2012年12月10日月曜日

今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編29)NLPのメタ・モデルはなぜ機能しないのか?―その3

                               

 人間って放おっておくと小さい目的を実現するために一生懸命になってしまうものですねぇ。まぁ、システム論などで言う局所最適をやっていたほうが気持がいいですからねぇ。もちろん、生き物の場合はシステムの中に知覚や認識が含まれてくるの物凄くややこしい話になってきます・・・・

 では大きな目的とは何か?もちろん、大きい小さいは主観的で相対的なものなのでそれぞれの人が決めれば良いと思うのですけれども。実は、より大きな目的を達成するために何かをするというのは結構難しいのですよねぇ、その理由は、小さな目的の達成と矛盾することも多いから。

もちろん、自分の出来る範囲の上限での全体最適を目指すということなのでしょうけれど、要は自分の器の範囲での全体最適ということになりますから、結局、全体というのは矛盾する局所を綜合した自分の器という話になりますねぇ。(笑)

 独り言


今日は、「今日から使えるソリューション・フォーカス(番外編29)NLPのメタ・モデルはなぜ機能しないのか?―その3」について書いておきましょう。

構造微分から見たメタ・モデルのねらい

NLP(神経言語プログラミング)をDisると結構面白いのだけれど、中途半端にDisっても面白くないので、色々調べ始めて色々試してと、ベイトソンとかコージブスキーとか最近の認知科学とか、システム論とかブリーフ・セラピーの本質の部分まで触らないといけなくなるのですよねぇ。あぁ面倒くさい。(笑)

それで、今日は昨日の続きのメタ・モデルついて少し書いておきましょう。


ここでは、ソリューション・トークがなぜ機能し、NLPのメタ・モデルがなぜ機能しないのか?を検証するのが目的で書いているわけですが、これを学術的に真面目に考えていくと「人の認識や行動の変化」というところについて結構深いところに行き着くように思ってきます。

それで、メタ・モデルを一般意味論の構造微分にマッピングした話は昨日書きました。もちろん、これは構造微分という意味論のモデルをメタ・モデルという統語論のモデルにマッピングする意味について書いたのと、これだけでは足りないので語用論のフレームも使ってコミュニケーションを観察する必要性について書いたわけです。

話を戻すと、メタ。モデルが構造微分の1)知覚における削除 2)思考における歪曲 3)枠組における一般化、という3つのレベルのバイアス(のようなもの)を探るために活用されるということが明確になったわけですが、「だから何?(So What ?)」というのが今日のテーマです。

局所最適の活用では機能しない:さて、実際のコンテンツを入れたメタ・モデルについて少し考えてみましょう。普通、メタ・モデルを使う場合、コーチはクライアントの言葉をメタ・モデルのフィルターを立てて傾聴し、メタ・モデルに違反(Meta-model violation)する言葉を捉えて質問をするといった例がよく出てきます。しかし、実際のコーチングなどでこれをやってみてもあまり上手くいくことはありません。なぜならば、クライアントのひとこと一言に反応するのは、単なる局所最適の方法でしかなく、逐一揚げ足取りのようなことをして結局何をしたいのか?となってしまうからです。



クライアンの言葉
コーチの質問例













地図
枠組における一般化

判断基準の欠如(Lost Performative)※概念レベルでの比較
「一貫性がないのは良くない」
等価の複合概念(Complex Equivalence)
「彼女がどなるのは私を嫌っているからだ」
読心術(Mind Reading
「彼女は私を嫌っている」
因果(Cause-Effect
「彼のしかめっ面を見るとむかつく」
方向性:事実→その意味、以外の関係を探る

「誰が言っているのですか?どのようにしてそれが分かるのですか?」

「どなることがどのようにあなたは嫌っていることになるのですか?」
「どうしてそれが分かるのですか?」

「彼のしかめっ面がどのようにあなたをむかつかせるのですか?」
推論、思考における歪曲

普遍数量詞(Universal Quantifier)
「彼はいつも文句をいっています」
前提(Presupposition
「私が、苦しんでいると知っていたら、彼はそんなことはしなかっただろう。」
叙法助動詞(Modal Operator)
必要性「これを今日中に仕上げなければならない」
可能性「彼に真実を告げることはできない」
方向性:推論のスコープを明示


「いつも?」

「どのようにしてそれが分かるのか?、どのように苦しんでいるのか?彼がどうしたのか?」

「もし、仕上げなかったら何が起こる?」
「もし、真実を告げたら何が起こる?」
土地
知覚における削除

名詞化 (Nominalization)
「私達は関係を改善する必要がある」
非指定参照インデックス(Unspecified Referential Index
「彼らが話を聞いてくれない」
非指定動詞 (Unspecified Verb)
「彼がわたしを拒絶しています」
比較級削除(Comparative Deletion)※知覚レベルでの比較
「大きすぎます」
単純削除(Simple Deletion
「不快です」
方向性:事実の明示、多視点(志向性/スコープ)


「何の関係?」

「彼らというのは誰ですか?」

「どのように拒絶しているのですか?」

「何に対して大きすぎるのですか?」

「何が不快ですか?」
 
「地図はそれが示す土地そのものではない」は結構重たい・・・

 それでは、このメタ・モデルの本当のねらいはどこにあるのか?についてもう少し大きな視点から考えてみましょう。

事実と解釈の間に線を引いてもらう:まず、このねらいのひとつは、一般意味論の創始者であるアルフレッド・コージブスキーの言う「地図はそれが示す土地そのものではない」というように、クライアントの中に表象されている「出来事/事実」である「土地」と「ことば/解釈」である「地図」との区別をつけてもらうためにあると考えています。



