2012年12月17日月曜日

今日から使えるソリューション・フォーカス技法(番外編31)色々な雑感を少し

                                 

 過去の延長ではない未来をつくろうと考えると、創発を起こすような考え方で、創発を起こすような行動をしないといけないのですよねぇ・・・・・但し、こういうやり方は制御なんてできないのでやってみないとどうなるのかは分からないというところがあるのが面白いところでもあり、怖いところでもあるわけですけれどねぇ・・・・(笑)

 独り言


今日は、「色々な雑感を少し」について書いておきましょう。

普段、認識されている問題って単なる現象でもっと深いところにつながっているなぁ

 最近、ソリューション・フォーカスト・アプローチをベースにしたコーチングなどの論文やエッセーをよく読んだりするのですが、普段は企業のプロジェクト・マネジメントの支援などをやっているということもあっていくつか気になる点があったります。

 もちろん、全体的な問題解決におけるソリューション・フォーカスト・アプローチの位置づけは以下で書きました。


 それで、今日はこの気になる点についていくつか書いておきましょう。

 例えば、「The PRACTICE model of coaching: towards a solution-focused approach[1]は認知行動療法などに基づいたモデルのコーチングについて非常に理路整然していて分かりやすいエッセーです。

 この中では、1)問題/課題の認識 2)ゴールの選択 3)代替解決案、オプションの検討 4)結果の検討 5)意思決定 6)解決策/ゴールまでのタスクの実行 7)評価、で表された一連のプロセスが定義されており、この一連の流れがPRECTICEモデルとして紹介されています。

 それで、このエッセーはこれらのプロセスをどういったコーチングセッションで行うのか?の想定のもと、質問に還元された形式でそれが説明されています。

 もちろん、このエッセーに対してとやかくというのではなく、もっと大きな話になってくるわけですが、そもそもコーチングという形態を考えた場合のことを考えてみましょう。

·        コーチングはコトバによる二次情報で行われる

以下のリンクで書いたシャドウ・コーチングなどの特別なケースを除いて、一般的なコーチングは1週間に1回とか2週間に1回といった頻度で設定されたセッションを通して、クライアントがその進捗や、自分の変化をコーチに間接的に報告する形式になっているという前提があります。


 逆の言い方をすると、「コーチはクライアントが実際に仕事や日常で、クライアントが問題を認識したり、解決したりするために何かを行なっている場面に一緒に居るわけではない」ということになってきます。もっというとコーチはクライアントのコトバである二次情報を通してのみ、何かを知ることが出来るという制限が存在することになります。個人的にはこれがコンサルティングなどとの大きな違いだと考えています。

·        学習のレベル

 それで、ここで疑問に思うのはコーチングのセッションが単なるブレストのセッションで上の7つのカテゴリーに基づいてタスク・リストのようなものをつくるだけであれば、そのコーチングの価値や付加価値というのは非常に低いものになるのだろうなと考えているわけです。その理由は、コーチがクライアントに単なるタスク・リストを渡しただけであれば、

1)       クライアントは現在なんらかのバイアスを持ったまま、問題/課題を規定し、
2)       過去の延長でゴールを考え
3)       過去の延長で代替案を考える
4)       過去の延長で結果を考える
5)       過去の延長で考えた選択肢の中から決断する
6)       過去の延長で行動を起こし
7)       過去の延長でつくった指標で評価を行う

 ということになってきます。つまり、この場合は、クライアントは過去の延長でやってきた知覚・認識、行動を踏襲したやり方だけを行なっているような、以下のリンクで書いたシングルループ学習であり、既存のやり方の延長でしかないし、コーチは単にペースメーカー以外の何者でもないということになってきます。


 逆の言い方をすると、クライアントがコーチングのセッションを通じて、現在、その問題や課題についてのコンテンツとしての枠組を超えて考えてもらうというのは当たり前として、クライアントが持っている既存の知覚・認識、行動のプロセスそのものに対しても何か新しいやり方を持ち込んで、そのプロセス自体の変化を支援出来ることが良いコーチの条件であるとも言えるでしょう。

 もちろん、ソリューション・フォーカスト・アプローチの場合はセッションのプロセス自体に家族療法やブリーフ・セラピーで言うリフレーミングが組み込まれているために、普通にセッションを行なっていけばクライアントの知覚・認識・行動のプロセス自体の変化を支援することができると思います。


 また、既存の枠組から出た解答をアブダクティブなロジック、簡単に言うと、直観を研ぎ澄ましたような形式で見つけたい場合は、以下のリンクで書いたやり方でメタファーを使うというのもひとつの方法です。

 もちろん、メタファーはアブダクティブなロジックからなり、2つのまったく関係性のない要素の間に何らかの関係性を見つけるという行為で成り立っているため、演繹法のようにそのロジックが保証されているわけではないため、素晴らしいアイディアが出たとしてもその実行についての実現性は十分確認しておくことが必要だと思います。


ゴールの記述をどうするのか?

