1.     問題の記述:何をこのセッションで取り扱いますか?何が問題ですか?
2.     奇跡の解決:ミラクル・クエスチョンで問題が解決された場面をイメージ
3.     奇跡の深化:ミラクル・クエスチョン、エクセプション・クエスチョンで深化
4.    状態の把握と方向づけ:スケーリング・クエスチョン
5.     タスク:タスクのアサイン


それで、問題に焦点を当てたアプローチと対比する形式で、ソリューション・フォーカスト・アプローチの特徴を書いておくと、

第二次変化を志向する手法:これは昨日書いた記事とも関係しますが、枠組を超えて、システム全体が変化する、「変化についての変化」を志向した手法であること。

特にソリューション・フォーカスト・アプローチの場合は、枠組自体を言語化しない方法で、セッションのプロセス自体にリフレーミングが暗に組み込まれていることを活用し、既存の枠組を超えて解決策を探す、あるいは枠組を超えて行動することが意図されているように思ってきます。


今ココの変化を利用する:仕事上でもそうですが、それがハーバード・ビジネス・レビューの成功事例であったとしても、変なコンサルタントから何らかの方法を上から目線で演繹的押し付けられるのは気持が良いものではありません。例えば自社でトヨタ生産方式を導入しようと考えても、おかれている状況、活用できる資源は、はては仕事のやり方を規定しているルール、文化、しきたりなどの制約があり、その導入は簡単にはいきません。

 それで、逆転の発想としてソリューション・フォーカスト・アプローチが存在します。この会社なりその組織の中で、何らか上手くいっているパターン、上手く変化を起こせるパターンというものが存在していると考えます。それで、実際に行うのは理想のゴールを設定し、すでにあるパターンを探し、あとはそれをゴールに向けて少し調整、強調するだけという具合に使うのが抵抗を抑え、結果を出す方法としては適当だと思ってくるわけです。「変化のためのリソースは既に持っている」「変化は既にそこにある」ということはやはり重たい前提です。もちろん、これがソリューション・フォーカスト・アプローチを導入するための重要なポイントでもあります。

行動の方向と習慣を問題から解決へ:ソリューション・フォーカスト・アプローチの場合は、行動のやり方と、繰り返される行動一挙手一投足が、いつもゴールへ向くように方向付けられることになります。もちろん、このゴールを単純に売上や収益と設定されているわけではなく、もう少し多様性を持った定性的な目標、例えば「楽しく働いている」などのように定性的な状態を表した目標にも向けられている必要があります。

現状復帰ではなく理想のゴールをイメージする:これは問題に焦点を当てた手法が、その問題がなくなった現状復帰の状態がゴールになる傾向にあることを書きましたが、ここでは、色々な制約はとりあえず後で考えるとして、奇跡のようなゴールがあるとすればそれはどこで分かるのか?というところから始めることになります。もちろん、知覚に焦点を当てて現実味のあるものとして設定されることと、他の人の目を通して設定されることもあり、基本的には色々な関係性の中で「三方良し」の理想のゴールが設定されることになります。


 案外普通のやり方も大事ですねぇ:それですこしまとめておきます。個人的にはソリューション・フォーカスト・アプローチ以外にもきちんとWhy イシューツリーを書いて How で折り返して問題解決をするという普通の方法も活用しています。

 例えば、クライアントさんが法人の場合、現場を観察して、Why イシューツリーを使って原因仮説を立てるから始めるような具合です。もちろん、このあたりはさらりとやっている程度です。それで、How イシューツリーのところで施策として実行可能な解決策を考えていくという具合です。もちろん、How を考えるところは、クライアントの力を借りてソリューション・フォーカスト・アプローチを使ってもらって、あくまでも自分たちで考えたという具合にしてもらったほうが上手くいくようにも思ってきます。

 問題解決の本質は、あなたが何になりゆくのか?:それで、色々書いてみましたが、今日の内容はこれだけで p.300ページくらいの本が1冊書けるくらい内容ですので、あくまでもサマリーということで・・・・とりあえず筆をおいておきます。それで、クライアントやその組織を扱う場合、クライアントは人間だし、組織は生きているわけですから、その問題解決についてもオートポイエーシスのような生命(いのち)を記述できるシステム論のようなものが背景にある方法論を使わないと上手くいきませんねぇ。もちろん、ここでは問題をクリアしてことで Who としての主体が「何になりゆくのか?」という現在進行形の進化が一番重要なことですからねぇ。また、ここでは説明のアヤとして完全にデカルトの二元論の道具であるイシューツリーで説明しましたけれどそれは愛嬌ということで・・・・

(つづく)

 文献

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