つまり、メタ・モデルで言うなら、1)知覚における削除、を回復してもらって事実が何であるのかを臨場感を持ってより注意深く観察、あるいはイメージしてもらう。そして、その事実に対する2)思考における枠曲と 3)枠組における一般化、はあくまでも事実に対するクライアントの解釈であるということを認識してもらう、ということが本来の目的ということになります。もちろん、コーチからするとクライアントの本音は言葉から推測するしかありませんが、クライアントの認識における事実と解釈の間に線を引いてもらうのが本来のメタ・モデルの目的というところになってきます。つまりメタ・モデルは認知科学で言うメタ認知を促すためにある、ということになります。

もちろん、ここではソリューション・フォーカスト・アプローチ的に理想のゴールをイメージ(地図)してもらって、そこに現実(土地)をどう結びつけてもらうのかという方向で使う場合と、MRI的に現在起こっている問題がどのような要素(地図と土地)の連鎖のパターンで起こっているのか?そこパターンをどこから崩そうか?の2つの方向性があると思います。

 それで、以下のリンクで書いたように、一般意味論の特徴である「地図はそれが示す土地そのものではない」の区別をつけるということがブリーフ・セラピーの特徴であったわけですが、


「地図はそれがしめす土地と同じではない」の一般意味論の話は結局以下のリンクに戻ってきます。

 つまり、メタ・モデルを使うのでメタ視点になりつつあるのか?メタ視点になっているが故にメタ・モデルが機能するのか?は「卵が先か鶏が先か?」の議論に似た所があるわけですが、ベイトソンの言った円環的因果関係を意識しながら、事実と解釈の間に線を引き、メタ視点に立つプロセスとして活用する必要があると思います。


もうひとつは、概念をもういちど知覚に戻してそれを外在化すること

 それで、メタ・モデル、あるいは、ミルトン・エリクソンの言語パターンを統語の視点だけから取り出したミルトン・モデルというのがありますが、結局はサティア、パールズ、エリクソンがそれぞれの独特のスタイルの言語パターンでクライアントに何をしていたのか?というと一般意味論で言う問題の外在化を手伝っていたということが分かるだけで、これ以上でのこれ以下でもないことを明示しただけのモデルということになると思います。あまり大きな声では言えませんが単なる一般意味論の概念のパクリ引用ですねぇ。


 もちろん、サティア、パールズ、エリクソンあたりの心理療法家になると以下のリンクで書いたように、問題に対して無意識に出てくる感情や情動が変化するために「魔法使い」と言われたわけですが、実際にこれを行おうとすると、フォーカシングではないのですが言葉を知覚のレベルに戻してイメージなり身体感覚を操作する必要があります。逆の言い方をすると、単なる頭で考えるレベルで記号操作をしていても無意識に構築された関係性は変わらないということになってきます。もちろん、これがロジカル・シンキングとこういったセラピューティックなプローチとの違いということになるでしょう。


 この例として、クライアントの話をメタ・モデルで傾聴して「雨が降るといつも憂鬱な気分になる」という言葉を聴いたとしましょう。また、ここでクライアントのゴールが「雨が降っても平常心で居られる」だとしましょう。それで、因果関係と普遍数量詞のパターンを聞いても、メタ・モデルの質問にあるように単に「いつも憂鬱なのですか?」とか「どのように憂鬱になるのですか?」だけを質問してもクライアントの認識やその出来事に対する無意識の反応は変化しないということになり、ここでどうしましょう?ということになってくるわけです。

 もちろん、「雨が降るといつも憂鬱な気分になる」というのを解決する、つまり、無意識レベルでの反応を「雨が降っても→冷静な気分で居られる」というように関係性を変える必要があるわけです。

ここで、MRIやソリューション・フォーカスト・アプローチを使う方も居るでしょうし、エリクソニアン・アプローチを使う方も居るでしょうし、論理行動療法の手法を使う方も居るでしょうし・・・・となってきます。

もちろん、NLPでもできないわけではないのでしょうが、無意識のレベルから2次的変化を起こすには Sleight of Mouth でソリューション・トークをしなさいとか、プロボカティブ話法を使ってソリューション・トークしなさいとか、結局、ソリューション・フォーカスト・アプローチと同じことをやらなくちゃいけなくなるのですよねぇ。もっと複雑なやり方で・・・・(笑)。

もちろん、言葉を聞いて何らかの「見立て」をする場合にはメタ・モデルは使えるのでしょうけれど、局所最適な視点で、表層構造から深層構造を回復するやり方ではあまり上手くいくことはなく、結局、ソリューション・フォーカスト・アプローチのようにソリューション・トークを行なって問題の外在化を行うか、状況設定をしてMRI的にダブル・バインドつかって枠組を超えるようなやり方で外すことになるので、最初っからソリューション・トークをしておいたほうが良いのでは?ということになってくるわけですねぇ。このあたりは、へんな自己啓発にハマるより心理学大学院に通ってちゃんと本流のほうを勉強したほうが結局安上がりで変化も確実って感じもしてきますけれどねぇ・・・・(笑)

(つづく)

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