 これは個人的にも非常に大きなテーマです。ブリーフ・セラピーの世界はグレゴリー・ベイトソンが持ち込んだサイバネティックスのフレームワークが存在しますが、実はこれが少し悩ましいところでもあります。これについて少し説明すると、例えば、飛行機が目的地を目指して飛んでいくところを考えてみましょう。この場合の目的地=ゴールということになるわけですが、この場合のゴールは単に物理的な座標で表せるところがゴールとなります。つまり、現在位置とゴールの差分が物理的に定量化出来るわけですので、ある意味このギャップを小さくするように、定量的な情報をサイバネティックスの用語で言うネガティブ・フィードバックで制御していけばゴールに到達することが出来るということになってきます。もちろんここでは途中での機械的なトラブルは想定していません。

 反対に、コーチングの場合のゴールはこれとはかなり違っています。もちろん物理的な場所やモノを得ることがゴールの一部になることもあるわけですが、コーチングの場合、そこに認識主体が存在しており、この主体の主観的な視点から大抵の場合は物理的なゴールと認識の中の定性的な質感の情報で規定されるゴールが混在しているような形式になっています。つまり、この場合のゴールは「経験の先取り」という形式でしかゴールを表現できないということなってきます。それで、この「経験の先取り」をどう記述するのか?は以下で書いた通りとなります。


現状-ゴールまでの制御をどうするのか?

 もちろん、人の認識や行動が関係すると制御なんて出来るものではありません。それでもここではとりあえず「制御」と書いておくことにします。

 コーチングなどで少し難しいなと思うのは、現状―ゴールのギャップを単なる定量的な情報として表すことが難しいことだとも思ってきます。もちろん、ビジネスの場合は単なる目標とする金額をゴールとしても良いのでしょうけれども、一般的なバランス・スコアカードなどを見てみると、1)組織の学習と成長 2)業務の視点 3)顧客の視点 4)財務の視点のように、仮に金額を最終目標とするにしてもそこに至るまでには別のレイアーにある目標をクリアして最終的に金額目標につなげて行く必要があるという具合です。もちろん、ここには、リーダーシップとかモチベーションや人間関係のような要素も多分に入ってくることになるでしょう。要は数字だけを考えておけば良いというような単純な話ではないということになってきます。

 それで、結局は現状-ゴールというのは、認識主体の「現状の経験」-「先取りされた経験」ということになってきますので、この部分には単純に数値で表すことの難しい質的な情報が入ってくることになります。

 もちろん、こう考えるとあくまでも、認識主体の「先取りされた経験」としてこうなったら良いなということを当面のゴールとして現在何か行動を起こすということになり、こういっては元も子もないないのですが、「先取りされた経験」―「それを起こすための行動」の間にある関係性は単なるメタファー以外の何ものでもないということになってきます。特に、定性的で因果関係の不明な認識の世界に限れば、ゴールとそこにたどり着くために行なっている現在の行動にある関係性は単なるメタファーということでもあります。「いまやっていることを続けるとゴールにつく」という妄想と言い換えても良いでしょう。もちろん、ゴールを目指して行う行動は必要なのですが、それがきちんとゴールを達成するための必要条件となっているかどうかは(特に認識の世界に限ると)誰も分からないということになります。

 この関係性をつくるプロセスとして、実際に何か行動をしてみて、そこから得られる情報に基づき、サイバネティックス的には、安定を求めるネガティブ・フィードバックと創発を求めるポジティブ・フィードバックの2つを活用していくことになるわけですが、詳細は以下で書いたところです。


 ネガティブ・フィードバックは中学校の校則から始まって、基本は「~の基準に合わせろ、さもないと罰則がある」ということになるため、枠組を超えて発想する、行動するというところにはそもそも向いていないということなります。

 もちろん、物理的で無生物が対象となる領域では何らかのベースラインを設けてネガティブ・フィードバックを行ったほうが良いと思いますし、認識や行動のように人を対象とする場合はポジティブ・フィードバックを上手く活用していくという必要があると思います。

 自己効力感を高める

自己啓発などでは、自分をしばっている「リミティング・ビリーフ(制限を加える信念)」を書き換えれば上手くいくといった、ある意味、アホな信仰みたいなことが語られることがありますが、普通に考えると、考えを変えただけ、あるいは自尊心を高めただけでは物事が上手くいくことがないことはすぐに理解できると思います。

 これは日本人が普通に考える、「心技体」のように心づかいと、技(能力)と物理的な行動(体)の3つが高次でバランスされて何らか凄い能力が発揮されるわけであり、どれかが極端に肥大してもあまり意味がないということになります。もちろん、ブリーフ・セラピーをベースとしてコーチングなどで重要されるのもこのバランスであり、どちらかというと高めるのは根拠のない自信ではなく、「こうやったら出来る」という自己効力感を伴った確信だということになってきます。


(つづく)

 文献
[1]http://ac.somcom.co.uk/media/uploads/papers/The_PRACTICE_model_of_coaching_towards_a_solution-focused_approach-2.pdf

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