2013年1月20日日曜日

チェンジ・マネジメントとソリューション・フォーカスト・アプローチ

                               

 外的環境が変わっても、人や組織は案外、それに合わせて自分が変化するのは嫌なものだと思います。

 もちろん、無理に変化させようと思って、マネージャや第三者があれこれ働きかけても、猛烈に抵抗されることは必至です。

 それで、変化を起こすためにはこの抵抗すら利用する必要があると思ってくるわけですが、人や組織の抵抗を、環境に適応した、認識や行動の変化に結びつけるのは、心理療法家のミルトン・エリクソンが最も得意としていたというのを思い出すわけです。

 その意味では人や組織の認識や行動の変化を支援する時はミルトン・エリクソンみたいになれっていうことですねぇ・・・・・()

独り言


今日は、「チェンジ・マネジメントとソリューション・フォーカスト・アプローチ」について書いておきましょう。

変化への抵抗をどのようにして変化それ自身に結びつけるか?

 一般的には、ERP(Enterprise Resource Planning)などのITのシステムを企業組織に導入し、このシステム導入をレバレッジにしてオペレーション・レベルの業務のやり方を変えていくことをチェンジ・マネジメント(Change Management)、そして企業組織の風土改革のようにもう少し大きな枠組を変えていくことをトランスフォーメ―ショナル・マネジメント(Transformational Management)というように定義されているように思いますが、[1]企業組織はある意味生き物でもあるため、そのシステムを構成する個人も、その集合体である組織も恒常性というものがあるため、変化に対して抵抗するというのが常のように思ってきます。

 もちろん、個人のレベルで居心地の良い、慣れた考え方、慣れたやり方というのを変えるのはなんとなく居心地が悪いということもあるため、外的環境が変わったといったような場合にこの考え方を変える必要がある、あるいはやり方を変える必要があるという場合だったとしても最初の反応は「変えたくない」となるわけですし、集団の場合も同じというわけです。

 それで、ITシステムのような無生物のシステムをトップダウンで導入するのは、強引やってしまえば導入はできるのでしょうが、強引にやればやるほど組織の抵抗は増加し、本来意図していた業務改革や意識改革という意味では失敗に終わるということになってしまうように思ってきます。

 もちろん、ここでの意図は、物理的なモノの構築や導入が出来ても、変化に対する認識や行動の抵抗というのは案外大きい、というのは個人的に色々なプロジェクトに従事した経験からも思うところです。

 それで、「変化に対する認識や行動の抵抗をどのように、認識や行動の変化それ自体に利用するのか?」というような禅問答のようなテーマになってくるわけですが、個人的にはここで活用できるのが、例えば、ソリューション・フォーカスト・アプローチのような短期療法から派生したアプローチなのだろうなと考えているわけです。

(もちろん、本家エリクソニアン・アプローチやMRIアプローチを使うことについて何ら制約はないわけですが、説明する時はソリューション・フォーカスト・アプローチが一番シンプルなのでこれで説明するのがもっとも分かりやすいので個人的にはこれで説明するようにしています。)

 それで、オーストラリアの銀行が保有する5つのIT事業部を1つにマージするプロジェクトのチェンジ・マネジメントでこのソリューション・フォーカスト・アプローチを活用した「“5 to 1: Systemic Solution-focused Change Management[2]という名前のエッセーがネットに落ちていたのでこれを読んでいたところなのですが、個人的には非常に興味深く読んでいたところです。

 一般的に企業組織が統廃合されるというということになると、文化から始まって仕事のやり方に至るまで色々な対立が明示されるということにもなりかねないため、かなり難易度の高い案件のようにも思ってきます。

  ここでは、1)核となる経営チームを構築して、ビジョンを構築する 2)オープンな文化を育み、対話によって 2006年1月までに現在の課題を解決する 3)モチベーションの高い新しいチームがつくられ業務開始への準備が整う 4)変化に対する態度や気持から見た懸念事項についての2種類の調査を実施する、といった目標が設定されています。

 変化のプロセスとしては、コーチングや心理療法のコンテクストで使うソリューション・フォーカスト・アプローチと同じで、


1.     コンサルタントが顧客とコンタクトし契約を結ぶ
2.     合併が成功裏に終了している理想の状態をおもい描く
3.     現状から、うまくいっている例外、利用できる資源を探す
4.     マイルストーンとその時の状態を詳細に思い描く
5.     現状-理想を埋める解決策をつくってプロジェクトを開始する


というような大まか流れで、具体的にはソリューション・フォーカスト・アプローチの技法を使うということになってきます。

もちろん、そもそも論に戻ってしまうわけですが、ソリューション・フォーカスト・アプローチは理想の未来を思い描き、その未来の実現に利用できる今ココで起こっている出来事や事実を結びつけるという態度や行動が求められることになりますが、既に起こっている出来事や事実を見つけ、それを広げるという方向で理想の未来を創発させましょう・・・という方向になるため、今までやったことがない新しいやり方を試すのではないため変化に対する抵抗は格段に小さくなるように思ってくるわけです。 

 それで、勉強会で使った以下の資料でも書いたわけですが、安定を志向した通常の業務であれば、サイバネティックスで言う「ネガティブ・フィードバック」でマネジメントを行えば良いと思いますが、人の行動や認識に変化をもたらしたい場合は「ポジティブ・フィードバック」を活用しないと変化は起こらないということが分かってくることにもなってきます。

(参考)

 (つづく)

 文献
[2]http://www.andreagraf.at/de/downloads/andrea-graf_solutionfocused-changemanagement.pdf

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