2013年1月21日月曜日

意思決定におけるヒューリスティクスと認知バイアス

                               

 外部環境が変わっているにもかかわらず、それが考慮されていない過去の成功体験にもとづいて意思決定を行うというのは案外危険な感じがすると思っているのは私ばかりではないようなのですよねぇ。(笑)

 人間は知覚や認識を持ち、良い意味でも悪い意味でもこの知覚や認識に歪やバイアスがかかるように出来ているので、まずはこの知覚や認識に着目して過度なバイアスがかかっていないかどうか?をチェックするのが良いのだろうなぁと・・・・・で、ここでは米軍の軍事作戦の立案における意思決定方法を題材にしているけれど、ある意味、認識論に還元されて説明されていので、これを日常生活や仕事の場面で活用する平和利用への転換はとても簡単ですねぇ。(笑)

 余談ですが、軍は戦闘行為を行うと人が死ぬリスクがあるから戦いについてもっとも慎重な組織のでしょうけれどねぇ・・・・・

独り言


今日は、「意思決定におけるヒューリスティクスと認知バイアス」について書いておきましょう。

良い意思決定のプロセスとはどんなプロセス?

 日常生活や仕事の場面で私たちは色々な判断意思決定を行なっていると思います。もちろん、日常生活では間違った判断をしたとしても、多少の衝動買いを反省する程度であって一生後悔するなどということはほとんどないのだろうなとも思います。それでも、自分が経営者や重要なプロジェクトなどの意思決定に関わっていて、それが経営上の重要な決定ということになるとこうはいかなくなってくるのかもしれないなぁなどと考えるところでもあります。まぁ、個人でも転職とか結婚とか転居とか・・・については一生を左右する意思決定になるのかもしれませんが・・・

 それで、個人的に「良い意思決定とはどうあるべきなのか?」と問を立てて米軍から公開されている「COGNITIVE BIASES IN MILITARY DECISION MAKING(軍事上の意思決定における認知バイアス)」[1]と名前のついたエッセーを読むと非常に面白いことが分かってきます。もちろん、軍事作戦は隊員の生命がかかったミッション・クリティカルなものであり、何らかのプロセス[2]を決めてある程度きちんとやっているのだろうなぁと言う想定のもとに調査しているのであって、私が個人的にミリオタであることを意味しているわけではありません(笑)。

それで、ここでは人間の認識に起因する、ヒューリスティクス(Heulistics)[3]


心理学におけるヒューリスティックは、人が複雑な問題解決等のために何らかの意思決定を行う際、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指す。これらは経験に基づく為、経験則と同義で扱われる。判断に至る時間は早いが、必ずしもそれが正しいわけではなく、判断結果に一定の偏り(バイアス)を含んでいることが多い。ヒューリスティックの使用によって生まれている認識上の偏りを、認知バイアスと呼ぶ。


 そして、認知バイアス[4]の問題になってきて、簡単に言うと特定の認知バイアスがかかることを排して行うのが良い意志決定ということになってくるわけです。

 つまり、このように意思決定が認識論に還元された時点でここでのテーマは「偏った認知バイアスに陥らずに判断するには?」また、「それを考慮した意志決定のプロセスはどうなる?」という問に変わってくることになります。

 それで、余談ですが、作家の山本七平氏の著作「空気の研究」によれば、第二次世界大戦の大日本帝国海軍の戦艦大和の出撃の意思決定には、それが専門家の視点から見て無謀であり勝ち目がなかったにもかかわらず「空気」によって意思決定されたことが書かれています。それで、個人的には現代の日本においても、需要な意思決定には、論理的な根拠すら簡単に否定する「空気」というバイアスを考えておく必要があるようにも思ってきます。

 さて、このエッセーに戻ると、意思決定のプロセスが3つのヒューリスティスク、10の認知バイアスに陥らないようにすることの重要性が書かれていることになります。

ヒューリスティクス:
可用性ヒューリスティクス(The Availability Heuristics):人は入手しやすい、あるいは思い出しやすいデータで判断しがちである。
代表性ヒューリスティクス(The Representative Heuristics): 特定のカテゴリーに典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセスをいう
係留性ヒューリスティクス(The Anchoring Heuristics):最初に提示された情報を基準として考える

認知バイアス:
自信過剰バイアス(The Overconfidence Bias): 現実以上に自分が周囲の情報を十分把握していると考え、また自分のスキルに現実以上に自信を持つ傾向
母集団バイアス(Insensitivity to sample size): 標本抽出の問題により、母集団を代表しない特定の性質がまぎれこんでいる
情報の入手可能性( irretrievability of instances:発生頻度が高い情報より入手可能性が高い情報を重視する
可用性バイアス(The Availability Bias): 人間が過去を再構築する時、最も生き生きした記憶や回想しやすい記憶を重要視してしまうこと
錯誤相関The Illusionary correlation: 相関がないデータに相関があると思い込んでしまうこと
行動のエスカレーション(The Escalation): 行動エスカレーションとは、一度ある行動を選択実施するとその後の環境変化に関係なく、当初に選択した通りの方法と内容のまま進行していくこと
ブレーク・イーブン(The Break Even):損失に対してその損失を埋めるためにリクスを取ること
スネーク・バイトThe Snake Bite:損をした経験があるとリスクを取らない傾向がある
確証バイアス(The Confirmation Bias): 個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強すること
後悔への恐怖(The fear of Regret ):後悔したくないという判断にもとづいて行動する

 となります。

もちろん、バイアスの分類の切り口も色々存在するようでし、実際の作戦となるとやってみないと分からないという要素も多いとは思うわけですが、少なくとも作戦を立案して意思決定を行う場合、思い込みや経験によってリスクを高めないように気をつけないということになってくるように思います。

それで、個人的には一般的なプロジェクの計画を立案したり、実行したり、あるいは通常の定形業務を遂行する場合にも、良い意味でも悪い意味でも、人にはなんらかの認知バイアスが存在しているわけであり、業務を安全、かつ円滑に遂行するためにも一度、過度な認知バイアスがかかっていないかどうかをメタ認知の視点でもって眺めてみるのも悪くないのだろうなと思っているところです。

ちなみに米軍の作戦立案遂行のプロセスの詳細はFM5-0[5]というドキュメントに書かれているようですが、上のエッセーの趣旨としてはこのドキュメントには一般的な認知バイアスについては反映されているけれども、個別詳細な認知バイアスが反映されていないのでそれは今後の課題ということになっているようです。

(つづく)

 文献
[6]http://criepi.denken.or.jp/jp/serc/discussion/download/12003dp.pdf (参考)


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