2012年12月5日水曜日

今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編27)解決志向の言語学

                               

 やっぱりソリューション・フォーカスト・アプローチは構造主義から構成主義への転換というところに価値がありそうですねぇ。

 それで、ウィトゲンシュタインの後期の作品でも読んでみようかなぁ(笑)。

 独り言


今日は、「今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編27)解決志向の言語学」について書いておきましょう。

表層構造を深層構造へと回復するNLP、深層構造は探らないSFAの違い・・・・

 ひょんなことから、ソリューション・フォーカスト・アプローチの特に言語の理論的な背景について書かれているスティーヴ・ド・シェザー著「解決志向の言語学(原著1994年発刊)」[1]を読んでみましたが、かなりマニアックですが、個人的にはかなり面白い本でした。


 
 それで、今日は個人的なメモ代わりに感想などを書いておくことにしたいと思います。

 本書は、フロイトあたりの話から出発しているのですが、最初に比較として出てくるのはNLP(神経言語プログラミング)の元になっている言語のメタ・モデルです。

 本書で引用されているバンドラー&グリンダーの「The Structure of Magic(1975/1976)[2]は、ゲシュタルト療法のフレデリック・パールズ、と家族療法のヴァージニア・サティアが心理療法に使っている「言葉遣い」を対象に、ごく初期の変形生成文法で解析して取り出したいくつかの言語パターンについて書かれている著作です。それで、ここでは、基本的には意味を感じている身体を深層構造、発話されているコトバを表層構造として構造主義的に言語がモデル化されているところから始まります。

 本書では、これにソシュールのシニフィアン・シニフィエという構造にマッピングが行われて以下のような表記が行われています。



 シニフィエ = 無意識 ― 深層構造
   ↑
 シニフィアン= 意識  ― 表層構造


 それで、メタ・モデルは基本的に表層構造として定義されているクライアントのコトバのパターンを聞いて、そして、変形生成文法の変形規則をつかって、(表層構造の文が統語的に完全な文になるように)深層構造の回復を行うという方向で活用されるということが基本となります。

 しかし、本書で、シェザーが指摘していることは、結局、セラピストがクライアントのコトバを聞いて、表層から深層構造を回復する際に、セラピストの解釈なのか推論なのか?厳密な区別は付けられないわけですし、そこにセラピストの恣意的な解釈、推論が入るのが避けられない以上、ここに深層構造の回復を行う必要が本当にあるのだろうか?と疑問を呈しているところが興味深い点です。

  もちろん、メタ・モデルはコミュニケーションの齟齬を最小限にしようとする試みではあるのでしょうが、単純に深層構造を回復したからといってMRIのポール・ウォツラウィックが言うパラドクスをつくりだしている枠組を超えてシステム全体が変化する二次的変化が起こるわけではありません。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html

 それで、シェザーはどのように考えたのか?それは、「深層構造を回復してもしかたない」、それより、クライアントが今問題を抱えていても、奇跡が起こってその問題が解決された場面がどのようなものであるのか?を臨場感を持って思い浮かべてもらうこと、そして、その奇跡を実現することに必要な、今ここにある、今ココにあるうまくいっている例外に焦点を当てて、それを心理療法家のミルトン・エリクソンのように利用してもらうこと。

 そうすることで、クライアントとセラピストのコトバのやり取りを中心にした相互作用から問題解決の緒(いとぐち)が見えてくる。コンテンツとしての信念・価値観とかを言語化もしなければ、その出来事の意味も聞かないけれど、これでいいじゃん・・・と言っているようにも思えるのがソリューション・フォーカスト・アプローチのポストモダンで構成主義的で非常に面白いところだと思います。

 余談ですが、実際に「The Structure of Magic」を読んで、メタ・モデルを試してみてわかったことをすこし書いておきましょう。

 これを「見立て」に使ったり、自分のコトバから自分の認知バイアスをチェックしている分にはまだ良いのですが、相手との会話の中で、なまじ深層を回復し始めると批難のメッセージと取られ、ラポールが切れるといったことが起こり、あまりロクな結果にならない。

 また、理論的背景が今は生成文法はミニマリスト・プログラムなのでかなり時代遅れで古臭い。それで、結局、状況設定としてのパラドクスとリフレーミングを併用しないと、ウォツラウィックの言う二次的変化が起こらない・・・・ので結局、個人的にはMRI(Mental Research Institute)やSFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)の技法を使うことになる、というように色々なことが分かってきます。つまり、イメージや知覚に焦点を当ててもらうような感じではじめからソリューション・トークをしておけば良いじゃないかと・・・・・・・(笑)。

 そう考えるとNLPって背景にある理論は実は古臭くて、現在発展系を売り物にしている言語パターンもコンテンツ志向でMetaphors of Movement かClean Language の認知言語学系のメタファー以外はあまり碌なのがないのですよねぇ、なんとかプロファイルとか(笑)。それで、日本の大学などで教えられている短期療法が一部ミルトン・エリクソンなのを除くとそれより新しい理論で体系化され続けているMRIからSFAなのもうなずけてきます。

 もちろん、おおもとのミルトン・エリクソンはすべてが暗黙知で何も理論化しなかったので後世の研究者達がいつもその時代の最新のフレームワークで形式知化してくれるというのがここでのオチなのかもしれませんが・・・・

 それと余談ですが、やっぱりMRI的に今起こっている問題がどのようなパターンで起こっているのか?それを壊すために何か違うことをしようという方向と、SFA的に未来の解決に目を向けて今うまくいっていることをもっとやろう、という二項対立をどう役に立てるのか?ということを考えると結構深いなと思ってきます。もちろん、脳天気に解決だけに目を向けていれば何でもうまくいくという場合は少ないのでしょうから・・・・・

(つづく)

 文献

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